幼児教育・保育・高等教育の無償化とその条件に思うこと


 5月下旬に出ていた報道のまとめ(私のツイート)です。



 子育て世代が望むことは幼児教育・保育が無償化されることではなく、自由に選べることだと感じます。
 働きたい・子どもを預けたい、これらを達成するために無理難題が降りかかったり、ストレスの大きすぎる仕組みを減らす(なくす)方向でお金を振り分けてもらいたいと感じます。








 これは個人的に激しい悲しさを感じました。

 大学進学に該当する年齢は単純に現在の最大でも約120万人×4年のボリュームです。しかも全員が大学へ進学するわけでもありませんし、多く見積もっても約500万人より少ないわけです。
 無償化などの対象は住民税が非課税など低所得だけですが、低所得でも資産(貯蓄など)があれば対象から外すということです。

 これって表現が難しいのですが、公的年金や公的医療・公的介護のほうがボリュームは大きいわけです。資産家であっても年金額が少なかったりして低所得なら、医療や介護の負担額は小さいままですし、大学のようにたった4年間に限った話でもありません。

 マイナンバーを制度として使うなら、何を差し置いても65歳以上(約3460万人)または75歳以上(約1690万人)です。という小さな声を書き留めておきます。


<過去参照記事> マイナンバーに思うこと<その3 将来のために>
<参照web> 人口推計(平成28年10月1日現在)‐全国:年齢(各歳),男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級),男女別人口‐ 総務省



適切かつ継続的に情報を発信


 こんな記事が出ていました。

 老後の備え、いくら必要? 巣鴨と渋谷で聞いてみた 人生100年時代が現実に

 この記事を読んでツイッターにも端的に書いたのですが、ブログにも書いておきたいと思いましたので取り上げました。

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 「年金はもらえないかもしれないと思っている」
 「年金がもらえるかは正直不安です」

 という若い人のコメントが2ページ目に出ています。
 このコメントも含めて記者が最後に、

 「今、できることは何なのか」

 とまとめておられます。


 日経の記事ですが、実際の媒体は日経ヴェリタスです。
 週刊の金融の専門誌です。
 (550円が2018年6月3日号から600円になるそうです)

 「今、できることは何なのか」を金融の商品や仕組みでしか情報発信できない事情を加味したとしても、若い人のコメントである公的年金の不安や不信を解消することを第一に考えるとすれば、選択肢はただ1つです。

 公的年金をはじめとした社会保険(社会保障)に関して、適切かつ継続的に情報を発信する。

 これに尽きます。これ以外にありえません。

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 ここをメディアが徹底してくれれば嬉しいのですが、「安心ですよ」「問題ありませんよ」では読まれる記事にはなりません。「これではダメだ」「不安な数字でしょ」「だからこんなお得なことがあるんですよ」が好んで読まれるわけです。

 なので、結局は義務教育での社会保険(社会保障)教育を強く願いたい!という主張にいつもたどり着いてしまいます。

 <過去参照記事> 社会保障(社会保険)の理解があってこその投資・運用
 <参照ブログカテゴリー> ねんきん

 私のポジショントークと言われればそれまでです。
 皆さま、いつもありがとうございます。
 

”銀行・保険会社では教えてくれない 一生役立つお金の知識”読みました。


 ”銀行・保険会社では教えてくれない 一生役立つお金の知識”(2017年10月17日 第1刷発行)を読みました。

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 著者は生活経済研究所長野の事務局長、塚原 哲さん。

 塚原さんとは面識があります。交流が始まったのはツイッターをきっかけにした2010年7月で、初めてお会いしたのは2010年12月です。早いです。
 現在の塚原さんは講師専業です(よね?)。専業というのはおこがましいほどのプロ講師の集団のトップです。以前には例外的に相談対応もされていたとお聞かせくださったこともあります。

 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに

・運用は詳しいのに保険の話はさっぱりといった具合に、お金の専門家も専門性が高くなるほど視野が狭くなるものです。 p4


 ちょうどこの文章で私の主張に当てはまる記事を書いていましたので、リンクをはっておきます。
 社会保障(社会保険)の理解があってこその投資・運用


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■1章 会社員がお金を貯めるということ【お金の構造】

・結局、私は30歳までの7年間で約3000万円を貯め、ローンを組まずに地方都市に住宅を買うことができました。 p31
・何はともあれ負債の返済が最優先 p40~
・銀行のアドバイスの逆がお得 p46~


■6章 保険の構造を学ぶと見方が変わる【保険編】

・保険や共済は「頻度は高くないが、いざ発生した時に家計を揺るがす経済損失」から家計を守るための商品です。構造的に元が取れないのは当たり前です。 p226


■7章 住宅ローンの借り方・返し方【住宅ローン編編】

・いくら借りるかと子供の進学はワンセット p260~
・返済期間はできるだけ短く p268~


 塚原さんからは「そのとらえ方は違う」と怒られそうですがあえて書いておきます。

 1章では、表紙の帯の下に「40代から考える定年後の人生設計」とあるのに就職後すぐからの給与天引きでの実績や、(それらの商品が本当に良いかどうかは別にして)学資保険などの積み立てよりも住宅ローンの繰り上げ返済を優先し、大学進学など教育費がたくさんかかる前の完済を。
 7章でも毎月の返済額が増えてでもトータルではお得なので短い返済での借り入れを。11年後に金利が5%に上がって、上がったまま下がらないような例。
 6章では「家計を揺るがす経済損失」の例として入院保険への加入を挙げて貯蓄とのバランスなどには触れておられず。

 本という構造の問題でしょうか。いわゆる部分最適は確かにその通りかもしれません。
 2時間で1つの項目を突き詰めて講演されているのとは異なり、日々家計の全体を考えながら相談を受けている立場としては全体最適が気になります。

 1つひとつは確かに「銀行・保険会社では教えてくれない」ことかもしれません。人気のある講演テーマを部分的に本にされたというバラバラな印象もあります。全体のまとめの内容(章)を作ってもらいたかったと感じる次第です。


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■2章 配偶者が働きすぎると本当に損なのか【税金編】
■3章 誰も教えてくれない退職金の仕組み【退職金編】

・運営管理機関による投資教育という名の営業 p100~


■4章 正しい老後資金の作り方【年金編】

・高収入ほど辛い 定年後の生活水準ダウンサイジング p156~


 貯蓄は家を買うためだけに使うような印象
 住宅ローンの借入額を少なくできるくらい貯まっていても入院保険は必須?
 教育費が私立などでかかるなら家は買えない?
 でもそれって家賃がかかり続けるのと比較したら?
 長く働き続けるという発想は?
 貯蓄を自由に使う記述は無し?

 すみません、ここでも同じことを書きますが部分最適では「今」の楽しみがイメージできませんでした。
 はじめにで「広い視野」を取り上げておられながら、重箱の隅をつつくような細かな項目の解説になっているようにも感じました。


 この本の目的はそこではないと言われればその通りです。直接にお話をさせていただいたこともありますので、私がここで書いているようなことなどは対面であれば即座に論破してくださることでしょう。でも、この本では全体を見た論破な内容が感じられません。
 私の読解力が塚原さんの高度な内容についていけてないだけなのかもしれませんし、私なりにクセがついてしまっていますから一般の読者の方々は全体を感じられるのかもしれません。その際はご容赦をお願いします。


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■5章 元気な老親の介護に備える方法【介護編】 

・保険料滞納のペナルティは3段階 p188~


 正直に書いて、ここは知りませんでした。
 勉強になりました(端的ですみません


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 全体の文体(口調?)として日々講演が中心だからかもしれませんが、指導・指示するという印象が残りました。
 私は日々相談を受けている立場として、伴走・寄り添う印象を大事にしたいです。

 よく書くことですが、今回も書きます。2つの印象はどちらが優れているとか劣っているとか、合っているとか間違っているということではありません。どちらのスタンスを選ぶのかは人それぞれですし、選んだ結果が合わなければ選択し直せばいいんです。


 何事も過去ばかりを見て「もう遅い」と思うのは自由です。でも、具体的に動くきっかけを得たのであれば今この瞬間がこれから最も多くの時間を費やすことのできるスタート地点です。

 今回のいわば「骨太」な本を読まれたうえで、相談にお越しくださる方々が出てくることを個人的に楽しみにしています。

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 背表紙を外したら、表紙の黒猫ちゃんがもう一度登場していました。


 最後にこれも書いておきます。

 私は塚原さんのことが大好きです。真っ当です。

 だからこそ本での違和感をこうして書きました(えらそうにすみません

 

 金融機関や金融商品の選択、投資や運用、家計管理や人生の選択は当然ながら自己責任でお願いします。

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。



私立文系4年で総額700万円と386万円の違い


 毎週発行されているフリーペーパー特集で教育ローンが取り上げられていました。
 (お勧めしにくい記事でしたので参照リンクは紹介しません)

 日本政策金融公庫「国の教育ローン」、各金融機関の「教育ローン」「多目的ローン」の紹介とともに、その地域で無料のマネーセミナーの案内(広告)を毎週のように出しておられる乗合保険代理店・金融仲介業者(証券会社の代理店)所属のファイナンシャルプランナー(FP)による解説のある記事でした。


 気になったのは「大学生の教育費総額」というデータ。

 出典は公益財団法人生命保険文化センターの「大学生にかかる教育費はどれくらい?」。
 2018年2月現在のリンク先は2017年版とあります。

 フリーペーパーで取り上げられていた2018年1月改訂版の「ライフプラン情報ブック」とはデータが異なっていましたので書き出してみます。
 大学の私立文系・自宅4年の総額です。

 2018年1月改訂分と思われる記事データでは704.9万円、本文では約700万円とされていました。
 2017年版では683.6万円です。21.3万円(1年あたり5.3万円)もアップしていました。


 私がいつも参考にするデータの最新版はこちらです。
 私立大学等の平成28年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
 私立文系の4年間の総額は約386万円です。

 約700万円と約386万円の差額314万円は何なのでしょうか。


 386万円の内訳は授業料・施設設備費・入学金です。
 700万円にはこの3つに加えて、受験関係費用・生活費が入っているようです。

 受験関係費用は出典がわかりません。私が見つけたのはこちらです。
 受験にかかるお金(ベネッセ)
 シミュレーションは293,000円です。
 
 ですので差額の残は285万円。
 これを4年で割ると年間71万円、月59000円が生活費です。
 大学生の子どもの生活費、対象は何なのでしょうね…

 食費・光熱費・サークル活動、教科書代も含むのでしょうか。
 私にはわかりません。

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 いずれにしても言えるのは、生活費とは大学に通っていなくても一緒に生活していればかかってくるお金です。いわばランニングコストですので、一括で必要となるお金ではありません。

 700万円を大学入学前に貯めておく必要があるなんてアドバイスは不毛にしか見えません。


 大事なのはインパクトのある数字ではありません。その内訳です。
 もちろん今回のケースで700万円を貯めることができていれば、どのようなイレギュラー(想定外)が起こっても何とでも対処できるでしょう。選択肢は大事です。

 でも、将来に向けて貯めないといけない強迫観念にとらわれ、子どもの小さい今、楽しみに使えるお金の範囲が狭まってしまうことには疑問を感じるケースもあります。


 金利なしで割り算してみます。
 386万円÷18年÷12月=約17870円
 700万円÷18年÷12月=約32400円
 毎月に必要な積立額のインパクトが大きく違ってきます。
 ここで金融商品の提案がばっちり出てきそうですね…

 背景・根拠を知る必要があるというお話しでした。


「賢人論。」権丈善一氏の記事のご紹介


 超長文の3つのリンクをご紹介します。



■1ページ目からの引用

「公的年金って、ようやく少しばかり普及してきたようなんですけど、自分ではいつまで長生きするか本当のところはよくわからないということから生まれる生活リスク、僕らは「長生きリスク」と呼んでいますけど、この長生きリスクに対する保険なんですよ」

「制度全体の話をするときには「公的年金保険」と呼ぶようにしています」


■2ページ目からの引用

「年金保険の世代間格差の指標としてきた給付負担倍率って、公的年金が私的な親の扶養を公的に切り替えていった歴史や、年金が保険であることを知らなかった人たちが計算しては、世代間格差だと騒いでいたバカバカしい指標」

「「現役世代」と「退職世代」という異なる世代の人たちがいるのではなく、誰もが「現役期」を経験し、次に「退職期」をむかえる」

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■1ページ目からの引用

「高齢期に受け取る年金給付を世代時代の平均所得で割った比率(これを所得代替率と呼ぶわけですが)が、現役時代の所得が低くなるほど高くなる」

「被保険者期間を(中略)45年(20~65歳)に延長することができれば、45/40と1.124倍、1割強も給付水準を改善」

「厚生年金の被保険者が45年の納付を行うとなると、基礎年金への財政拠出を通じて国民年金の財政が楽になり、結果、基礎年金の給付水準が上がる」

 紹介されていた「公的年金保険の誤解を解く」のリンクをまとめた2017年1月のブログ記事です。
 希望・願望を込めた用語の読み解きを目的とした内容


■2ページ目からの引用

「若年障害者と高齢障害者が別々の制度というのは、日本くらいしかない」「民主党は、年金に関しては実は何もできなかったんですけど、2つほど大きな禍根を残しました」


■3ページ目からの引用

「扶養負担を示す指標は「65歳以上の高齢者に対する65歳未満人口の比率」でみるのではなく、「就業者と非就業者の比率」でみるべき」

「どうも教科書で社会保障を担当している人たちは、新書版なんかを読んで書いているようで、トンデモ論が書いてある新書が出て数年経つと、トンデモ論が教科書に出てきたりする」

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■1ページ目からの引用

「かつてトンデモ論を言っていた年金論者にとっては「平成26年財政検証の歴史的分脈の中での意味」など、受け入れたくもなく触れられたくもない苦い過去」

「未組織の有権者の数は、組織化された団体に属する有権者よりも圧倒的に多いわけですから、きっと世の中はいい方向に進むと思う」


■2ページ目からの引用

「急性期向けに整備された病院の中に、複数の慢性疾患を抱えた高齢者が多くいるようになりました。これがニーズと提供体制のミスマッチの根本」

「「いつでも、好きなところで」から「必要な時に必要な医療にアクセスできる」という報告書の文章が生まれます」

 このあたりは「ちょっと気になる医療と介護 増補版」がお勧めです。
 初期版を読みましたが感想記事書けてません…

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 そして、やはりこの本がお勧めです。

 ”ちょっと気になる社会保障 増補版”読みました。

 公的年金についてマイナスな発言をする人には必ずこの本を勧めてください。
 この本がすべての根幹です。


 公的年金だけでなく医療と介護にも関わる内容でしたので、ブログカテゴリーは「ライフプランニング」としました。