「金融機関が自社の商品を売り込むために勝手につけたネーミング」


 日経web記事のご紹介です。

 日本史上最強のじぶん年金 読めば始められるiDeCo

 記事を書かれている大江加代さんは、このブログで本の感想記事でよく書かせていただいている大江英樹さん(例えば最新はこちら)の奥さまです。ご夫婦そろって講演に執筆に活躍されていますので本当にすごいことだと思います。


 記事はiDeCo(個人型確定拠出年金)の連載1回目ということなのですが、私が大事だと思ったのはこちらです。引用です。

世の中で「じぶん年金」といわれているものの多くは、公的年金制度のダメな点を引き合いに出して金融機関が自社の商品を売り込むために勝手につけたネーミングにすぎません



 金融機関が発信する情報に限らず報道でも金融商品を活用することが「じぶん年金」であるように書かれているケースもよく見ます。もちろんその執筆者が金融機関(または代理店)などの立場であることも多く、いわゆるポジショントークというやつです。

 ポジショントークは大事です。そして、金融商品の活用を取り上げるのがダメというわけではなく、将来のためのお金であればなんでもかんでも「じぶん年金」というワードにつなげてしまう流れがダメだと強く主張したいんです。


 ここでぜひお勧めしたいのがこちらの過去コラムです。

 年金という用語は公的年金保険だけに使って欲しい

 これがすべてです。
 これこそが私のポジショントークです。
 皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。


”教科書にないお金の増やし方・守り方”読みました。


 ”教科書にないお金の増やし方・守り方 ~行動経済学で解決する50のムダづかい~”(2016年12月30日 第1刷発行)を読みました。

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 著者は株式会社オフィス・リベルタス代表取締役の大江英樹さん。facebookページはこちら

 今回もありがたいことに、いわゆる献本いただいてしまいました。大江さんのお気遣いに感謝を申し上げます。
 そして、感想を書くのが遅くなってしまい申し訳ありません。大江さんは次々と新刊を出しておられ、この本の後にも2冊そして今年はさらに2冊ほど出される予定と聞いています。


 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに 「感情」は「勘定」に優先する
■結論 ベストな判断でお金を使うために
■おわりに

・特にお金のことを判断する場合は、数字を冷静に見ることが大切です。 p3

・レッスン1やレッスン4で出てきたような「無料サービス」がそれです。こちら側からすれば、無料はありがたいと思いますが、果たして、相手が損をしてまで無料にしてくれるなどということがありうるのだろうか? ということを考えないといけません。ふつうはそんなことはありえないはずです。 p248

・金融教育よりもむしろ社会保障教育をきちんとおこなうことのほうがずっと大切 p253


 この3つの引用が(私にとって)この本のすべてです。
 この3つの具体的な内容をシンプルにこの本で得ていただけますのでお勧めです。

 <過去参照記事> ”ちょっと気になる社会保障 増補版”読みました。


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■Lesson1 人は「損失を避ける」ことを優先する

・「人は ”儲けたい”気持ちよりも ”損したくない”気持ちのほうが強い」という事実 p16


■Lesson2 誰もが「心の錯覚」で買ってしまう

・脳は明らかな間違いにさえ気づかないことがある -思いちがいを生む「経験値とドタ勘」- p58~
・システム1(速い思考)とシステム2(遅い思考) p58


 「あっ、これは当てはまる!」「やってみよう」

 そう思えるポイントがいくつも出てくるのではないでしょうか。全部が当てはまる人はおられないと思いますが、どれ1つも当てはまらない人もおられないでしょう。

 この本はざっと読み通すだけではなく、気になったところは折り込むなり書き込むなり付箋を貼るなりしてみてください。そして実際に取り組んでください。
 本のサブタイトルにある「ムダづかい」という言葉は私はあまり好きではありませんが、優先順位を明らかにしていくうえでたくさんのチェックポイントが出てくる本です。実際に試みていただきたいです。


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■Lesson3 幸せになる使い方を選び取る

・老後の人生においてとても重要なマトリックス図をお伝えしよう -「老後不安」は金融機関にとって最大の商材- p148~

・「高いリターン」という言葉には、判断を鈍らせてしまう力がある -金融機関が絶対に説明しない「リスクとリターンの関係」- p158~


■Lesson4 不合理な選択をしない体質になる

・客観的事実よりも「言葉づかい」が最終選択に影響をおよぼす -異なる数字的直観が喚起される【フレーミング効果】- p193~


 ただ1点、非常に難易度の高いことがさらっと書かれていた部分だけ挙げておきます。
 p153にある「老後の不足額を”見える化”するマトリックス」です。

 このマトリックスで公的年金は約6700万円とあります。同い年の夫婦で65~90歳の25年という設定ですから国民年金部分の年金は78万円/年×夫婦2人×25年=3900万円です。残額2800万円を夫1人が受け取る厚生年金と設定されていましたので、同じく25年分で逆算すると112万円/年です。
 これを大学卒業23歳から60歳まで37年間で逆算すると平均年収は約552万円です。これを高いと思うか低いと思うかはそれぞれですし、この本は公的年金の解説本ではありませんからすべての条件が詳細に書かれている必要もないのかもしれませんが、公的年金についてもそれなりに詳しい大江さんにしては省略されすぎのように感じてしまった次第です。

 というややこしい計算を皆さんができるようになる必要はありませんが、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」から試算してみることが大事です。でも、これはなかなか難易度が高いと思います。日々相談を受けていて感じることです。

 手前味噌ではありますが、紹介しておきます。
 <京極・出町FP相談 オフィシャルサイト> ねんきん相談

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 大江さんの本はこれまで8冊で感想を書いていまして、これが9冊目です。
 すべてに共通しているのは全体を通しての読みやすさ、表現の柔らかさです。
 

 金融機関や金融商品の選択をはじめ、投資や運用は自己責任でお願いします。

 

 参考までに前回8冊目の感想はこちらです。
 ”マイナス金利でも、お金はちゃんと増やせます。”読みました。

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。



夫婦のおこづかい


 夫婦のおこづかいと聞いてどんなイメージがありますでしょうか。
 夫3万円・妻2万円、もっと増やしてほしい・もっと減らせないのか、例えばこんな感じでしょうか。

 ニュース記事をご紹介します。
 既婚者のおこづかいは月平均2万9,503円 - 6年ぶりに増加
 2016年11月です。ちょっと古くてすみません。

 元データはこちらです。
 明治安田生命 「いい夫婦の日」に関するアンケート調査を実施! 2016/11/16
 ※ PDFファイル注意

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 アンケート結果から抜粋します。

 おこづかい【夫】
 ・平均 34950円
 ・20代 29496円
 ・30代 33007円
 ・40代 37714円
 ・50代 39769円

 おこづかい【妻】
 ・平均 24056円
 ・20代 22854円
 ・30代 20043円
 ・40代 22927円
 ・50代 30530円

 ランチ代【夫】
 ・平均  703円(60代と70代を含む)
 ・20代  657円
 ・30代  602円
 ・40代  683円
 ・50代  668円

 おこづかい【妻】
 ・平均 1082円(60代と70代を含む)
 ・20代  862円
 ・30代  959円
 ・40代  967円
 ・50代 1115円

 メディアで目にする平均の数字は、全体の平均であることが多いです。年代によって異なることは元データを探るしかありません。

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 これを見て「じゃあうちも平均に合わせて…」「もっと下げられる…」「いや反対に増やしても大丈夫?」というのはあまりお勧めできることではありません。

 「月に自由に使えるお金」と説明もありますが、注意が必要なのは統一されている条件が「既婚者」というだけだからです。

 ・共働きなのか方働きなのか
 ・世帯年収の幅
 ・おこづかいにランチ代が含まれているのか含まれていないのか
 ・子どもの有無・年齢帯
 ・持ち家か賃貸かなど、住居費の程度
 ・現在の貯蓄額と今後の推移
 
 その他、支出の状況なども家庭それぞれまちまちです。


 決められた金額だからその範囲であれば全部使ってしまっても問題ないと考えてしまったり、少し足りなかったことで得られなかった情報や経験や機会が存在するかもしれないことがあれば、それらのほうが家計(や家族・夫婦関係)に与える影響は大きいのではないかと感じることがあります。

 おこづかいに限った話ではありませんけれど、明らかに必要性が高くなく納得感の弱いものへの頻度の高い支出は勧められることではありません。もちろん必要性や納得感は人それぞれ夫婦でも大きく異なることも多いですし、その違いの範囲で使える金額がおこづかいだというとらえ方もあるかと思います。


 平均はあくまでも平均です。目安にするのは否定しませんが、ご自身やご夫婦に当てはめる際にはよくよく考慮が必要です。

 ただし、深く考える手間や時間がもったいないので、おおよそで大丈夫という考え方も(ケースにもよりますが)私は問題ないと思っています。実際の相談対応におきましても、厳密な根拠を求められた際「この範囲なら大丈夫だと思いますよ」というアドバイスになってしまうことがほとんどです。


 大事なのは月の収支よりも年間の収支であり、将来を見据えた見通しです。最近の記事「家計簿アプリ、あまりお勧めしていませんし使っていません」でもご紹介しました通り、家計においてはまず全体の把握が大前提です。



8人と36億7500万人


 こんなニュースが出ていました。
 36億人分の資産=富豪上位8人 NGO、貧富の格差拡大警告

 数字を取り上げてみます。
 ・8人の資産が計4260億ドル(約48兆7千億円)
 ・世界人口のうち経済的に恵まれていない半分に当たる36億7500万人

 仮にこの8人の全資産を36億7500万人に再分配しても、1人あたりが受け取れるのは約13250円です。
 約37億人という膨大な数に驚かされるのと同時に、73.5億分の8は0.0000001088%ですから約10億分の1というとてつもない確率とたった8人のこの方々の稼ぎ力とでも言うのでしょうか。想像もつかないです。


 ・世界人口73億5千万人の上位1%の収入の増加幅は182倍

 73.5億人の1%は7350万人ですからこれだけの人数の収入が1988年から2011年にかけて182倍ですか…。年収500万円の人だと9.1億円になるのが182倍の意味するところですが、こういった年収帯がそんなことになるわけではありませんし、1%と言ってもさらにその中の飛び抜けて大きく増やした方々が平均を押し上げているのでしょうから、富は集まるところだけに集まり続けるということなのでしょうね。

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 こちらのリンク先のグラフも興味深いです。

 特集名は「グローバル化という巨象」、1988年~2008年の実質所得の変化だそうです。

 世界の家計所得で上位10~20%の位置づけとなる「先進国の中・低所得者層」の所得の増え方はおおよそ0~5%です。1988年までの20年、さらにその前の20年などではこの層が大きく増えていたんでしょうね。時代の変化ですよね。

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 私が日々相談をお受けしている中でキャッシュフロー表(CF表)というお金の見込推移をまとめる資料を作るケースもありますが、「収入は現状維持で」「若干増えるかな」といった見通しのケースがほとんどです。
 自営業や経営者であっても「〇年後に倍で」といった予測(希望?)が出てくることはありません。

 もちろん私の相談スタイルからそういった方々が足を運んでくださることがないと言われればその通りかもしれません。私自身も急激に大きく収入(売上)が増えていくことはイメージできない相談・講師業です。

 夢がないと言われればそれもその通りですし、夢を語るのは大事なことだとは思いますが、こんな時代だからこそ手に手を取り合って少しずつでも「増やしていきたい」ですし、増やしていっていただけるよう家計管理から少しでも不安や疑問を感じないアドバイスができればと思っています。


 やっぱりお勧めしたいのはこのコラムです。
 ファイナンシャルプランナー(FP)の役割とは
 いつも通りの案内で失礼します。


”各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと”読みました。


 ”各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと”(2016年7月25日 第1刷)を読みました。

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 著者は13名の専門家の方々です。13名の内訳はこちらをご覧ください。

 この本を知ったきっかけはツイッターです。ツイッターでは信頼性が高く有益な情報を発信されていると私が感じている医療関係者の方々を現時点で80数名フォローしていまして、今回の本の著者13名中5名をフォローしています。
 幅広く、そしてわかりやすく取り上げられている印象を持てましたので手に取りました。


 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに
■番外編
■おわりに

・妊婦さんや患者さんたちから「知り合いから言われたのですが本当ですか?」とたずねられるものの大半は、残念ながら眉唾ものです。 p3
・子育てサイトには、専門家への取材もせず、監修も受けず、根拠のない適当な記事を量産しているところが多く、むしろ親たちを混乱させています。 p3
・子どもは、大人たちが取捨選択する過程に口を出すことはできず、選択を受け入れることしかできないのです。(中略)健康被害やなんらかの不利益をこうむるのは、子どもたちです。 p5

・希望と事実は違います。(中略)特に体験談には要注意。(中略)万能なものなんてありません。(中略)脅かすような話も要注意。脅かしておいて、何かを売りつける。そんな悪い商売をしている人もたくさんいます。 p189


 私の専門分野は医療や教育ではありません。
 でも、考え方はお金に関わることとも同じなのだと感じました。
 裏技のようなことは基本的に存在しないのが正常な世の中だと信じています。


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■第1章 育児
■第2章 医学
■第3章 食


 項目によっては書き出したくもないニセ医学のことも取り上げられています。きちんと論破されていますので、下にはりました本のリンク先を見て気になる項目があるようでしたらぜひぜひ手に取ってもらいたいです。

 私もこうしてblogで発信し、ツイッターやfacebookというSNSを活用しているわけですが、書き出したくもない内容というのはwebやSNSがあるからこそここまで広がってしまったのだと感じます。もちろん何の疑問も抱かずに(例えば公的なもの)すべてを信じるというのは必ずしも褒められたものではないのかもしれません。

 でも、その疑問を持った時に調べるのはインターネットであることが多いと思いますし、そのインターネットにはさも正しいかのような非科学的な情報があふれかえっていて、そういった情報のほうが受け入れやすい文章でかつ正しいものが怪しいものだと書かれていたりします。

 そういった情報を信じてしまう方々は、そもそも「科学的に信頼性の高い」という表現を受け入れられない傾向にあるようにも感じます。その科学は作られたもので、信じられないという論調です。本当に悩ましいです。


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■第4章 教育

 
 この章は歴史であったり、現代社会に配慮した考え方とでもいうのでしょうか。他の章とは異なる部分です。

 根拠は知らないし何となく変だなとは感じるけれど、それが当たり前になってしまっていることって世の中にたくさんあると思います。そのうちのいくつか代表的なものが挙げられているのだと思いますが、幸いなことに私の生活してきた中では1つも耳にしたことはありません。ただし、ネットでは目にします。だからこそこうして取り上げられているのでしょうね…


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 なお、ここでこうして書いている内容自体も、発信媒体としては信頼性の低い情報と同じです。

 取捨選択する力が大事なのだと思いますが、あまりにもでたらめな情報が多く出回っているのも事実です。この本で書かれていることこそがでたらめだという人も残念ながらおられますし、専門家の肩書や資格を持っている人でもその論調のケースがあります。
 webやSNSによってそういった方々の発信力が強まってしまったことは悪害と言っても良いと思います。でも、そのwebやSNSによってこうして知っていただける機会もあるわけですから、難しい世の中だとつくづく感じます。


 このblogを書いているタイミングで、ちょうど最新のコラムが発信されていましたのでご紹介します。「はじめに」を書かれている産婦人科医の宋 美玄(そん みひょん)さんのコラムです。
 トンデモ情報の寄せ集め? コラムサイトにご用心



<過去参照blog> ”「ニセ医学」に騙されないために ~危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る~”読みました。

 長文を読んでくださり、ありがとうございました。