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”医者が教える正しい病院のかかり方”読みました。


 ”医者が教える正しい病院のかかり方”(2019年11月30日 第1刷発行)を読みました。

 200215_けいゆう医師

 著者は山本 健人(たけひと)医師。ブログ「外科医の視点」、ツイッターはこちら
 ツイッターでフォローしていまして、とても信頼性の高い情報を発信くださっています。

 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。

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■はじめに
■おわりに

・治療を提供してその反応を観察し、時間とともに軌道修正する力が求められることが方が多い p6
・私たちが医師として医業を行う限り、病院に来ない人を救うことはできない p268


 本の紹介の際にはいつも書きますけれど、「はじめに」の流れで本編を読む前に「おわりに(あとがき)」を先に読むスタイルをお勧めします。本の目的・著者の思いを先に知ることができるからです。
 今回も「はじめに」で山本医師の子どものころの大事なエピソード、「おわりに」で情報発信の動機付けを知ることができます。

 この数年でたくさんの医師がwebやSNSで自ら発信してくださるようになってきました。以前は一部の特定の医師だけが孤軍奮闘されているように感じていましたが、増えました。これは本当に大事なことです。根拠のない情報を鵜呑みにしてしまっていたり、一般人が自らの体験で意見したりする数のほうが圧倒的に多く、それらへの反論が放置されてしまい、それらの情報が誤りではないのかと信じてしまう人が一定おられたのではないかと感じます。
 今は信頼性の高い医師が積極的にコメントしてくれることが増え、有象無象の根拠ない話がそのまま放置されることが減ったと感じます。繰り返しになりますが、これはとても大事なことです。


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■第一章 病院に行く前に

・(診断書について)現場はこの種の仕事でかなり疲弊しているのも事実です。医師でなくてもできる仕事を、もう少し分業できるシステムの導入が必要 p30
・治療しても同じ症状が続くときは病院を替える方がいい? p35~
・拠りどころにすべきなのは、「たった一人の体験談」ではなく、「統計学的なデータに裏付けられた知識」です。 p47


 めちゃめちゃ読み進めやすいです。1つめの引用は保険会社の取り扱う医療保険・がん保険などの取り扱いが悩ましいと私の立場上感じた点です。個人的には診断書代がもっと高くなって良いと思いますし、そこまで費用負担してでも少額の給付金を得ることへの疑問が高まれば、猫も杓子も入院保険という状況から変わることもあるのではと感じる次第です。


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■第二章 医師との関係に悩んだら

・医師を替えてほしい! 正直に言っていい? p72~
・相性が合わないと感じる医師との関係を我慢して続けることで、治療に対して意欲を持ち続けるのが難しくなっている場合 p73
・セカンドオピニオンは普通の紹介と何が違う? p76~
・何も薬を処方してくれない医師はヤブ? p89~


 医師・弁護士は特にハードルの高い専門資格でしょう。その資格を取得できていることはさまざまな平均値が高いことの表れであることは間違いないように思います。
 とはいえ医師の数は直近で30万人超です。30万人もいれば、いくら高いハードルをクリアしているといえども、良くも悪くも特徴的な人がいて不思議ではありませんし、実際に魂を誰に売ってしまったのだというような科学的根拠に基づかないことを公的医療保険適用外で提供しているケースもあるんです。
 ここまで極端でなくとも、合う合わないは世の常です。自分や家族の命に関わる話なのですから適切に遠慮は無用だと感じる次第です。


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■第三章 がんについて知っておくべきこと

・外科医は手術が予定通りに行われることを「成功」とは考えていません p120
・自分やご家族の過去に原因を求めたり、がんになった他人に対して「あれが良くなかったのではないか?」と責めたりするのは、あまり意味のない行為 p140
・再発は、手術時にすでに目に見えないレベルでお腹の中に残ったがんが、手術後に「目に見えるレベルまで大きくなったもの」 p159


 がんのことはたくさん私も触れてきています。こちらのリンクもぜひご参照ください。
 <参照ブログカテゴリ> がんとFP


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■第四章 いざというとき

・救急車を呼ぶべきか迷ったらどうする? p170~
・軽症のときに救急車を使うと、むしろメリットよりもデメリットの方が大きいことに注意が必要 p147
・救急外来に行くと救急専門の医師に診てもらえる? p180~


 私自身、これまで身近・身内で救急車1回・救急外来1回の経験があります。

 救急車は父親が夜中の尿管結石。予兆なく腰の中が尋常じゃない痛みで苦しんでいまして呼びました。
 救急外来は長男が1歳ごろ夜にアレルギー症状が出て、あれは焦りました。今、仮に同じことが起こったら「こどもの救急(ONLINE-QQ)」にアクセスし確認してから判断したと思います。約13年前の当時はこういった情報を知りませんでした。

 その他、本書内で紹介されていた救急車を呼ぶかどうかの際に参考になるサイトです。
 1.救急安心センター事業(♯7119) 総務省消防庁
 2.全国版救急受診アプリ「Q助」 総務省消防庁
 3.救急車利用リーフレット 総務省消防庁


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■第五章 薬の知識
■第六章 知っておきたい家庭の医学

・週刊誌やテレビでは、「分かりやすい極論」や「センセーショナルな主張」が取り上げられることが多い傾向にあります。ここに書いたような「複雑なうえに煮え切らない話」は面白みがないからです。 p209
・痛み止めはなるべく飲まない方がいいのか? p226~
・抗生物質で風邪は治る? p240~


 医療も社会保障(社会保険)も同じですよね…
 「大変ですよ」「もうだめだ」「安心できない」
 こういった不安をあおる発信が人の目を集めるわけです。

 「大丈夫ですよ」「安心してください」「何も問題ないですよ」
 これだと誰も見てくれなくなるでしょう。新聞・テレビ・雑誌は見てもらってなんぼなんです。悲しいかなこれがすべてだと日々感じます。


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 一般向けにとても読みやすい本です。
 一家に一冊あって良い本です。お勧めです。

 

 最後に。なぜFP(ファイナンシャルプランナー)の私がこういった情報を取り上げているのかといえば、がんの患者会のアドバイザーを務めていることで医療関係の情報にアンテナが高くなったことが始まりです。
 公的年金保険をはじめとした社会保障の専門性が高まると、限られた医療関係者の方々の人的資源、団塊の世代が後期高齢者に突入することによる社会全体での金銭的資源(社会保険料と税)の持続性に対してさまざまに感じるところが出てきます。公的年金保険に大きな問題は感じませんが、医療と介護は特に気になります。


 患者の視点では次の2冊もお勧めです。ご参考になりましたら幸いです。
 ・”一流患者と三流患者”読みました。
 ・「最高の医療を受けるための患者学」読みました。

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。


研修会「若年性のがんとアドバイザーとしてのFP」の講師を務めました


 2020年1月25日(土)日本FP協会継続教育研修にて初めて講師を務めてきました。

 若年性のがんとアドバイザーとしてのFP

 配付資料のタイトルを大公開です。

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・本論に入る前に
・<自己開示> がんとFPのこれまで

■がんに関する基礎知識を知る
・がん(悪性腫瘍)を知る
・エビデンスレベル(科学的・臨床的根拠)を知る
・標準治療を知る
・抗がん剤(・分子標的薬剤)を適切に知る

■若年性のがんを知る
・がん罹患率~年齢による変化
・がん罹患者の年代別割合
・精巣腫瘍患者友の会【J-TAG】
・精巣腫瘍とは
・抗がん剤の副作用を知る
患者会【J-TAG】ピアサポートとFP
・ピアサポーターの役割

■アドバイザーとしてのFP
・各専門家とチーム医療
・FPの役割
・がん治療とお金の問題は世代の違いで仕組みが変わる
・【事例】 精巣腫瘍患者/経験者/家族からの相談
・ピアサポートで受ける機会の多い質問
・現役世代における金銭的リスクの大きさを改めて考える
・がん保険と若い世代を考える
・心構えと願望
・がんは誰のせいでもない
・参考書籍

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 申込130名で欠席はたった1名ということで、これだけの人数の前で話をさせていただくのは本当に久しぶりだったのですが、良くも悪くも興味のある人と無い人の差が勝手ながら半々くらいで見て取れるかなと事前に想定していたのが裏切られました。
 配っていない資料・データを投影した際や資料の説明ではなく私の考え方や思うところをお伝えする場面では、本当に多くの方々が前を向いて顔を見せてくださり、失礼ながら驚いてしまいました。

 参加者40名・支部関係者20名の懇親会でも、ご自身やご家族ががんをはじめとする病気を経験されている方々が順々にお声がけくださり、関心の高さを感じました。
 私の前の講義がFP資格維持に必須の「倫理」という単位だったので目的はそちらの方々が多いと思っていたのですが、「がん」を見て申し込んだという方々も一定おられ、思い切って新ネタを作って良かったです。

 受講くださった皆さま、日本FP協会京都支部関係者の皆さま、本当にありがとうございました!

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 今回の内容はFP資格をお持ちの方々向けの教育研修でしたので、一般化は難しいと思っています。京都支部の方々に限らずFPつながりの薄い私ですので、おそらく1回限りでしょう。患者会の方々に報告を入れて完了です。資料は力作なのでもったいないところですけれど、130名ものFP資格保有者の方々に聞いていただけたので良しとします。


 28(火)午後は滋賀リビング新聞カルチャー倶楽部(草津会場)にて2020年5月検定向けFP3級資格取得講座(全14回)講師対応の第3回目、公的年金保険です。



”医師が教える最善の健康法”読みました。


 ”医師が教える最善の健康法”(2019年6月25日 第1刷発行)を読みました。

 医師が教える最善の健康法

 著者は名取 宏医師(ペンネーム)。ブログ「ニセ医学への注意喚起を中心に内科医が医療情報を発信します」、ツイッターはこちら
 ツイッターでフォローしていまして、以前の著書も読み感想を書かせていただいています(感想のリンクはこの記事の一番下です)

 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。

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■はじめに
■おわりに

・原則として医学論文として発表された疫学研究や公的機関が定めたガイドラインを参考(中略)なるべく日本人のデータを優先(中略)検査値などの間接的な指標ではなく、死亡や病気の発症といった生存や生活の質を評価した研究を参照(中略)根拠ある「最善」を目指しました p4

・ふだん診察室では伝えきれない健康や体の基本からエビデンスのことまで、なるべくわかりやすく詳しく解説するように心がけ(中略)ふだんは病院にかかる機会の少ない人にまで、より多くの人たちに伝わるようにと思って書きました p214


 本の紹介の際にはいつも書きますけれど「はじめに」の流れで本編を読む前に「おわりに(あとがき)」を先に読むスタイルをお勧めします。
 本の目的・著者の思いを先に知ることができるからです。何のために書かれた本なのかを知っておく動機付けは本当に大事です。


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■第1章 × ついやりがちな間違った健康法

・極端な糖質制限食のリスク p12~
・医師も正しいとは限らない p21~
・無意味な我慢は人生の大損 p24~
・「これなら絶対に安全」はない p31~
・検診には利益もあれば害もある p42~
・過剰な検査や治療 p52~


 私の知り合いにも私から見ると過剰な糖質制限を高額な費用を掛けて取り組んでいる人がいました。確かに短期間で体は引き締まって筋肉が付き、それまでのいわゆる中年体型(!)に比べれば健康的に見えます。筋力・体力がつくことでの日常生活の活性化というのでしょうか。疲れにくさなどは良い成果だと思います。でも、それを長く続けるのは長期的な死亡率の観点では危険度が上がっていたのだろうなとこの章を読んで感じました。

 検診のこともこうして情報がまとまっていると理解しやすいです。何でも受ければ良いってものではないんです。例えば人間ドックやがん検診でのオプションである腫瘍マーカー測定。私はがんの患者会のアドバイザーを務めていますので、治療段階における数値の判定の意味は理解しているつもりです。でも、健康な状態(治療中ではない状況)での測定に意味があるのか疑問でした。この章で解消できました。

 そして、最近報道でもよく見かけるようになった「少量の尿や血液でがんが発見できる」という研究段階の件です。年明けの報道でも1つありましたけれど、「ステージ0のがんも判定できるが、部位は特定できない」というような内容でした。これって大変な検査をたくさん受けることになるわけです。だって、どこにがんがあるのかわからないわけです。しかもステージ0ということで他のがん検診でも見つからない可能性だってあると思います。なので、こういった検査が普及することになれば仮にがんが見つかった場合にどう対応するのかもルール化されている必要があるといえそうです。

 米国をはじめとした各国での「賢く選択」(p58)という取り組みも参考になりました。個人的に大腸内視鏡検査のことがインパクトありました。1~2年に1回は必要なのかなと思っていましたが、まずは書かれていた年数の半分程度を目安にしようかなと考えています。

 <過去参照記事> 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受診しました。


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■第2章 ◎ ぜひやっておきたい健康法

・あらゆる病気を招く喫煙 p73~
・忘れられがちなワクチンの恩恵 p80~
・きちんと睡眠をとる p104~
・治療の前に、治療に集中できるだけの環境を整えることが大切 p130


 「おわりに」にも書かれていますが、シンプルです。氾濫する情報に惑わされるのがもったいないと思えるほどに裏技なんて存在しないわけです。

 BMI値も高いすぎるよりも低すぎるほうが死亡率は高いのもインパクトがありました。おかげさまで私も40歳前後からBMI値は年相応に上がってますので、気にしなくて良いと知れて安心です(笑)
 2019年から睡眠には手を入れましたので、あと足りてないのは適度な運動ですね…これは何とかせねばと思っていますが、もう少し子どもたちが大きくならないと時間の確保が難しいかなーと(言い訳を)考えています。

 <過去参照記事> ”極論で語る睡眠医学”読みました。


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■第3章 ○ できたらやっておきたい健康法

・食べすぎ注意の赤肉や加工肉 p141~
・「自然毒」にも要注意 p164~
・成人が接種を検討してもよいワクチン p175~
・日本とアメリカ合衆国では疾患リスクも医療制度も違うので、そのまま日本には適用できません p180
・コラム3 まさに医者の不養生 p194


 豚肉・牛肉を中心とした赤肉、ハム・ベーコン・シーセージなどの加工肉のデータも普段から多くを摂取する米国に比べて元々少ない日本では、という観点になるほどと思いましたし、過剰に「自然食」を取り入れている人への疑問もシンプルに解消できました。
 昔(戦前以前)に比べてこれだけ長生きの時代です。医療・食など、昔を回帰することを否定するつもりはありませんが、衛生環境などを考えると答えは出ていると思うんです。背景に根拠あるデータを感じさせない情報発信は何事もポジショントークだなーと感じます。


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■特別編 エビデンスの見方

・エビデンス(科学的根拠) p196
・データに基づかない「専門家の意見」は症例報告よりもエビデンスレベルが低い p205
・パラシュートに関する研究 p206~


 個人的にここが大事すぎる内容だと思っています。現代の科学を信じられない人には何を言っても通じないのだと思いますが、そんな人はほんのひと握りのはずなので多くの真っ当な方々には適切に知るための根拠を理解しておくのが大事です。ここを押さえておくことができれば、いわゆるトンデモ情報に惑わされたり迷わされることは無くなります。繰り返しますが、ほんま大事です。


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 これをやったら「健康になる!」「がんが治る!」「病気にならない!」これらはいかにあおられた見出しなのかをわかりやすく知ることのできる本です。人の体は複雑です。何事も極端はダメだと根拠を持って理解できる本です。

 

 今回の著者、名取宏医師の本は過去にも感想を書かせてもらったことがあります。
 ”「ニセ医学」に騙されないために ~危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る~”読みました。
 新装版も出ているようです。お勧めです。


 なぜFP(ファイナンシャルプランナー)の私がこういった情報を取り上げているのかといえば、がんの患者会のアドバイザーを務めていることで医療関係の情報にアンテナが高くなったことが始まりです。
 有象無象のデマやトンデモ情報があふれ、ごく少数のようですが医師資格を持った人でも根拠のない・高額な自己負担の発生する情報(公的医療保険適用外の自由診療など)をweb・SNSで拡散していたり本を出していたり、科学的に根拠のない情報を影響力の強い新聞・テレビ・雑誌などが無責任に垂れ流していたり、本当に悩ましいと感じることが多々あるからです。
 この数年は真っ当な医療関係者、特に医師からの発信が増え、SNSなどにおいても情報量において安定感が出てきています。ものすごくありがたいことです。そういった真っ当な情報を発信してくださっている(と私が感じる)医療関係者の方々の本(情報)はたくさんの人に知ってもらいたいと思う次第です。

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。



【2020/1/25(土)】若年性のがんとアドバイザーとしてのFP


 日本FP協会継続教育研修で初めて講師を務めます。

 「若年性のがんとアドバイザーとしてのFP」
 2020/1/25(土)15:15~16:45

 会報誌FPジャーナルの1月号に掲載がありました。
 https://members.jafp.or.jp/seminar/ms002Slct.do?index=21
 (ログインが必要です)

 200106_01

 ※ 一部白塗りにしているのは面識のない人のお名前を出すのはよろしくないかなと思いまして…(他意はありません
 ※ 上の方は知り合いなので消しませんでした。

 AFP(2級相当)とCFP(1級相当)の資格をお持ちの方々が受講でき、資格更新のための単位を取得できる研修です。

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 告知文です。

 「20~30代が好発年齢で10万人に1~2人が罹患する希少ながん、精巣腫瘍。約8年ほぼ毎月アドバイザーとして患者会ピアサポートに同席し経験した、がん患者とその家族への制度とお金の相談の事例をお話しします」

 ほぼ新作資料でして、絶賛作成中です。
 現時点での配付資料の項目名(抜粋)です。


 ■がんに関する基礎知識を知る
 ・がんを知る
 ・標準治療を知る

 ■若年性のがんを知る
 ・がん罹患率とがん罹患者の年代別割合
 ・精巣腫瘍とは
 ・抗がん剤の副作用を知る
 ・精巣腫瘍患者友の会 【J-TAG】 と FP

 ■アドバイザーとしてのFP
 ・FPの役割
 ・がん治療とお金の問題は世代の違いで仕組みが変わる
 ・【事例】 精巣腫瘍患者/経験者/家族からの相談
 ・がんは誰のせいでもない

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 講座後の会員交流会(懇親会)も依頼をいただきましたので参加します。
 このブログをご覧くださっている人でこの研修受講の対象となる人は多くないとは思いますけれど、ご参考になりましたら幸いです。


現役世代と高齢世代で異なる公的保障とお金の話 / 精巣腫瘍公開講座2019 in 吹田


 アドバイザーを務めています精巣腫瘍患者友の会による公開講座2019が14(土)に済生会吹田病院で開催され、私も登壇してまいりました。今年で3回目の開催です。

 190914_吹田病院

 精巣腫瘍公開講座 in 吹田 開催のお知らせ

 190914_案内

 今回は一般参加が30名弱、吹田病院の関係者の方々が10名弱、患者会メンバーが5名。これまでの2回に比べて規模の大きな会となりました。

 簡単ではありますがポイントだけ書き出します。一部敬称略で失礼します。

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1.精巣腫瘍患者友の会について
  代表 改發 厚

 190914_1-改發さん_400

 2010年10月30日 京都宣言


 表現が難しいのですが、普段はおふざけ感のある楽しい代表でして、でも実際の相談対応やこうした場で語っていただき会を仕切っていただくと、とにかくその熱量と本気度が明確です。ほんますごい人やといつも思わされます。


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2.精巣腫瘍の治療について
  済生会吹田病院 泌尿器科科長 中村 晃和医師

 190914_2-中村先生

・精巣腫瘍はベーシックな対応(標準治療)に変化はなく、発表内容に昨年と大きな違いはない
・10万人に6人より下回ると、希少な疾病としてさまざなま対応が進みにくい傾向にある(胚細胞腫を含む精巣腫瘍は10万人に1~2人)

・好発年齢の20~30代は日々忙しく、デリケートな部分のことであり恥ずかしさもあって初動が遅れてしまうケースが多い
・発見時の予後が悪くても、80%程度は治る
・1~2種類目までの抗がん剤使用で治った場合の5年生存率はほぼ100%、3種類目までで同80%、4~5種類目までで同50~60%
・1クール(21日)のスケジュールをきちんと守ることが何よりも重要

・人生において変化の起こり出した年代のがんであるからこそ、患者会の存在は本当にたいせつ


 重要な土台となる治療の情報をわかりやすく丁寧にお話しくださいます。患者会で医師がこれだけ近い存在なのは普通では考えられません。対象者の多いがん種の場合には難しいのかもしれませんが、精巣腫瘍は明らかに違います。医師を含めた医療者がともに進んでくれる患者会。良いです。


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3.抗がん剤副作用との上手なつきあい方
  済生会吹田病院 がん化学療法看護認定看護師 佛願 彰太郎氏

 190914_3-佛願さん

・抗がん剤の種類と投与スケジュール、副作用の種類
・吐き気
 脳へ吐き気を伝える信号をキャッチする薬など種類が増えている
 便通を整えるのも大事
・脱毛
 頭皮を柔らかく保つことが大事
 脱毛時も洗顔剤などで顔と一緒に洗ってしまわない
 眉毛も意識したい
・しびれ
 長期化。指サックなどの便利グッズの活用を
 「しびれ お助けグッズ」で検索すると情報多い
・男性機能
 抗がん剤終了後6ヶ月は避妊を
 精液に抗がん剤が含まれている
・不安や心配事は医療者などに遠慮なく伝えてほしい

済生会吹田病院×オンコロ 男性がん患者さん対象アンケート調査にご協力ください


 佛願さんが研究責任者を務めておられます。ぜひご協力を!

 医療者の講演はわかりやすさを心がけてくださっても、やはり患者本人・家族を含む一般人には難しい用語や表現が出てくることがほとんどなのですが、佛願さんの発表は隅から隅まで丁寧でわかりやすかったです。懇親会で仲良くなりました^^


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4.ピアサポーター養成講座の受講報告
  精巣腫瘍患者友の会 ピアサポーター 大谷 浩一

 190914_4-大谷さん

兵庫県のピアサポート事業
・当事者だけでなく家族も受講できる

・受講者の中高年が8割、女性が2/3
・受講理由「自分も助けてもらったから」
・自己開示

・傾聴は一朝一夕に身につかない。別でも学びたい
・人と人との相性も大事
・お金のことはファイナンシャルプランナー(FP)など別の専門家へ
・ネットの情報や思い込みの情報は危ない


 2019年春からピアサポーターに加わってくださった大谷さん。真摯な姿勢とまじめなお人柄で、個人的に今回の発表の中で断トツ1位としてご紹介したい、僭越ながらすばらしい発表でした。


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5.関東圏のJ-TAG活動報告
  精巣腫瘍患者友の会 ピアサポーター 池内 健一

 190914_5-池内さん

・筑波大学附属病院で開催
・イベント参加報告


 関東の対応はほとんど池内さん1人にお任せしている状況です。
 みんな頭が上がらないです。


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6.【特別講演】患者さんのご家族ご遺族の方、話してみませんか。


・配偶者を看取った経験を社会に還元したい
・家族は第2の患者ではない
・グリーフケア/グリーフサポート
 何を失っているのか
・経済面を含め、公的支援の拡充重要性


 懇親会でもお話しさせていただきましたのでコミュニケーションは取れましたが、一個人の方なので私のブログではお名前を出すことは控えました。さまざまな切り口での支援の場が存在していることは大事です。


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7.コミュニケーションについて
  精巣腫瘍患者友の会 共同代表 古谷 浩

 190914_7-古谷さん

・顕在化していることと顕在化していないこと
・傾聴という表現が安易に使われすぎている
・何がコミュニケーションの目的なのか
・一緒に考え合うこと
・自分だったらどうしてもらいたいのかという視点


 心理学で大学院に通っておられる古谷さん。私が最も多くピアサポートの場でコンビを組む、いわば相棒です。阿吽の呼吸ができあがってきています。
 がんや治療に関する知識量が豊富であり、話を聴くという立場として冷静でマクロな視点にうならされます。


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8.現役世代と高齢世代で異なる公的保障とお金の話
  精巣腫瘍患者友の会 アドバイザー 伊藤 俊輔(CFP®)

配付資料のタイトル抜粋です。
・がんとFPのこれまで
・がん治療とお金の問題は世代の違いで仕組みが変わる
・各専門家とチーム医療
・FPの役割
・精巣腫瘍患者友の会ピアサポートでFPが対応していること


 実質10分ほどでのトリを務めました。
 私は唯一精巣腫瘍を経験していませんし、経験した家族でもありません。だからこそ「自己開示」は重要ですし、立場を知ってもらうことも重要です。

 相談者の方々がお金の相談を自ら調べに調べてお越しくださる日々の相談対応と患者会での対応は大きく異なります。なので、ピアサポートにおいては各項目の質問にお答えすることはあっても深い相談になることはありません。でも、きっかけとしてはそれで充分なんです。いつでも質問できる専門家がいつもそこにいる。このスタンスです。


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 さっそく患者会さんのブログでも発信されていました。
 《活動報告》精巣腫瘍公開講座in吹田が開催されました。
 ※ このブログと重複写真が多いのですが、私が撮影者だからです。

 過去の開催報告はこちらです。
 2018年 患者・経験者・家族からの社会保険やお金に関する相談事例 / 精巣腫瘍公開講座2018 in 吹田
 2017年 登壇してまいりました / 精巣腫瘍公開講座 in 吹田

 来年、2020年は患者会の発足から10年です。10周年記念イベントを開催する予定と聞いています。私もどこまでお手伝いできるのか、もしかすると実行委員レベルでお手伝いすることになるのかもしれませんが、皆さま引き続きよろしくお願いいたします。