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【2019/9/14(土)】精巣腫瘍公開講座2019 in 吹田に登壇します!


 患者会オフィシャルサイトの案内ページはこちら。
 《お知らせ》精巣腫瘍公開講座 in 吹田 開催のお知らせ

 今回で3回目(3年目)です。

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 私が時間をいただいているのは「現役世代と高齢世代で異なる公的保障とお金の話」という15分の演目です。
 正直に言いまして、私の発表には目新しい内容はありません。それは基本を押さえておく必要性のたいせつさを何度でも何回でも伝え続けたいからです。

 今回は副作用の話やピアサポーター養成講座の受講された報告、そしてみんなが頼りにしている中村医師の講演がたっぷり1時間確保されています。
 精巣腫瘍に関わらず、ご興味をお持ちの方、勉強してみたい方はどなたでもお気軽にご参加くださって大丈夫です。

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 昨年の開催報告記事はこちら。
 患者・経験者・家族からの社会保険やお金に関する相談事例 / 精巣腫瘍公開講座2018 in 吹田

 <参照ブログカテゴリ> 精巣腫瘍患者友の会ピアサポート


”がんになったら知っておきたいお金の話”読みました。


 ”がんになったら知っておきたいお金の話 ~看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵~”(2019年1月28日 初版第1刷)を読みました。

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 著者はファイナンシャルプランナー(FP)の黒田ちはるさん。黒田さんとお会いしたことはありませんが、facebookで検索してみたところ共通の知り合いが何人かありましたので、いずれお会いする機会もあろうかと思います。

 ツイッターで存在を知り、やり取りが何度かありました。



 こんな感じの嬉しいきっかけもお聞かせくださり、ご著書を読まねばと思いました経緯です。

 このブログに訪問くださっている皆さまはご存知のこととは思いますが、一応リンクをご紹介しておきます。
 <ブログカテゴリ> 精巣腫瘍患者友の会(J-TAG)ピアサポート
 早いものでお手伝いを始めまして丸7年たちました。


 いつも通りアウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■プロローグ 看護師FPってなに?

・決意したは良いけど、ここで家族の大反対です。「せっかく看護師になったのに」「そんなの誰もやっていないし、需要はあるの?」(中略)あんなに反対していた家族ですが、今では一番の理解者です。 p12-13
・がん患者に対応できるFPはまだまだ少ない p20~
・全国の患者さんが近くの病院でFPによる家計相談が気軽に行え、経済面のつらさも早期に軽減でき、よりその人らしい生活が送れることが看護師FPとしての目標です。 p23


 冒頭の通り、特定のがん種とはいえ私もがん患者さん・経験者さん・そのご家族の方々のサポートを丸7年以上経験しています。元々看護師でおられたことがFPとして相談をお受けするなかでどれだけ優位に働くのか、相談を依頼する側にとってどれだけ安心感につながるのかは正直いってわかりません。
 間違いなく言えるのは、ご自身でも書かれているように「看護師FP」という存在は稀有でしょうし差別化は明快です。

 医療側の知識があることはもちろん良いことだとは思いますが、そうでなくとも何も問題ないと感じますし、むしろそもそものFPとしての最低限の対応幅をカバーできているのか、さまざまな立場の人と正面から対峙できるのか、その役割を継続できるのか、このあたりが大事だと7年の経験で感じる次第です。


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■がんになったらお金はどうすれば良いの?

・治療中の生活設計表 p42~、350~
・標準治療 p40、50~


 いわゆるキャッシュフロー(CF)表というお金の流れの推移表は年単位で作成します。これを基本に治療のスケジュールなども含めて月単位でまとめる「治療中の生活設計表」、良いものだと思いました。注釈(p44・352-353)を使っての解説もまっとうです。当面のお金のやりくりで悩まれる場合には大事な視点だと感じました。

 標準治療の解説もさらっと書かれていて良いです。患者さんをサポートする立場のFPも発信すること、大事です。
 <過去参照記事>
 ・”医療否定本の嘘”読みました。
 ・”「ニセ医学」に騙されないために ~危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る~”読みました。


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■第1章 自営業(個人事業主)のケース
■第2章 働き盛りの会社員のケース
■第3章 60代前半のケース
■第4章 専業主婦のケース
■第5章 共働きのケース
■第6章 つらくて退職を検討しているケース
■第7章 再発語見通しが分からないケース
■第8章 一人暮らしのケース
■第9章 積極的な治療を終了したケース

 制度を順に説明するのではなく、ケーススタディーですので読み進めやすいです。当事者の方々も手に取りやすいと思います。
 細かいことを言えば制度説明も各章に散らばっていますので、巻末に索引があれば良かったのかもしれません。詳細な索引ではなく、大項目だけでも問題なさそうです。
 

 以降は細かいつっこみです。

・住宅ローン p183~

 現時点でも金利3.05%で継続して借りておられるケース(しかも現時点で借り換えの可能性のある人)ってかなり珍しいパターンのように感じます。もちろん確認することは必要です。私も確認します。でも、あまりに効果の大きい希少な事例を使うのは期待を持たせてしまう分、本の意図とは異なってしまうように感じました。


・家賃を支払うことが難しい方の相談窓口 p245~

 FP資格をご存じない方々への念のための説明です。この項目の内容をFPは学びません。いわゆる福祉事業、自治体の役割です。
 幅広い知識を持っているFPが提供できることは十分に意味があります。案内できるかできないかで言えば、できるほうが相談者さんに役立つのは間違いないでしょう。このあたりは黒田さんならではなのだと思いました。


・介護保険について p320~

 章立ての都合上「積極的な治療を終了したケース」に書かれているわけですが、当然ながらそうでなくても該当する可能性もあります。障害とは言葉を換えれば「身体の機能性が損なわれている」ということだと私は認識しています(正式な定義ではありません)。
 若くで長期間にわたる治療を継続した場合など「積極的な治療を終了したケース」でなくとも、該当することは考えられます。ケーススタディーで本を書くことの難しさだと感じました。


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■コラム

⑤「保険を売っていない、がん患者さん専門のFPってどんなことをしているの?」 p215


 コラム5つもボリューム満点です。
 ⑤を取り上げますが、看護師資格をお持ちでもこの質問を受けられることがあるのですね。一般の場で私のことを紹介くださる際に「ファイナンシャルプランナーの伊藤さんです」とだけの場合、いまだにどんなふうに伝わってるかなと思いを巡らす場面が多いです。「保険の人ですよね」と言われる(思われてる?)ケースが多いからです。

 地道にがんばらねばと思います。黒田さん、お互いにがんばりましょうね。


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■エピローグ 一人で悩まない、困ったときの相談相手探し
■おわりに

・がん患者さんの相談に慣れているFPはさらに少なく、実際に病院で相談を受けているとなると、全国にほんの数人という状態 p344
・この本で一番伝えたかったのは、「がんになった後もお金の面でできることはたくさんある」ということ p355


 私からの希望はいつも書きますこの文章です。

 現在の私は患者会さんを通じたボランティアです。近い将来、がん相談支援センターなど患者にとって比較的足を運びやすい場所で、専門家としてのファイナンシャルプランナー(FP)が当たり前に相談員として病院に採用され、本人やその家族がいつでも相談を受けられるような社会になっていてもらいたいと強く願っています。

 この分野へ私が注げる時間は限られています。患者会での実績作りで手一杯です。黒田さんの活躍で大きく社会が変わることを強く願っていますし、大応援しています。(他力本願ですみません)


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 患者さん本人やそのご家族が自分の力でこの本にたどり着けるケースは少ないかもしれません。どちらかと言えばFP側がこの本の情報・知識を得て、日々の相談でがん患者さんやそのご家族を対応する場面が現れたときに役立たせるケースのほうが多いのではないでしょうか。また、黒田さんのFP相談を受け、手に取ってみようと思われるケースも多そうです。

 繰り返しとなりますが、制度の解説ではなくケーススタディーでまとめられていて読みやすいです。お勧めです
 
 

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。



大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受診しました。


 2019年の春に人生で初めて、大腸内視鏡カメラ検査を受けてきました。

 「まずは胃カメラ」との声も聞いていたのですが、数年前に血液検査でピロリ菌はいない(確率が高い)ことがわかり、日常生活で胃に不快感などはありませんので大腸を優先させてみました。過去に読んだ本でも40歳になったらカメラ検査はお勧めされていたという背景もあります。

 その記録です。

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■1回目の受診

 まずは大腸カメラ検査を受けたい!ということを前提に受診します。
 すみません、あまりきれいな話ではないですが、この数年「大」の切れが悪いときがありまして、正直に医師に伝え、横になって腹部の触診のうえ日程調整となりました。

 看護師さんからたくさん説明を受けます。私はそういった情報に慣れているほうだと思いますけれど、いわゆる最悪のケースもきちんと説明がありますので慣れていない人だと怖い検査なのかなと感じてしまうかもしれません。


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■検査の前日

 朝・昼・晩と検査食です。
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 デスクワークでしたら気にならないのかもしれませんが、外勤であったり、私でいえば相談対応などが複数あったら多分おなか空きすぎで厳しかったと思います。
 正直おいしかったので味に不満は感じませんでした。量も小食の人だと十分すぎると思います。ただ、おかゆ・スープですからすぐにおなか減ってしまいますけれど。

 就寝前に下剤を飲みます。
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 寝ているときにおなかが痛くなるような強烈なものではないようです。私は翌朝に効果が現れました。


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■検査当日

 8時30分に病院へ。

 これまでの定期健康診断などで腹部エコー(超音波)検査も受けたことがなかったので、合わせてお願いしていました。おかげさまでポリープも何もなく超健康な身体です。


 ここからが本番です。
 私の場合8時50分スタートで、200mlの下剤を10分間隔で飲み続けました。
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 トイレ付きの個室だったので、かなり本を読めました。


 下剤の記録はこちら。
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 何というか、、、苦行ですね。ビールでもこんなペースで飲んだのは人生で数回(20代前半)しかないと思います(笑)

 アクエリアスのレモン味のめちゃめちゃ薄くて違う味もまざっているバージョンでしょうか。途中までは楽勝だと思っていましたが、さすがの私も最後の2杯はきつかったです。(味としては前夜のほうがおいしくなかったです)


 で、すみません汚い話ですけれど、トイレの後半は薄い黄色の液体が「シャー」って出るんです。
 で、その状態のものを看護師さんに見てもらわないといけないんです。看護師さんは慣れておられるのだと思いますが、大変なお仕事ですよね…(次男と長女の同級生のママさんに似ている看護師さんだったので個人的に恥ずかしかったです…)

 9時50分の時点ではまだ少し固形物が混ざっている感じでしたので、下剤を飲み切るように指示が…。飲み切った10時40分の後を確認してもらい、OKとなりました。

 専用のパンツにはき替え、検査着をはおり、ひたすら待機です。
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■検査

 12時から13時の間で呼びに来ますということだったのですが、私の前の受診者の方が(当然ながら詳しく聞けませんが)いろいろあったようで、かなり時間がかかったということでした。

 検査の台も手術台?の雰囲気でしたので、初めての人は心理的負担が大きいように思います。私は2年ほど前に(骨髄提供で)手術台の経験がありましたので何も気になりませんでしたけれど。


 そしてスタートです。
 医師も看護師さんもものすごく丁寧で親切でありがたかったです。

 もっとこう、ずっと「うおっ…」が続くのかと思いましたけれど、最初の in の瞬間以外はおしりの感覚よりも、おなかの中をカメラが進んでいく感じのほうが気持ち悪かったです。
 私の場合は腸が若干敏感なタイプだったようで痛みを感じるときもありましたが、それでも麻酔が必要なほどとは思えませんでした。


 検査での一番奥である十二指腸までカメラが到達すれば、元に戻りながら検査が進みます。
 腸内の映し出されたモニターを見ながら、丁寧に診てくださっているのがわかる検査でした。(腸に残っている薄い黄色い液体も吸い出してもらえる!)
 そして、最後はカメラをぎゅっと反転させて、直腸~肛門部を確認。

 これまたおかげさまで、ポリープや炎症などもなく超健康な身体であることがわかりました。


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■検査後

 おなかが減っているはずなのに、あまりに(胃から大腸まで全部)からっぽのせいか、はたまた下剤をたくさん飲んだからか、すぐに食べたい気持ちにはなりませんでした。

 夕方にうどんを食べ、夜は普通に家で食べました。お酒は2日後にしてみました。

 何度も受診しておられる人生の先輩から「年に1回受けると体の中がすっきりする」と聞かされていましたが、1回だけではその境地にたどり着けていないかなと感じます。何も見つからなかった今回で言えば毎年受ける必要性も無いように思っています。


 という体験談でした。フルタイム勤務の場合、日程調整が少し大変かもしれませんが、40歳以降は一度受けてみたい検査でしょう。ご参考になりましたら幸いです。

<過去参照記事>
 ・”日本一まっとうながん検診の受け方、使い方”読みました。
 ・”人間ドックにだまされるな!”読みました。


<追伸>
 鼻炎以外で久しぶりに医師の診察を受けましたので、念のため風しんの抗体検査も受けてきました。抗体の少ない人の多い年代なんです。おかげさまで十分な抗体を持っていました。両親(特に母親)に感謝です。


府民公開講座「府立医大で始まる最先端放射線治療 ー陽子線治療は何が素晴らしいのかー」を受講してきました


 2019年2月17日(土)、京都府立医科大学附属図書館で開催されました府民公開講座「府立医大で始まる最先端放射線治療 ー陽子線治療は何が素晴らしいのかー」を受講してきました。

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 先進医療や陽子線に強い興味があるわけではありませんが、事務所や自宅から徒歩圏内の場所でこういった内容の講座を聞ける機会は希少で貴重です。

 私の独断と偏見に満ちた抜粋ではありますけれど、記録の意味も込めてまとめます。

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■講演1 永守記念最先端がん治療研究センターについて

・画像診断に放射線科医が関わっているのは全国でも半々
 京都は多く関わっている地域で、例えば東北は少ない
・小児専門科と陽子線治療が一体化となっているのは全国で3ヶ所
 今回の京都の他には北海道と兵庫


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■講演2 切らずに治す放射線治療 -新たな光・陽子線治療-

・唯一の被爆国という背景もあって放射線治療は他の先進国より進歩に時間がかかった。
 がん治療における放射線治療の利用率
 米国66%・ドイツ60%・英国56%・日本は20%台

・低侵襲、機能・形態を残せる治療
・放射線とはエネルギーの高いもの
・特長はリンク先の「ここが違う」部分

小児がんの治療で大事なのは成長障害が起きにくいこと、二次がんの可能性を低くすること。通常のX線だと晩期障害の発生率が58%、陽子線は1ケタ%。
・治るのがもちろん大事だか、どのように治すのかが問われる時代


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■講演3 前立腺がん治療における新しい選択:陽子線治療

・前立腺とは射精時に精液を3~5cc分泌する役割
・前立腺がんは65歳以上の男性がほとんどのため、機能的に悩むケースは稀
・ゆっくり進行するケースが多いが、中には早いものも。初期は無症状。
・前立腺肥大症とは別物、尿道のまわりに前立腺があり、前立腺がんはその外側
・年9万人が罹患、約7人に1人の約1.2万人が死亡
・欧米人のほうがかかりやすく、食生活が影響?
 日本に生まれてハワイ在住となった人の罹患率は米国と日本の間くらい

・進行している状態でも陽子線治療は5年生存率が非常に高い(95%)
 (伊藤追記:通常の放射線治療や他の治療方法でのデータ提示はありませんでしたので、どれだけ優れているのかはわかりませんでした)


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■特別講演 粒子線治療の現状と今後の動向について
 筑波大学附属病院陽子線治療センター部長

・陽子線治療希望の患者を1日10人診察している
・診察だけでなく、研究も教員も兼ねている
・「幸運」という言葉を大事にしている

臨床医として
 初級 あいさつできる・返事ができる・相談出来る
 中級 好奇心がある・論理的である・大小の目標がある
 上級 いつも機嫌が良い・予想外のことが発生しても情緒的・人を許せる

・がんは誰のせいでもない
・治療法は人それぞれ違う
・今はQOLが大事な時代

・放射線治療は未知なことが多い。見えないメスともいえる。
・元々自然界に存在する物質
・形態と機能が残る治療であることは大事
・体力・具合がよくなくても使えるケースがある
・手術ができない部位でも治療できる

・小児がん 背骨に当たらなければ成長できる
・脳腫瘍の例 通常の放射線は治療効果30%、陽子線は70%
・食道がんでの心肺毒性を減らせる
・陽子線治療の半分は先進医療 肝臓や肺の中心部

・先進医療とは研究がかなり進んでいるけれどまだ吟味の必要な治療


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<所感>

 陽子線治療の保険診療化をこれまで進めてこられた医師の1人が今回の特別講演の先生だそうです。府立医大の小児がん患者で陽子線治療が必要な場合もこの先生と協力のうえで、筑波へ行って治療を受けるなどの連携もあったそうです。
 司会を務められたがんプロフェッショナル養成センター長で小児科教授の医師が非常に熱く、閉会の挨拶でお話しされていました。


 どの医師とは言いませんが、講演で受講者に呼びかける際「皆さん」「皆さま」などではなく、「あなた」「あなたがた」という表現を使っておられ、ものすごく上からに聞こえてしまったのが残念でした。こんなことを感じたのは私だけかもしれませんけれど…

 保険会社の扱う保険商品での「先進医療特約」があれば陽子線治療は費用負担がほぼゼロになるという表現を使っておられた医師もおられ、保険診療になっていない(=効用が他の治療より優れているわけではない)と私は認識していますので、通常の放射線治療に比べて医療費負担が小さくなるから先進医療である陽子線治療を受けたいという人が出てきてしまう(実際に多くおられそうに思いますが…)のではないかと嬉しくない気持ちになりました。
 また、保険料は月に数百円~1000円程度とおっしゃっていた医師、正しくは100円前後が多いです。


 通常の放射線治療に比べて、陽子線治療が周辺臓器に影響を与えにくいという利点は十分に伝わってきましたが、その他にデメリットが何なのか触れられた内容は私が聞いた限りありませんでした。仮にメリットしかないのであれば、いかに装置が高額とはいえ、もっとシンプルに広まっていくと思うんです。でもそうではない。

 がんの患者会さんのサポートに関わって約7年ですので、普通の人に比べて少しだけがんに詳しいと自負していますが、もちろん医師をはじめとした医療関係者の専門職の方々からみれば普通の人と変わらないレベルだと思っています。今回の内容では講演の受講者の多くを占めていた高齢者の方々は、がん治療において放射線を勧められたとき陽子線を使ってほしいと安易に言ってしまうと私でも感じました。

 今回の公開講座の成果がそれでは良くないと思うんです。陽子線治療の存在を広く知らしめる意味では大事な一歩だったのだと思います。新年度以降の陽子線治療の動向はできる限り知っていきたいと感じました。



”日本一まっとうながん検診の受け方、使い方”読みました。


 ”医者がマンガで教える日本一まっとうながん検診の受け方、使い方”(2018年8月6日 第1版 第1刷発行)を読みました。

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 著者は近藤慎太郎医師。ブログ「医療のX丁目Y番地」はこちら。
 ツイッターでフォローしている医療関係者の方々が推薦されていましたので手に取りました。一応のお伝えですが、私は面識ありません。

 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。

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■はじめに

 この本の特徴はマンガです。絵に好き嫌いはあると思います。私も二択であればあんまり好きな絵ではありません…でも、あずま留の介さんは憎めないタイプで嫌いじゃないです(笑)
 マンガのおかげで、めちゃめちゃ読みやすいと思います。


■おわりに

・定期的にがん検診を受けて最新医療の恩恵に浴する人たちと、そうでない人たちの間には、なんと大きな差があるのか。(中略)正しい医療情報を知らないばかりに、ここまで決定的な差がついてしまうのです。 p308


 本の紹介の際にはいつも書きますけれど、はじめにの流れで本編を読む前に、あとがきを先に読むスタイルをお勧めします。
 本の目的・著者の思いを先に知ることができるからです。動機付け、大事です。


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■1章 肺がん:がんの中でも死亡数は第1位!  喫煙者は要注意

・もし喫煙者が末期の肺がん患者の様子を目の当たりにしたら、その日から近影できるのではないかとも思います。 p20
・「喫煙はゆるやかな自殺」と言っても過言ではありません。 p30


 直球でズバッと刺さる表現も多く、読み進めやすい本です。


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■2章 胃がん:罹患数は減少傾向。だがピロリ菌の除菌は"万能"ではない

・きちんと調整したらどうなるかというと、2015年のすべてのがんの年齢調整死亡率は「121.3」(人口10万人のうち1年間にがんで亡くなる人)になります。つまり1985年の「156.1」と比べて、20%程度下がっているのです。 p46

・地獄の胃カメラ検査、ラクに受けるには p61~


 各がん種の解説だけでなく、全体の統計や考え方も散りばめられています。統計データの読み方、知っておくべきです。


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■3章 前立腺がん:男性なら誰もが気になるがん、前立腺肥大やEDとの関係は?

・早期の前立腺がんを「手術するグループ」と「治療せず経過観察するグループ」にランダムに分けて20年間経過を追ったところ、両グループで前立腺がんの死亡率には、統計的な差がなかったという、かなり衝撃的な報告もあります。 p77


 精巣腫瘍患者友の会をお手伝いしていますので、泌尿器科つながりの前立腺がん情報も触れる機会があります。ロボット手術のダビンチ、先進医療(当時)の重粒子線治療など過剰な競争になっているような、何とも言えない気持ちになるときがあります。


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■4章 肝臓がん:お酒好きは要注意。肝臓だけではない、アルコールの破壊力

・適量の飲酒量の人が一番死亡率が低いという有名なデータがある。通称Jカーブ。 p119


 データの読み方、背景を知ることって大事です。
 グラフにゼロが2つ並んでいる意味、よく理解できます。


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■5章 食道がん:急増中の逆流性食道炎と食道がんの悩ましい関係性

・大多数の日本人の意にピロリ菌がいないという、有史以来おそらく初めての時代を迎えます。何が起こるか誰にも分かりません。 p150


 ピロリ菌がいなくなり、胃カメラ検査の機会が減ることで食道がんの発見機会も減ってしまうという弊害、これは衝撃的でした。人間の身体というのは絶妙なるバランスなのですね。


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■6章 大腸がん:死亡数はがんの中で2位! 大腸カメラは辛い? 辛くない?
■7章 小腸がん:消化管の「暗黒大陸」、カプセル内視鏡が検査で活躍

・大腸カメラよりもキツイ、検査前の大量の下剤 p161


 私も40歳を超え、大腸カメラを優先的に受けようと思ってるんです。でも、病院選びで悩んで前に進みません。今年度~来年には必ず!


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■8章 膵がん:進行が速く、悪性度も高い!  とにかく「避ける」しかない

・膵頭(すいとう)十二指腸切除術 p192
・がんで死ぬことは恐ろしいことなのか p200~


 200~205ページは絶対に読み飛ばさないでほしいです。

 先に書きました患者会をお手伝いし始めてまもなく7年、がんは怖い病気だと感じなくなっている私です。もちろん実際に自分自身や家族が罹患すれば気持ちは変わるかもしれません。でも、今日の明日でいきなり生が断絶されることはないという意味合いにおいて、恐ろしいとは感じません。事故や心筋梗塞・脳卒中など、今この瞬間から先が急に閉ざされることのほうが圧倒的に恐ろしいです。


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■9章 乳がん:若い女性は要注意、検査で見逃さないために

・「乳腺濃度は4グループのどこに入るのですか」 p224


 女性の皆さま、定期的な乳がん検診、受けてくださいね。本当に。


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■10章 子宮頸がん:「HPVワクチン」問題、結局受けるべきなのか

・なぜ日本のHPVワクチンは接種率が低いのか p234~


 一刻も早く定期接種が再開されてほしいですし、男子も対象になってもらいたいですし、早く9価ワクチンが認可されてほしいです。
 <過去参照記事> ”10万個の子宮 ~あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか~”読みました。


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■11章 PET検査、血液がん検診:最先端のがん検査技術、果たしてどう使えばいい?
■12章 がん検診懐疑派への反論:制度は満点ではないけれど、受ける価値はある

・一部の受診者は、不安と疑心暗鬼のるつぼに陥ってしまうのです。 p266

・がん検診でがんが見つかる可能性が低いのは、健康な人ほどがん検診を定期的に受けていて、リスクの高い人たちほど受けていないからです。 p283

・良性と悪性の境界線、見極めは非常に困難 p294


 少し難しいかもしれませんが、しっかり読んでもらいたい章です。易しくわかりやすい文章になるようにされているのが伝わってきます。

 この本を強く推奨されていた仲野先生の講座報告リンクを紹介しておきます。
 「がんってなに? 知っておきたい病気の基礎知識」受講しました
 仲野先生の講座を受講して、今回の本の感想記事を早く書かねばと思った次第です。


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 この本は一家に一冊置いてあって良いです。気になるがん種の章を引きやすいです。「第1版 第1刷発行」とあるように今後改訂版を発行しやすいようにしておられるように感じました。

 マンガもきれいに落ちていて最高です。近藤慎太郎医師のお話を聞ける機会を探したいです。

 

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。