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勧められたものではなく自分に必要なものを買う


 5月下旬に大阪でセミナーを受講してきました。

 インベストライフ講演会「お金と心」
 先日感想を書きました「お金と心」の著者岡本和久さんが講師のセミナーです。


 この本がセミナー資料で他に配付資料はなく、本の内容から抜粋された資料がプロジェクターで前に写し出される形式での進行でした。トピック的な内容を書き出します。

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・学び/働き/遊びの時代
・六つの富(ふ)
・開運の秘訣は表情
・時間軸・空間軸と品格

・お金は感謝のしるし
ハッピーマネー四分法とピギーちゃん
・72の法則

・誤解される「トーシ」という言葉
・預金から投資へ
・「かんたんすぎる」資産運用
・人生を通じての資産運用の目的は「購買力の維持+アルファ」
・時間は最大の武器
・株式は増価証券
・インフレ率と実質リターン
・なぜグローバルなのか
・金融商品は勧められたものではなく自分に必要なものを買う

・全員が平均以上の運用益を得ることは不可
・資産運用は歯磨きのようなもの
・資金の引き出し方はどうする
・人生の楽しみはどこにでもある
・志を後世の世代へつなぐ超長期投資をしよう
・人が見えないところで徳を積む「陰徳」とおかげさま

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 3時間たっぷりのセミナーでしたので、投資との向き合い方「心」の部分のお話が多かったように思います。インパクトも強かったです。こういった内容を聞ける機会は通常のマネーセミナーではありえないと感じます。
 「かんたんすぎる」75文字の投資戦略は著書のp74にも記載されています。ぜひ著書をご参照ください。


 休憩時間や懇親会で耳に入ってきた話題から、いわゆる本当の初心者や一般の人は多くなくて長く岡本さんのファンであったりFP資格をお持ちだったりこういった会には欠かさず足を運ばれるような方々が大半だったのではないかと感じました。

 セミナー後の質問で個別具体性の強すぎる質問が出てくるのは資産運用に関係するセミナーではもう当たり前のようです。日々相談を受けている講師でなければ答えられませんし、日々相談を受けている講師でも質疑応答の短時間で答えられるわけがないというような質問です。3時間ものセミナーでも出てきてしまうのが、やはり運用に特化したセミナーの特徴であり、一般の方々が参加をためらう背景になってしまっているように感じます。質問されている人が初参加の初心者の人とはいつも思えませんし…。


 岡本さんが主宰されている「長期投資仲間」通信インベストライフは毎月無料で非常に有益な情報を発信されています。毎月ボリュームたっぷりですので私もすべては目を通せていませんが、バックナンバーも読めますのでお勧めです。



”お金と心”読みました。


 ”お金と心 ~200パーセントのしあわせ持ちになれるシンプルな生き方~”(2018年12月24日 初版第1刷)を読みました。

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 著者はI-Oウェルス・アドバイザーズ株式会社代表取締役社長の岡本 和久(おかもと かずひさ)さん。

 岡本さんのことは以前より共通の知り合いが多く、2017年に4人の専門家による共著”投資の鉄人”のお一人です。
 先日、岡本さんの大阪のセミナーに初参加できまして、ようやくお会いできました。おそらく苦節5年以上です。嬉しかったです。そのときの内容は別記事でまとめます。

 
 いつも通りアウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに
■おわりに
■第1章 学びの時代~お金の基礎知識を得る

・「こんなに良い人生を送れた自分は何と幸せなのだろう」と思いつつ、人生を終えたいものです p18
・お金は感謝のしるし p22~

・誰のアドバイスを聞けばよいのか p52~
・基本的には、私のお勧めする人生を通じての資産運用にアドバイザーはいりません p54
・アドバイザー選択で聞くべき五つの質問 p55~


 私の立場上、後者3つを取り上げます。この3~4ページは本当にその通りだと思います。いわゆる資産運用として、どれだけの額をどれだけの期間かけて投じ、いつ使うお金なのかが明確になっているのであれば「資産運用にアドバイザーはいりません」でほぼ間違いないと言えそうです。
 でもそんな人はたくさんおられません。第5章も参照ください。


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■第2章 働きの時代~将来のための資産運用をする

・なぜインデックス運用が向いているのか p92~


 資産運用はつまり何をすれば良いのかの答えはこの章に書かれています。非常にシンプルです。この結論だけであれば相当にページ数は少なくても問題ないわけですが、基礎となる知識・概念・考え方、そして向き合う「心」がこの本、岡本さんの特徴です。強くお勧めできます。

 細かいことですが、iDeCo(個人型確定拠出年金)のことをp105をはじめとして全体として「iDECO」とされています。p109やp196では「iDeCo」なのにです。正式名称は「iDeCo」です。


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■第3章 瞑想でつかむ200パーセントの人生

・みんな、心も体も疲れているから行動の効率が落ちてしまう。少しだけ時間を取って心身を休ませれば思考や行動に無駄がなくなり、その時間を補って余りある効果が得られるでしょう。 p123

■第4章 私の人生と瞑想

・お金は幸福感に変換して初めて価値を持つのです。 p173


 「心」の部分です。岡本さんご自身も瞑想について「怪しいもの(中略)というイメージが強い(p121)」と書かれていますが、きちんと読めば怪しい部分は1つもありません。瞑想というのは1つの手段であり、岡本さんはたまたまそれに出会い、良い効用を得られたわけで、読者は同様の視点を何で得るのかということです。

 今の私で言えば「睡眠」が当てはまりそうです。
 <過去参照記事> ”極論で語る睡眠医学”読みました。


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■第5章 遊びの時代~「しあわせ持ち」へのロードマップ

・資産の引き出し方はどうする p207~
・信頼できる独立系のファイナンシャル・アドバイザーなどの助言を受けることをお勧めします。 p208


 ファイナンシャルプランナー(FP)ではなく、「独立系のファイナンシャル・アドバイザー」と書かれているのが私の立場としましては残念ですし、ある意味で悔しいです。
 「独立系のファイナンシャル・アドバイザー」はIFAと表現されます。いかにも専門家に見えますが、正しくは金融仲介業者であり証券会社の代理店です。第1章の部分にもつながってきますが、資産運用に特化した助言を求めるのであれば選択肢かもしれません。
 <過去参照記事> IFAとは証券会社の代理店さん

 でも「資産を引き出す」観点では、公的年金や働き方(収入)といった入ってくるお金といわゆるライフプランとも呼べる将来にわたる資金計画も加味する必要がありますので、相談相手は十分に吟味されるべきだと考えます。
 岡本さんも「財産の額、借金の有無、家族構成、遺産として残したい額、さらにその人の性格、人生観まで関係してきます(p208)」と書かれています。であれば尚更、本来はFPの役割でしょう。岡本さんは一般的なFPに良い印象をお持ちでないのかもしれないなと感じました。


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 そしてやっぱり最後にこれを書かせてください。いかに大御所の岡本さんといえど、これらの記述は私の立場として見過ごすわけにはいきません。

・年金だけではとても将来の生活は支えられません。 p4
・年金だけでは退職後の生活はできない p64~
・受給できる額は小さくなりますし、その時期はどんどん遅れていくことになります。 p192


 公的年金保険は長生きをしてしまった場合の保障の仕組みです。退職後の生活を支えてくれるものではありません。公助・福祉(救貧)の生活保護とは違い、公的年金保険は共助・社会保険(防貧)ですから受給額だけで生活のすべてをまかなうものでもありません。
 さらには「その時期はどんどん遅れていくことになります」です。現在、移行期間中である厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳になっていることを意味しておられるのであればその通りですが、おそらくそうではない文面かと思います。65歳からではなく、それ以上の年齢へ遅れていくという意味であれば、そんな事実や議論は一切ありませんので根拠なくあおっている人(メディア)と同じになってしまいます。せめて「その時期はどんどん遅れていくことになるのだろうと私は考えます」であればご自身のお考えなので何も気になりませんでしたが(いや、多少は気になりますが)、この書き方はよろしくないです。

 投資や資産運用を専門としておられる方々が絶対にしてはいけないと私が考えることをご紹介しておきます。


 こういった不安をあおる前段の文章を当たり前のように使っておられるのは悲しいのですが、資産運用に関する部分や向き合う心に関しては本当にお勧めできる本です。


 
 長文をお読みくださり、ありがとうございました。



”経営者はいかにして、企業価値を高めているのか?”読みました。


 ”経営者はいかにして、企業価値を高めているのか?”(2019年1月16日第1刷)を読みました。

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 著者は農林中金バリューインベストメンツ株式会社常務取締役の奥野 一成(おくの かずしげ)さんと京都大学名誉教授の川北 英隆(かわきた ひでただ)さん。

 京都大学経済学部での農林中金バリューインベストメンツ寄附講座「企業価値創造と評価」の講義録で、2018年度の内容ということです。(リンク先の内容はこの記事を書いた時点で2019年の講義スケジュールです)
 とあるご縁で奥野さんと知り合うきっかけがありまして、この本をお送りいただいてしまいました。感謝を申し上げます。

 
 いつも通りアウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに 「現代の資本家」になろう

・簡単に言うなら、株式投資とは企業のオーナーになることです。 p3


 これが始まりです。私はいつも「株式とは出資金」と言います。

 何かよくわからないけど値動きがあって大損するかもしれない株式ではなく、この会社は応援したいから資金を出したい(出資)、これが株式です。ここの理解を深めるための本質のような役割の本です。


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■第一章 独創し続けるための「朝令暮改」、「任天堂」、「分相応」、これが任天堂のDNA

・任天堂の任天とは「天に任せる」という意味からきている p34

・【Column】インデックスをうのみにするのではなく、投資家それぞれが、企業の考え方、活動を知り、自身の価値観、運用哲学に照らして、主体的に判断する姿勢が重要です。 p41


 コラムの件、重要だと思います。本当に重要です。でも、すべての人がこのようにできるのかという点で考えれば、まず難しいです。

 できる人・やりたい人・時間を作れる人は取り組むべしです。でも、もっと他のことに時間を作りたい、投資や運用に時間をかけたくないという方々においては低コストであるインデックスで何も問題ないと考える次第です。


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■第二章 グローバル展開成功の鍵は、現地に根差した経営をすること

・日本はもっと早く、官主導の経済から民主導の経済へ転換しなければならなかったのですが、そのタイミングでバブル経済が発生しました。やがてバブルの崩壊を経て、非常に経済状況が悪くなりました。(中略)本格的な民主導の経済への転換が遅れてしまいました。 p56


 キッコーマン名誉会長による講義録です。世界進出・展開の流れがわかります。おもしろいです。


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■第三章 丸井グループ価値共創経営 

・企業価値をすべてのステークスホルダーの利益が重なる部分と定義 p92~

・若い方はカードでご利用いただく額が多い(中略)この金利のつく分割払いやリボ払いのご利用が、他社と比べると大きいので、利益率が高くなっているということです。 p118


 資本家側・投資家側からすると経営の視点・利益を生み出す視点が大事なのは間違いありません。
 ただ、私のように一般家庭・若い世帯から日々相談をお受けする機会があると、分割払いやリボ払いは余程の事情により使わざるを得ない場合を除き、絶対に使ってはいけない仕組みです。家庭や世帯の資産の視点で考えると、高金利でお金を調達することはできる限りあってはならないことなんです。悩ましく読みました。


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■第四章 社員の心理に着目し、パフォーマンスを最大限引き出す「内的動機経営」

・個人Will(ウィル)という個人別管理会計制度 p147

・内的動機による統治 p158

 
 ディスコ代表取締役社長による講義録です。社内の取り組みが強烈なインパクトです。従業員側の声を聞いてみたいと思いました。


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■第五章 経営理念と、その実践

・人に人徳があるように、企業には社徳というものがあると考えています。 p194
・時流に乗る 経営は時間の関数 p203


 SBIホールディングス代表取締役社長による講義録です。古典・歴史、たくさんの教養と合わせて話が進みます。北尾さんから見た孫さんの話(p227~)もおもしろいです


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■第六章 絶え間ない仮設構築・検証のプロセスと発見

・(日本電産の)永守社長は「3Mはちゃんとモノを見てくれた」と仰っています。 p253

■第七章 長期投資の優位性と投資方法

・市場を買うのか、企業を買うのか p266~
・京都企業はどうなったか p283~
・長期投資においては、流行に流されず、冷静かつ理論的に市場と企業を観察することが求められている。これはいつの時代にあっても真実である p300


 これまでに株式や投資信託を購入したことがない人がこの本を読んで「自分で投資先企業を選びたい」と強く感じても、おそらくその選定がどれだけ大変か気づいて挫折することになるかと思います。
 すでに投資している人だと経験によって大きく違ってくると思いますが、株式投資と向き合う気持ちやその重要性を改めて理解できればそれは大きな収穫でしょう。

 (2018年度の講義なのに第七章のデータは2008年だったりすることは気になりました)


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 ただ、1つ私として残念だったのが次の記述です。

・少子化、高齢化が急速に進む日本の社会において、現行の賦課型公的年金制度では、団塊ジュニア以下の世代が引退後に今の水準を維持するには物理的に十分でありません。 p4~

 さらに「65歳以上の高齢者を現役世代(20~64歳)で支えている比率」という公的年金保険をはじめとした社会保障全般を語るうえで意味のない、報道機関のようなわかっておられない数字の話を持ち出し、「年金受給開始年齢を伸ばそうとする政策」という言いたいことは「支給開始年齢」?なのかなと思いますが、政策なんて議論にもなっていないあおり文章を入れなくて良いのに入れてしまっておられます。

 投資や資産運用を専門としておられる方々が絶対にしてはいけないと私が考えることを前段に出してしまっておられ、そのことだけが本当に残念です。

 あえてこのツイートをご紹介しておきます。


 この部分以外の企業に関するお話は本当にお勧めできます。
 (せっかくお送りくださった本なのにこんなことを書いてしまって申し訳ありません)


 
 長文をお読みくださり、ありがとうございました。


仮に離れられることになったとすると、今の仕組みが維持できるかどうか


 先日、京都市内某所で開催されました講義を受講してきました。

 今月受講しました 背景として簡単に不安をあおったり、何かを悪く言うのはどうかと思う と関連している講義です。

 今回の講師は一般個人の購入できない運用を主に担っておられるファンドマネージャー(FM)さんで「「オーナー」としての株式投資」というお題目でした。

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・投資に対する偏見が大きい
・株式を保有する=その企業と同じ船に乗れる
・成果(果実)を得るには時間がかかる

・ウォーレンバフェット「投資とは、今日の消費を我慢して、将来より多くの消費を可能にすること」
・価値と価格は異なる
・時間の使い方をたいせつにしたい。電車で9割がスマホを触っている。みんなクズ

・投資=「オーナー」になる
・売らなくて良い企業しか買わない。売るのがもったいない。
・でも2年に1回くらいのペースで「見間違えた」企業があり、その際は謝りながら売却する

・「いい会社」とは言いたくない。付加価値
・参入障壁の深い強さ
・トレンドではなく、世界全体では長期的に人口が増えていくなどの流れが大事

・世界の指導者が何か言って一時的に下がってもそれは買い時(ごちそうさま)
・日経新聞に毒されている日本はよろしくない
・でも、日本企業すべてが悪いわけではない。良い企業はたくさんある
・アホみたいに(株価の)高い企業は買わない。ゴミはゴミでしかない。

・私の仕事は「総合知的格闘技」
・経営者は基本的に嘘つき
・ビジネスは闘い
・商品を安く作ることが良いことでは無い

・営業利益に投資する
・人が集まるのは能力であり人間力
・今日の話はすべて仮説。想像力を大事にする。結果は将来にしかわからない

・日本株式投資は約12~13年で約3~4倍にしてきた
・米国株投資は約7~8年で約1.7倍にしてきた
・長期でのパフォーマンスは、人口が増え・世界のGDPの1/4を占める米国のほうが圧倒的に確率が高い。米国でビジネスをしている企業が有望
・いかにしてユニークな企業を見つけるのか。大企業ですべての事業がうまくいっている会社なんて存在しない。会社四季報を読んで「チャリンチャリン」とお金の音が聞こえるレベルに到達できるかどうか

・CSRやSDGs、誰でもできるボランティアは意味がない。他にないことをしているところ
・一発屋は×、イノベーション(人材教育)が組織に落ちているのか。

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 それはもう、ものすごく熱く、時に早い語り口調でインパクトが強かったです。インパクトを持たせるために強い口調・極端な表現も使われていて、エンターテインメントだなと感じました。

 経済の流れ(指数)に連動するインデックスとは異なり、インデックスを上回ることを目的としたアクティブ運用を担っておられるFMです。会社としては一般個人の購入できる商品も扱っておられ、それらの商品の目論見書などを見てみると今回の講師と方針は当然に同じで共有されていることは伝わってきます。


 経営者に会う、従業員とも語らい合う、米国にも年に何回も足を運ぶ。

 結局は人だと思うんです。このFMさんが仮にこの会社から離れられることになったとすると、今の仕組みが維持できるかどうかなんです。ここがアクティブファンドの難しさだと感じます。

 それでも顔の見えないFMのアクティブファンドがほとんどのはずです。こうして熱く語っておられる姿を見れることでお金を託してみようと感じられることはとても大事です。ただ、冒頭に書きました通り今回の講師は「一般個人の購入できない運用を担っておられるFMさん」と聞いていますので、あしからずご容赦ください。(間接的には関わっておられるはずですし、ベビーファンドとマザーファンドでの関わりもあると思います)


 いわゆる独立系投信会社のFMさん以外のお話は久しぶりでした。良い刺激をいただきました。受講を快諾くださった関係者の皆さまには深く感謝を申し上げます。


背景として簡単に不安をあおったり、何かを悪く言うのはどうかと思う


 先日、京都市内某所で開催されました講義を受講してきました。
 昨年受講しました 結局のところ将来は予測不可能 と関連している講義です。

 今回の講師は金融機関での運用部門歴が長く、その後アセットマネジメント会社の社長を務められ、現在は某投資系協会の会長さんで「価値向上へのヒント(告知時:アセットマネジメント会社の社会的役割)」というお題目でした。

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 日本企業の実態としてファクト(事実)を伝えますとの流れで、冒頭から平成の30年を切り出し、

・日本株式(TOPIX)は何も増えていない(海外の指数は伸びているとの比較で)
・老後に備えるという目的の公的年金運用(GPIF)も多くを日本株に投じているが価値を生んでいるのか?むしろ価値を破壊されてしまっているのでは?
・それはまずいということで安倍政権は好循環社会をめざしている

・企業の時価総額世界順位、ベスト100に日本企業はたったの4社
・世界競争力は1位から25位へ
・1人あたり名目GDP(国の稼ぐ力)は3~8位から25位へ
・国債の格付けは最高ランクのAAAからAへ
・賃金が減っているのは日本だけ
・平成の30年は経済の敗北を認めるところから始めないといけない

 時々、苦笑されながら「悲観ばかり伝えたくないのですが」とお話しされていました。

・とはいえこれは社会の平均であり上場企業すべての平均なので、伸びている企業はある。商品や役割に代わりのいない企業は有望。
・これからの若い人には価値を生んでもらわないといけない。
・日本の優秀な学生はどこに就職するのかを考える。欧米の優秀な学生は起業を考える。ただし起業の93%はうまくいかない。でも失敗とは言わない。将来に向けて学習したと言う。
・日本は安心安全がすごい。安定を求める日本、成長を求める他の先進国。その両立が今後の課題。

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 いわゆる投資初心者向けとして、説明を端折られたのだと信じたいような内容のオンパレードで、実は記事にするのをためらいました。1つひとつの悲観を覆していくのは簡単なのですが、長文になってしまいます。


 前半の公的年金、GPIFの件だけは取り上げておきます。

 この会長さん、GPIFの運用結果をきちんと見られたことが無いのだと思います。いや、投資系の協会の会長であり資産運用会社の社長を経験されているので、本当は正しい事実を知っておられるのかもしれません。うまく運用できている事実を認めたくない事情があるのかもしれません。

 GPIFは日本株を最初に買って持ちっぱなしというわけではありません。着実にリバランス(再調整)が実行され、着実に配当収入を得続けていますし、16年間の平均(2018年3月時点)で毎年3.4%も日本株で収益を得ています。この間の外国株式は5.6%ですから差があるかもしれません。でも、「何も増えていない」とは異なります。また、直近5年で言えば年平均12.8%、外国は12.9%、ほぼ同じです。


 そして、各ランキングではバブル絶頂のハイパフォーマンスを基準にするのはどうかと思います。
 ハイパフォーマンスから下落してきた30年は、講師を務めておられた会長さんをはじめとした世代が働き盛りの時代です。他人事のように日本全体や企業の平均はダメだとの論調でしたが、会長さん自身が深く関わってこられた時代です。少子”超”高齢化への対策を働き盛りの世代としてきちんと向き合ってこなかった中心です。今回の内容こそが、これまでの時代を如実に表しているとさえ感じてしまいました。

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 なぜこうして記事にしたかというと、投資や資産運用に深く長く関わってこられた人でも平気でこういった(困った)話をされることを知ってもらいたかったからです。

 受講されていた多くの方々(投資・運用の話ですが、対象は高齢者ではなく主には学生さん向け)は何も疑問を感じておられないように見受けられました。背景を知らなければ世間的にしっかりした肩書の人の話は信じるでしょうし、講演されたデータは多岐に渡るのでそれらの元データを1つひとつ調べることもありません。


 「平均」にはピンからキリまで、有象無象が含まれて当然です。その中から良いものを選ぶ努力をしましょうという話自体には異論はありません。でも、そのための背景として簡単に不安をあおったり、何かを悪く言うのはどうかと思うんです。

 皆さま、こんなひねくれた私で申し訳ありません。今後ともどうぞよろしくお願いいたします

(受講を快諾くださった関係者の皆さまには深く感謝を申し上げます。こんな感想を書いてしまい申し訳ありません)