全日本交通安全協会の自転車保険で注意したいこと


 全日本交通安全協会という一般財団法人が2017年4月1日より自車保険を取り扱われるそうです。(自車保険ではないですよ!)

 交通安全協会、自転車保険に参入へ 朝日新聞

 引受保険会社は損保ジャパン日本興亜損害保険で、事務手続きはいわゆる来店型ショップといわれる乗合代理店が請け負っておられるようです。(協会webサイトのトップページにはあいおいニッセイ同和損害保険のバナーがありましたけれど)


 自転車保険の背景は、自転車による事故で相手に負わせてしまったケガ(後遺障害・死亡)に対する補償です。

 いわゆる個人賠償責任保険(特約を含む)という内容に加入していれば、自転車保険は不要です。このあたりの詳細は以前に書いた記事「自転車と個人賠償責任保険」もぜひご参照ください。

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 今回は全日本交通安全協会(以降、協会)の提供する自転車保険です。

 特徴は賠償のみというシンプルなプランが準備されていることだと思います。
 webで申し込めば掛け金(保険料)は年間1230円です。

 通常の自転車保険には自転車を運転している本人やその家族が転倒などによってケガをした場合の補償も含まれています。協会でも「家族補償プラン」だと4380円(月あたり365円)にアップします。

 手厚い補償を求められるのであれば、過去記事で取り上げましたような他社の商品のほうが良さそうですけれど、協会の商品はシンプルですしそもそも自転車事故だけに備えれば十分ということであれば「賠償のみプラン」は格安です。


 ここで注意点は1つです。

 協会の賠償責任補償には次の注意文が掲載されています。
 「賠償責任補償条項 傷害補償条項ともに自転車事故のみ対象となります」

 他社の自転車保険や一般的な個人賠償責任保険の場合には、自転車事故以外も補償の範囲です。

 ・散歩中のペット(犬)が知らない通行人に噛みついてケガをさせてしまった
 ・子どもがボール遊びをしていて自動車を傷つけてしまった
 ・百貨店で買い物中に商品のお皿を割ってしまった
 ・マンションのベランダから誤って物を落としてしまい、下を歩いている人にケガをさせてしまった

 繰り返しになりますが、このあたりは協会の賠償責任補償では対象になりません。火災保険や自動車保険の個人賠償責任保険特約、一般的な自転車保険の賠償責任補償であれば対象です。(実際には加入時に、もしくは加入内容をご自身でも直接確認をお願いします)
 
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 個人賠償責任保険(賠償責任補償)は重複していても意味がありません。1つの加入で良いのですから、加入内容や検討内容はよくよく比較のうえ選択していただきたいものです。


 手前味噌ではありますが、現在さまざまに加入されている保険商品や検討されている保障(補償)項目や商品資料をお持ちいただければ、アドバイスさせていただけるのが京極・出町FP相談の有料相談です。

 京極・出町FP相談 生命保険・損害保険相談
 お役に立てる機会がありましたら幸いです。


公的保険を知れば、生命保険が売れる?


 Financial Adviser というファイナンシャルプランナー(FP)の業界専門誌があり、私も定期購読しています。

 1月号の裏表紙にこんな広告が掲載されていました。

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 公的保険アドバイザーという民間資格があるそうです。
 少し前から広告を目にする機会がありましたので存在は知っていました。

 公的保険とは「健康保険、介護保険、雇用保険、年金保険」と示されていましたが、あえて「社会保険」と言っていないところが民間資格の悩ましいところです。ちなみに社会保険では他に労災保険も対象です。


 画像に戻ります。

 FP資格保有者であっても特に公的年金をはじめとした社会保険は苦手な人が多いと耳にする機会がありますので(実態はわかりません)、名称は何であれ社会保険の知識を得る人が増えることは望ましいことです。
 なので、この企画「マスターセミナー」は好感をもって目にしました。

 が、、、セミナーのサブタイトルにあぜんとしました。

 「公的保険を知れば、生命保険が売れる!」です。


 あえてリンクをつけませんが、このアドバイザー資格の説明webにこんな記述がありました。
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 何をもって「縮小」なのでしょうか。
 いつと比べて「ぜい弱」なのでしょうか。
 何を基準に「これまでにないリスクにさらされているということになる」のでしょうか。

 縮小・ぜい弱・リスクを押し出して「公的保険を知れば、生命保険が売れる!」なのでしょうか。

 
 近年の社会保険の改正は間違いなく、低所得者は負担減・高所得者は負担増です。高所得者にセーフティーネットという言葉はあてはまりにくいことは想像してもらいやすいと思います。(高所得者向けに「生命保険が売れる!」なのでしょうか)

 社会保険ではなく福祉において、主に高齢者向けの保障に手厚さがなくなっていると感じる部分がある点は、初期導入時に手厚すぎる内容だったからこそ時代に即して是正されているイメージしかありません。
 これは社会保険(ここでは公的保険)を学んでもすぐに答えの見つかる問題ではありませんし、ましてや保険商品を使った民間保障を上乗せして解決する問題でもありません。

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 日々の相談で感じる社会保険とは、知れば知るほどに民間の保険商品は必要最低限で良いという存在です。もちろん断じて「不要」と考えるわけではありません。

 「ねんきん定期便」を元に死亡保障や医療保障を話したとき「保険商品はこんなにも要らないですね」とおっしゃるケースばかりです。必要最低限が「売れる!」セミナーではないでしょう。


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 セミナーの参加対象も直球ですし、もう一度冒頭の画像も合わせてご確認いただきたいのですが、セミナータイトル下の説明文章もびっくりです。

 「ねんきん定期便」から得られる情報を元に「老後の資産形成」として、第一に貯蓄性のある生命保険(個人年金保険を含む)が存在するとはどうしても解せません。


 一般生活者の皆さまにおかれましては「公的保険アドバイザー」資格保有者から保険営業を受けられる際にはぜひこんな文章が発信されていることを知ったうえで最終的な判断をしてもらいたいと切に願います。



事故のあと不利になるのを防ぐドライブレコーダー


 自家用車をお持ちの皆さま、ドライブレコーダーはつけておられますでしょうか。



 とりあえず記事タイトルはミスリードです。

  × 事故のあと有利になる
  ○ 事故のあと不利になるのを防ぐ

 引用していますが、まずはお間違えのないようにお願いします。

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 自動車保険(任意保険)と同じくらいたいせつなのがドライブレコーダーでしょう。

 このブログをお読みくださっている方々が無謀な運転をされているとは思えません。こちらがどれだけ気をつけていても相手が突っ込んできた事故は避けようがありません。
 そんなことが起こってしまった場合に、確固たる証拠になるのは映像です。信号や周りや相手の状況がきちんと記録になるわけです。


 ただし、多くのケースでカメラは正面だけではないでしょうか。私も正面だけです。
 もちろん正面だけでも無いより十分に効用は高いでしょうけれど、360度の記録であることが本来は望ましいのだと思います。
 
 慣れている人なら自分で買って自分で設置で問題ないかと思いますが、不慣れな場合にはコストがかかっても車検や点検の際に追加で依頼して搭載するというのも選択肢でしょう。


 幸いにして私自身、こういった記録が必要となった事故を起こしたことはありませんし、巻き込まれたこともありません。これからの車には標準装備が望ましいと感じるドライブレコーダーです。

 機種もたくさんあり、価格帯も幅が広いです。さまざまな機能もあったりすると思いますが、シンプルに鮮明な画像が録れるものを選びたいものです。

 お車をお持ちでまだつけておられない皆さま、強くお勧めします。


ライフプランという表現


 「ライフプラン」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持たれますでしょうか。

 ファイナンシャルプランナー(FP)で学ぶところのライフプランを日本語に直すと、人生設計や生涯設計などかなと思います。
 資格を得るための課目(領域)の1つとして「ライフプランニングと資金計画」というものもあり、ライフイベント表・キャッシュフロー表・バランスシート・教育資金・住宅ローン・リタイアメントプランニング・健康保険・介護保険・雇用保険・労災保険・公的年金・企業年金などといった内容を学びます。
 FP資格を名乗り、その専門性で家族を養っている立場からは、人生計画において主たる大事なものという印象を持っています。

 
 では、「ライフプラン相談」と聞けば、どんな相談ができそうに思われますでしょうか。

 すごく曖昧な気がします。人生設計相談・生涯設計相談、具体的にどんな相談ができるのかイメージしにくいように思います。先に私の書いた説明を見ておられれば、相談できそうな内容もイメージしてもらえるかもしれません。

 最近はFPへの相談、お金に関する相談という意味合いで「ライフプラン相談」「ライフプラン相談会」というような名称も使われているようです。ですので、FPに相談できるイメージという意味ではそれで良いのかもしれません。


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 今回ブログで取り上げたのは、「ライフプラン相談会を実施します」という生命保険の代理店のチラシが新聞の折り込みに入っていたからです。

 相談無料の「ライフプラン相談会」の内容を要約すると、このように書かれていました。

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・既にその代理店の保険商品に加入している人向け

 保障内容・満期日等を、わかりやすくご説明します。
 この機会に、ご契約内容や保険金の受け取り方法等も再確認できます。


・その代理店で加入していない人向け

 保障内容が一目でわかる「ライフプランシート」を無料でお作りします。
 保険にご加入されている方、ご質問だけの方、どなたでもお気軽にご相談いただけます。


・ご来所の際には現在ご加入の保険証券などをご持参ください。

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 個人的にものすごく違和感がありました。
 これは「ライフプラン相談」ではなく「生命保険相談」ですよね??

 この違和感を覚えるのは私の職業病だと言ってしまえばそこまでなのですが、こうして「ファイナンシャルプランナー(FP) = 保険だけ」の印象がますます強くなってしまっているようにも感じます。


 よくよく考えてみると、自社の営業担当を「ライフプランナー」という肩書で表している生命保険会社もあります。

 生命保険は「 life insurance 」ですから、ライフプラン相談もライフプランナーも「生命計画相談(?)」「生命立案者(?)」という意味合いで使われている面からは私の違和感は必要のないものだったというわけです。

 表現とは「受け取る側がどう思うか」ということだとはわかっているつもりでも、本当に難しいことだと感じる次第です。
 私は私のポジショントークをこのブログで書き続けていきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。



2017年1月から地震保険の半損の細分区分が見直されます。


 地震保険ご存じでしょうか。基本的に火災保険と一緒に加入します。

 地震による建物の倒壊、地震によって発生した火災被害、津波、噴火、このあたりの補償は火災保険ではなく地震保険によってカバーされています。

 
 財務省のwebサイトに地震保険制度の概要というページがあります。
 ここから一文を抜き出します。

 「地震保険は、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任の一定額以上の巨額な地震損害を政府が再保険することにより成り立っています」

 大事な場所を繰り返します。
 「地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的」
 地震によって被害を受けた家屋を元に戻すことを目的としていません。

 「生活再建費用」と言い替えることもできるかと思います。生活を立て直し、次の段階に進むための資金にしましょうという意味合いだと私は解釈しています。

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 建物に対する現状の地震保険の区分です。3つに分かれています。
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 これが2017年1月1日から次のように4区分に変わります。
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 ※ この記事を書いている時点での最新情報を見つけられませんでした。「地震保険制度に関するプロジェクトチーム」フォローアップ会合の議論のとりまとめ 平成27年6月24日に掲載されている3つの案から、15ページにこの内容が「望ましいという結論」と書かれていましたので採用しました。
 ※ 他の2案も小半損と大半損の幅である主要構造部の損害割合20~50%は同じでした。その内訳が異なっていました。


 これまでは20%以上の損害であれば半損となり、地震保険金額の50%が対象となっていました。
 これからは40%以上の損害であれば大半損として地震保険金額の60%が対象となるため心強いものかと思いますが、20%以上40%未満の損害の場合には小半損としてこれまでの地震保険金額の50%ではなく30%へ20%も減額されてしまうということになります。

 より大きな被害がある人には手厚く、そうではない場合にはそれなりにという主旨は理解できなくはありません。また、この変更により地震保険料の値上がりを抑える効果があるとも書かれていましたので、その意味は大きいのだと思います。

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 ここまでの内容であれば、正直に書きましてblogで取り上げることはありませんでした。単なる事実の羅列はあまり好きではないからです。
 この改正内容についてのとあるコラムを目にしました。2015年10月19日付ですので、先ほどリンクを貼りましたとりまとめPDFが公開されてから約4ヶ月後です。気になったのはこの部分です。

 「半損に認定されるか否かで支払われる保険金が10倍違いましたので、半損に近い損害で一部損の認定を受けた場合に多少、不公平感もありました。半損以下の損害区分が細分化されることでこれが緩和されます。」

 まずは1文目を見ます。
 確かにこれまでは一部損5%か半損50%でしたので、その差は10倍違いました。損害が20%の前後では確かに不公平感はあるように思います。
 とはいえ、今回の改正では被害の大きくない半損の保険金額が下がるわけです。半損に近い一部損の保険金額が上がるわけではありません。契約者(加入者)側からすると、2文目にある「緩和」という表現が適しているとはとても思えません。支払いの発生する保険会社側からすると「緩和」が適切かもしれません。


 また、2文目は異なるように感じます。
 「半損以下が細分化される」とありますが、細分化されるのは半損だけですので「半損が細分化される」が正しいです。

 例えば、一部損5~15%・小半損15~40%というような変更であれば緩和と言えそうですが、実際には半損の地震保険金額が50%から30%に引き下がってきたわけですから、結果として一部損の地震保険金額5%の10倍から6倍になったとはいえ一部損そのものには変更がないわけです。ですのでこれは「緩和」ではなく、単に「細分区分の見直し」であるかと思います。

 2文目の直してみます。
 「半損の細分区分が見直されます」
 どうでしょう。まとめの文章として適さないものになってしまいました。

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 粗探しをしたいわけではありません。世の中にあふれている情報については、原文を当たるたいせつさも知っていただく必要があると思っています。

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。