”住んでみなければ絶対にわからないタワーマンションほんとの話”読みました。


 ”住んでみなければ絶対にわからないタワーマンションほんとの話”(2017年9月15日第1刷)を読みました。

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 監修(著者ではない)はマンションブロガーのらえもんさん(ハンドルネーム)。ブログはこちら。ツイッターはこちら
 この本はツイッターで紹介されているのを目にしまして手に取りました。

 タワーマンションの定義は21階建て以上だそうです。(p10~)
 京都市内に該当するマンションはありません。大阪・兵庫・滋賀にはありますが、タワーマンションを購入される相談を受けたことはありません。主には首都圏の事情を知ってみたいと思ったという背景です。


 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに
■第1章 タワーマンションの基礎知識
・タワーマンションは壁がコンクリートじゃないってホント? p41~
・タワーマンションは引っ越し日が抽選になるってホント? p67~

■第2章 タワーマンションの日常
・タワーマンションでもペットは飼えるの? p84~
・高層階では意外と音がよく聞こえます p89~
・高層階と地上で気温や湿度は違う? p105~


 購入予定のない私からみると楽しい豆知識として気はラクに読み進めることができましたが、本当に検討している方々であれば重要すぎる情報が満載ではないでしょうか。
 タワーマンションに特化された内容が多いとはいえ、一般的なマンションを検討するうえでも視点は使えると感じました。


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■第3章 タワーマンションと災害
・制震と免震では地震のときに揺れ方が違うの? p123~
・コラム ハザードマップで地域の危険性をチェックしましょう! p150


 ハザードマップについては確認する意味が大きいです。
 最近は多くの自治体がwebで公開していますのでアクセスも容易になりました。

 とはいえ、ハザードマップは確認方法の難易度が高いといつも感じます。何を基準として、ハザードマップに示された状況となるのかという点です。これは以前にまとめた記事がありますのでご参考になりましたら幸いです。
 <過去参照記事> 洪水ハザードマップと想定降水量

 本では「国土交通省ハザードマップポータルサイト」が紹介されていました。
 「ハザードマップ+自治体名」の検索でも大丈夫です。タワーマンションに限らず、大事なことです。


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■第4章 タワーマンションの資産価値
・タワーマンションを買うと賃貸より得しますか? p161~
・タワーマンションを低層階を買う意味はありますか? p168~
・タワーマンションは管理費や修繕積立金が高くないですか? p170~
■第5章 タワーマンションの購入


 ファイナンシャルプランナー(FP)として書いておかないといけないのは、やはりこの章でしょう。引用します。

 「(前略)住宅ローンの支払いが完了し、あとは維持費だけという状態になれば、長生きすればするほど計算上は分譲マンションの方が得になります」 p163

 確かに書いてある通りかもしれませんが「計算上は」というところが注意点です。


 例を書いてみます。
 40歳で新築を購入したとします。
 35年ローンを使ったものの繰上げ返済などで70歳で完済したとします。
 長生きをして90歳まで生きたとします。
 70歳から90歳までは維持費である管理費・修繕積立金・固定資産税・火災保険、このあたりだけとなることでしょう。

 でも、90歳のときには築50年です。超大規模な修繕などが必要な時期かもしれません。そういった話し合いや決め事に高齢でのぞまねばならないことになります。


 そういった場にのぞまなくて良い状況で天寿をまっとうしたとします。今度は超大規模な修繕などが必要な時期に相続人(配偶者や子どもなど)が対応しないといけないことになります。
 売れば良いと簡単におっしゃるケースもありますが、都市部に多いと思われるタワーマンションであったとしても人口の減っていく日本で築年数のかなり進んだマンションが当たり前に売れる社会が将来にあるのかどうかは私にはまったくわかりません。

 これらはタワーマンションに限った話ではなくマンション全体で言えることですし、条件によっては一戸建ても当てはまる部分も出てくるかもしれません。
 不安をあおりたいわけではなく、将来のことも少し考えてみたうえでよくよく検討し、現時点でも関係者(身内)の納得した計画であってもらいたいんです。


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 人生では一度だけタワーマンションの中に入ったことがあります。首都圏のマンションです。もう数年前です。周辺の風が強かったことだけよく覚えています。


 今回の監修者である「のらえもん」さんの以前の著書の感想記事はこちらです。
 ”本当に役立つマンション購入術”読みました。

 

 購入・売却・賃貸などの判断は自己責任にてお願いいたします。

 長文を読んでくださり、ありがとうございました。



カテゴリーごとにお勧め記事をピックアップ : 住宅購入・不動産編<その2>


 諸般の事情により、カテゴリごとに過去記事を振り返る投稿の第5弾の2回目です。


■住宅購入・不動産<その2>

 一戸建てとプラスαです。

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住宅の購入から10年後、 2016/07/18

 一戸建てに限りませんが、長期の視点を知っていただきたいです。


毎月13000円積み立てておく / 一戸建て修繕の実態調査結果 2016/09/13

 マンションと違って、一戸建てには修繕積立金のような明確な項目が存在しません。


いかに建物が基準を満たしていても 2016/05/13

 一戸建てと地震の件、設計士さんが熊本での大地震後に現地に入って調査された記事を取り上げています。一方通行な報道に踊らされないようにしたいものです。


不動産投資ではなく不動産事業です。 2017/03/16

 そして最後はこれです。
 いわゆる「老後不安」をあおった不動産投資セミナーはまだまだ勢いが弱まっていると感じません。記事中だけでなく、ことあるごとに書いていますが、不動産投資そのものを否定しているわけではありません。安易な不動産投資を強く否定する立場の私です。

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 前回の記事はこちらです。

 カテゴリーごとにお勧め記事をピックアップ : 住宅購入・不動産編<その1>

 今回で「住宅購入・不動産編」は完了です。


カテゴリーごとにお勧め記事をピックアップ : 住宅購入・不動産編<その1>


 諸般の事情により、カテゴリごとに過去記事を振り返る投稿の第5弾です。


■住宅購入・不動産<その1>

 改めていくつか読み直してみましたが、それぞれの記事から特に大事で普遍的な内容をまとめ、もう少し文量を増せば本にできそうです。本質的なことを随所に散りばめることができていましたので、たくさんの記事ですがぜひお読みいただきたいです。

 今回はマンション編です。

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特集「マンガでわかる 家を買うお金入門」の雑感。 2017/05/08

 4ヶ月ほど前の記事ですから新しいです。
 返済計画を考えるうえで知っておいていただきたいポイントを押さえています。


特集「賃貸vs買う お金のリスク」の雑感。 2015/03/19

 多くの方々は長く住むことを前提とされているかと思います。
 マンション購入時に一度は考えておいてもらいたい項目を取り上げています。


特集「夫婦800組 お金と家」の雑感。 2016/05/03

 夫婦の家計管理は千差万別で正解はありません。でも買ってから明らかになるよりも、買う前に明らかにしておくほうが良いことってあるんです。


特集「マンション大規模修繕完全マニュアル」の雑感 2013/08/20

 約4年前の記事です。少し古いですが、マンションを購入されるうえで「修繕積立金は将来的に上がります」とだけ説明を聞いたとされるケースが私が相談を受けているなかでは多いです。個人的には詳細に把握したうえで購入に踏み出していただきたいです。

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 その2へ続きます。その2は一戸建てが中心です。


特集「マンガでわかる 家を買うお金入門」の雑感。


 SUUMO関西 新築マンション2017.4.18号「マンガでわかる 家を買うお金入門」という8ページの特集を読みました。

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 特に気になった点を2つ取り上げます。

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 「年収で分かる!無理のない毎月のローン返済額の計算式」として、

 「年収(額面) × 25% ÷ 12カ月」 このように解説されていました。

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 ※ クリックすると拡大します。


 よく私がお伝えする例を書いておきます。

 ・年収500万円と1000万円で同じ考え方で良いでしょうか。
 ・共働きで世帯年収1000万円あったとして、産休・育休やその後の働き方を考えた場合、年収は変わらない見込みで問題ないでしょうか。
 ・独身の年収500万円と子どものいる年収500万円の場合で、同じ考え方で良いでしょうか。

 もちろん考え出してみると答えはありませんし、正解もありません。一律にこういった指標のあるほうがわかりやすいですし、深く悩まずに進められることを望まれるケースもあるでしょう。

 でも、です。

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 「頭金を決める計算式」として、

 「貯蓄 - 引越し代など - 生活予備費 - 諸費用」 このように解説されていました。

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 ※ クリックすると拡大します。


 2016年7月に取り上げた例から「引越し代など」が増えています。監修者が異なることで、変わってきているのかなと感じます。
 車の買い替えや子どもの教育資金など、想定されることがあるかどうかの確認は必須ですので、「5~10年程度以内に考えられるまとまった支出」を追加するのはいかがでしょうか。

 まとめるとこうです。
 「貯蓄 - 引越し代など - 生活予備費 - 諸費用 - 5~10年程度以内に考えられるまとまった支出」

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 「資金計画概算書」に記載されている修繕積立金が最近の傾向と比べるとしっかり高めに設定されていたり(反対に修繕積立基金が少し小さめ)、極端に低い変動金利だけでなく固定金利の情報が出ていたり、繰上返済の効果を丁寧に解説されていたり、このあたりは好感が持てました。

 とはいえ「変動金利のリスクとして5年後に金利が1%上がる場合」では、変動金利が1%上がることで世の中がどんなふうに変わっていることなのかわかったうえで書いておられるようには思えなかったり、年収700万円の例なのに年収510万円以下の人が対象のすまい給付金を取り上げて「わーっいろんなおトクな制度がある!」とコメントを入れていたり、なかなか悩ましいものだと感じました次第です。


 すべての人に厳密な資産計画が必要かと聞かれれば必ずしもそうだとは思いませんが、世間やネットに飛び交う情報や不動産販売や金融機関の担当さんのトークをうのみにするだけでなく、自分自身に当てはめてみて本当にそれで間違いなさそうか考えてみるというワンステップをぜひ加えてみていただきたいです。

 手前味噌ではありますが、不動産販売および住宅ローン契約に直接的にかかわらない第三者的なアドバイスを求めてくださるのであれば、お役に立てることも多いかと思います。

 京極・出町FP相談 住宅購入資金計画相談

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 今回も特集の前後にあった「駅徒歩数分で探すのはもうやめよう。」という郊外型マンションの宣伝特集も興味深かったです。
 駅近物件はそろそろ飽和状態ということでしょうか。いろいろ考えさせられます。
 
 ブログ内検索にて全角で「SUUMO」と入力して検索いただくと、これまで7回ほど取り上げている記事が出てきます。何かの参考になりましたら幸いです。


不動産投資ではなく不動産事業です。


 先日、某新聞の朝刊に不動産投資の広告が大きく掲載されていまして、気になることをツイッターで書き出してみました。





 ※ 「1億総有価証券投資」です。 



 ※ 「社会保障教育」です。 

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 不動産投資という表現がよろしくないと思うんです。正しくは不動産事業です。

 株式投資(有価証券投資)のことを株式事業(有価証券事業)とは言わないですよね。
 株式や投資信託を購入するのと不動産を購入するので大きく異なるのは日々の手間です。

 株式とは出資です。出資した後はもちろん事業の行く末に対して常にアンテナをはり、市場の動向も常にチェックし続ける必要があるとは思いますが、不動産のように入居者や修繕や確定申告などにかかる手間と時間は圧倒的に異なります。

 株式は企業が成長すれば価値も上がりますが、基本的に不動産(建物)は日本において年数が建てば下がっていくしかありません(もちろんメンテナンスやオフィスビルなどでは一概には言えないと思います)

 不動産投資は事業です。ぜひ知っておいていただきたいです。

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 知り合いが「空き家を買って不動産投資で収益を得る」スキームの本を「もらったけど読まないので参考になれば」ということでくださいました。著者の肩書は収益不動産経営コンサルタントと書かれていました。

 ざざっと読んでみたのですが、とてもお勧めできる内容ではありませんのでいつものような感想記事にはまとめません。


 とにかく設定がおかしい、変で、あり得ないんです。

・2015年の本なのに住宅ローンの金利は3%(マイナス金利導入前とはいえ高すぎる)
・25歳同士のメガバンク勤務夫婦、子どもが3歳と0歳の小さなときで既に年収1200万円
・妻は結婚時に退職し、以降は専業主婦。小遣いは夫5万円・妻3万円
・5年ごとに500万円の新車購入
・子ども2人は小学校からずっと私学かつなぜか私立の医学部
・それでいて、収入(所得ではない)のうち58%は貯蓄にまわす

 などなど、、、これを「親友のファイナンシャルプランナー」と試算したそうです。


 この”理想的な生活”に必要な生涯年収は8億円を超え、なので不動産投資をしましょうという、笑えない内容でした。

 他にも老後70歳から夫婦豊かに楽しく暮らすには毎月60~70万円は必要だそうで、1億円あっても14年弱で食いつぶす、これも「親友のファイナンシャルプランナー」と試算したそうです。なぜか公的年金の存在にさえ触れられていません。

 さらには70歳から毎月100万円の家賃収入を得られる物件を保有し続ければ、110歳まで長生きしても安泰だそうです。安定的に家賃収入を得るための賃貸物件をそんな高齢で維持し続けることができるのでしょうか…。

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 この本に登場するファイナンシャルプランナー(FP)が実在するのか架空の存在なのかわかりませんが、こんな助言をしている時点でFP資格を名乗らないでもらいたいとさえ感じます。

 そして、私の中で不動産投資を推奨するFPは「無い」存在です。もちろん不動産投資のすべてを否定しているわけではありません。普通の会社員さんが一念発起して安定的な不動産事業家に登り詰められた例は本当にあるでしょうし、ご両親をはじめとして親族から引き継がれた不動産を有効に活用されている例は日本全国多々あるわけです。
 信頼できる不動産業者さんも何名も知っていますし、つながりもありますので、不動産を勧める人=お勧めできないというわけではありません。

 でも、誰もが簡単に株式や投資信託を始めるような感覚で、不動産投資(事業)を始めてみるというのは絶対にお勧めしません。


 繰り返します。不動産投資とは不動産事業です。
 始めてみるのであれば、それ相応の心構えが必須です。

 京極・出町FP相談では、普通の会社員・普通の自営業者(私を含む)に対して、不動産事業は基本的にお勧めしていません。