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【2018年9月】滋賀リビング新聞社カルチャー倶楽部「”将来資金”のために知っておきたい年金の知識」


 滋賀リビング新聞2018年8月18日号(8月17日配布分)に掲載がありました。

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 大きな画像をご覧いただきたい場合は、こちらの画像をクリックしていただければ拡大します。
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 ”将来資金”のために知っておきたい年金の知識

 2018/9/10(月)
 1. 10時~12時 公的年金
 2. 13時30分~15時30分 iDeCo

 2018/9/15(土)
 3. 10時~12時 公的年金
 4. 13時30分~15時30分 iDeCo

 会場はJR草津駅前です。

 ※ 1と3、2と4は同じ内容です。単発講座ですので、いずれか1つだけの受講も可能ですし、組み合わせも自由です。

  1と3では「ねんきん定期便」、
  2と4では「源泉徴収票(または確定申告書)」の持参が必須です。

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 2017年の春にも同じ企画で開催しました。配付資料のページタイトルやアンケートでいただいた感想をまとめたブログ記事もご参考になりましたら幸いです。

 「年金といえばマイナスのイメージしかなかったけれど、今回講座を受けて変わりました」 / ねんきん定期便の読み方を知って将来資金を考える 公的年金1日講座
 「ワークシート形式でとても分かりやすかった」 / 自分でつくる将来資金! iDeCo(個人型確定拠出年金)1日講座

 当然ながらデータ等は最新に更新した内容でお話しします。

 滋賀リビング新聞社カルチャー倶楽部 草津会場さんのwebサイトはこちらです。
 https://www.shigaliving.co.jp/culture/detail_01.php?id=1758


 私が講師を務める講座で、広く告知される講座は多くありません。いや、かなり少ないです。諸々の事情により現在のところ、京都リビング新聞社ではFP3級の資格取得講座に限定されていますので、希少性もあるかと思います。

 ご興味をお持ちの皆さま、ぜひぜひです!



出ていったお金が50兆円、入ってきたお金が52兆円、計2兆円の黒字という全体像


 公的年金の積立金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のツイートを2つ紹介します。約1ヶ月前の情報ですみません。





 これって大事なことなんですけれど、報道では小さくしか取り扱いがありません。
 大きく取り扱われるときは、大きなマイナスの発生したときです。しかもそのマイナスとは全体でのマイナスではなく、単年度や四半期でのマイナスでしかありません。ほんま、ひどい話です。


 関連する情報です。
 厚生、国民年金ともに黒字=積立金は過去最高-17年度収支 

 詳細は厚生労働省のこちらのデータです。
 平成29年度「厚生年金・国民年金の収支決算の概要」を公表します

 ものすごくざっくり書きます。
 本当は詳細な項目がありますが、ざっくりのイメージがたいせつです。


 国民年金・厚生年金で給付を受けておられる方々はおおよそ3577万人で、年間合計は50兆円です。

 現役世代の納めている保険料の年間合計は32.3兆円、人数は5416万人です。
 公的年金の給付には税金も含まれています。その年間合計は11.4兆円。
 実施機関拠出金(共済年金から?)や厚生年金基金の解散に伴う徴収金で6.1兆円、その他諸々で2.4兆円。

 2017年度で出ていったお金が50兆円、入ってきたお金が52兆円、計2兆円の黒字という全体像です。


 ニュース記事で10兆円の黒字となっているのは冒頭で紹介しました積立金の運用益が大きく、それを含んだ報道になっているからです。
 収支決算は通常版と時価併記版の2つが公表されているとはいえ、このようにプラスを大きく見せて報道されるケースは大きくありませんので、個人的には良い意味でかなり珍しいと感じています。

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 良い報道が出ているときには良い報道に乗じた「?」の意見が出てきたりもします。
 「運用益が大きいのに、なぜ受給額は増やせないのか」というような内容です。

 その質問にはこちらの記事を参考にしていただきたいです。


 2ページ目の図です。

 公的年金はお金を扱う仕組みですから四半期や単年度での情報公開が必須です。
 でも、保障の仕組みである公的年金は1年で終わりではなく、今受け取っておられる世代、次の世代である私たち、さらには私たちの子どもや孫も受け取りの発生する超長期・半永久的な仕組みです。

 短期的に積立金がプラスで図の左側③が多少増えたところで、それを大きくバラ撒くかのように使うことはできません。
 ましてや人工構造のいびつさがさらに増していく時代ですし、今の潤沢な積立金は団塊の世代やその周辺世代の方々がいわば自分たちで受け取るために作ってきた資金です。

 今40歳あたり(ちょうど私がこのあたり)の世代がこの世からいなくなるころに人口構造は安定すると言われていますし、その際には今のような巨額な積立金が必要とはなりませんし、実際に最低限必要な(1年間の給付分程度の)金額だけになると言われています。

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 たくさん書いてきましたが、大事なことは「長期の視点」です。

 報道は「今の一部分」を切り取ってセンセーショナルに見出しを打ってきます。
 それに流されてはもったいないです。

 自分に関係するかどうかよくわからない大局的な報道に心が揺さぶられるのはもったいないです。
 制度や仕組みは自分自身に当てはめ、実際にどのようなことが見込まれるのか数字で確認することがたいせつです。

 <京極・出町FP相談オフィシャルサイト> 年金相談

 最後はいつもながらのポジショントークで失礼しました。



”#社会保障、はじめました。”読みました。


 ”#社会保障、はじめました。”(2018年6月20日 第1刷発行)を読みました。

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 著者は読売新聞 編集委員の猪熊律子さん。
 2013~2014年に読売新聞webサイト、ヨミドクターで「一緒に学ぼう 社会保障のABC」という連載があり、その執筆者です。

 この本を知ったのは権丈先生のツイートです。
 版元ドットコムというサイトでの紹介も良いです。


 この本は両面から読み進められます。

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 <立ちすくむ国を生き抜くために知りたかったので、>編と<高校生・大学生がポジティブに語ってみたら、>編です。それなりに仕組みを知ってから議論(ここでは「カフェ」)を読むほうが良いと思いましたので、読んでもらいたい順に取り上げます。


 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。

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<立ちすくむ国を生き抜くために知りたかったので、>

■第1章 社会保障の基礎知識
・国民皆保険・皆年金は当たり前、は日本だけ? p005~

■第2章 国民皆年金の歴史
・コラム 当時から着目されていた高齢者問題 p031
・コラム 国民皆年金達成時の「証言」 p042~


 歴史をシンプルに知ることができます。読み進めやすいです。

 取り上げましたコラム2つは秀逸で、特に2つめの「証言」は推定御年95歳?と思われる元厚生省 年金局長さんのインタビューでして、思わず2004年の著書をネットで衝動買いしてしまいました。ここのコラムは立ち読みでも構わないくらい(すみません!)超おすすめです。


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■第3章 国民皆保険の歴史
・国民健康保険税(国保税)の創設 p058~

■第4章 国民皆保険・皆年金の今とこれから
・少子高齢化の進行がもたらす問題 p098~

■あとがき


 あとがきで権丈先生のお名前が登場します。大学生の登場する次のパートでは権丈先生のゼミに属する学生さんも登場します。
 にもかかわらず、p101に書かれているような公的年金の賦課方式と積立方式の件、なぜ著者は積立方式のマイナス点(というより、ありえない点)をもっときちんと書かれていないのか不思議でたまりませんでした。5分の2ページ分くらいの余白があるにもかかわらず、です。

 この点が非常に残念でしたが、皆保険・皆年金のとらえ方・これまでの流れを知ることができるという意味合いにおいて、とても読みやすい文量だと思います。


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<高校生・大学生がポジティブに語ってみたら、>

●社会保障、はじめます。
・高校のときは「年金は破綻するぞ」なんて言ってる友人がいると、制度のことを知っていて賢いなと思っていたけど、実際に自分で勉強してみると間違っている p0一五

●社会保障の哲学カフェ、はじめました。
・カフェにいるようにくつろいで、お茶やお菓子とともに、ざっくばらんに語り合える雰囲気をつくっています。 p0二二
・高齢者偏重の社会保障を若者世代に振り向けよという議論があるが、どう思うか p0三三~
・お金持ちに年金を給付することは必要なのか 子育て支援の財源はだれが負担するのか p0六四~
・社会保障の教育は重要 p0七六~

●社会保障の哲学カフェのすすめ
●社会保障、もっと知りたい!


 いやー、すごいです。高校生と大学生でこんな話し合いができるなんて。突飛な意見もありますし、読み手としては知識を得るための本という役割にはなっていない部分だとは思いますが、これだけの展開を高校生と大学生で進めている事実は「すごい」というありきたりな表現しか出てこないくらいすごいです。良い刺激をいただきました。

 私も高校生や大学生のころに登場されている学生さんたちのように学ぶ機会があったらなーと思う反面、今でこそこれだけ興味を持って情報と接することができていますが、当時に社会保障を学ぶ機会があったとしてもどれだけ身になっていたのかはもちろんわかりません。
 だからこそ余計に、登場されている学生さんたちを大応援です。


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 背景を知る意味合いにおいて、この本の<立ちすくむ国を生き抜くために知りたかったので、>編はお勧めできます。

 でも、<高校生・大学生がポジティブに語ってみたら、>編を誤解なく読み進めるためにはある程度の知識が必要です。正確な情報を持っていないと議論に出てくる内容に流されていしまう可能性があるからです。

 いつもの通り、前提となる情報としてお勧めなのはこちらです。
 ”ちょっと気になる社会保障 増補版”読みました。

 

 実名と写真付で登場されている高校生・大学生の皆さんが何年か後にこの本を読み返されたときにどんな感想を持たれることになるのか、また将来において社会保障とどのように関わる人生を歩まれることになるのか、とても興味深いです。
 僭越ながら、京都より大きくご期待申し上げております。


 長文をお読みくださり、ありがとうございました。



「1人で1人を支える」を正しく理解するために


 公的年金に関して、読みやすくて良い記事が出ていましたのでご紹介です。

 「公的年金は潰れる」論は「トンデモ系」 年金破綻しないがバラ色給付はない


 タイトルを抜き出します。

■今の日本はすでに1人で1人を支える「肩車」状態
 ・年金は貯蓄でもなく、金融商品でもない

■今後30年間が「労働力人口減⇔高齢者増」の厳しい時期

■約50年間で平均余命は10年以上延び、その分、老後期間が延びた

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 端的にまとまっていて、繰り返しますが読みやすいので本当にお勧めです。
 漠然とした不安・不信は、この記事をきちんと読むことができれば論点が違うとわかっていただけると思います。

 この記事、Yahoo!にも転載されていましたが、書いてる人が元厚生労働省の人ということだけでそもそも信頼性がないというようなコメントが出ていました。
 そんなコメントを書いている人の多くはきちんとこの記事を読もうとも理解しようとも思っておられないようにしか感じませんでしたし、そういった否定的なコメントをされる方々にはぜひこちらの本もお勧めします。

 ”ちょっと気になる社会保障 増補版”読みました。

 「今の日本はすでに1人で1人を支える「肩車」状態」というのは、もう1つ付け加えると、公的年金が今の在り方となった1961年前後から1人で1人を支えているのは同じです。これもこの本に詳しく書かれています。

 結局いつものオチですみません。皆さま、いつもお付き合いをありがとうございます。


 執筆者さん、「現駐アゼルバイジャン共和国大使」とありますが、ぜひ公的年金や社会保険関係の業務に戻ってきてもらいたいと個人的に強くお願いしたいです。


はらわた煮えくりかえり


 朝日新聞の夕刊にある10週にわたって週1回の掲載される特集があります。
 2018年1月中旬から3月にかけては某経済評論家(経済アナリスト)さんが登場されていました。

 (わたし 第二章) 仕事は遊びだ
  ※ 全文を読むには会員登録が必要なようです。


 第1回目の引用です。

この事件が、私の職業観を変えた。何か思い付いたら、とりあえずやって、ダメだったら、謝る。仕事が遊びに変わった瞬間だった。


 過去の武勇伝は人それぞれ自由に発信してもらえば良いです。名前の通った方々であれば尚更でしょう。


 でも私は今回の特集で、はらわた煮えくりかえりなんです。
 
 この経済評論家さんは以前(8~9年前くらい)に、各種週刊誌で公的年金の不安・破綻を根拠なくあおり、通常は65歳から受け取り始める公的年金がいつ受け取れなくなるかわからないから早く(60歳から)受け取り始めるほうが良いと発信しまくっておられたんです。

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 公的年金の仕組みとして「繰上受給」と言います。65歳から受け取る額と同じ額を60歳から受け取れるなら誰もが繰上げがを選びますが、5年早く受け取ると30%(1月あたり0.5%×12月×5年)減額されます。

 2017-2018年度の国民年金(基礎年金)の満額は77万9300円/年です。これが30%も減額されたら54万5510円/年です。年間23万3790円も少ない額を一生受け取り続けることになります。受取総額の単純な積み上げだと、76歳以上長生きすれば逆転します。

 表現は難しいのですが、60歳時点で明日をも知れない命だったり、どうしても資金の必要な特別な事情があったりした場合はもちろん繰上受給も重要な選択肢です。

 でも、統計上は76歳以上長生きする人のほうが多いわけです。3割もの減額が一生続くわけです。


 平成28年の簡易生命表から60歳と76歳の生存数で割合を出すと、男性は60歳から76歳になるまでに約21.1%が亡くなります。反対に言えば約78.9%は76歳以上長生きします。
 女性は60歳から76歳になるまでに約9.6%が亡くなります。反対に言えば約90.4%は76歳以上長生きします。
 
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 繰り返します。なぜはらわた煮えくりかえりかと言えば、今回のタイトルが 「仕事は遊びだ」 なんです。

 遊びなんですよ。不安をあおって繰上受給を発信したのも遊び。
 私の知る限り、この件を大々的に 「とりあえずやって、ダメだったら、謝る」 流れにはなっていないはずです。


 週刊誌は男性のほうがよく読まれるでしょうか。2割の方々に役立ったなら結果オーライと言えるかもしれません。

 3回目です。私、はらわた煮えくりかえりなんです。

<過去参考記事> ”ちょっと気になる社会保障 増補版”読みました。
 公的年金についてマイナスな発言をする人には必ずこの本を勧めてください。

 以上、現場からお伝えしました。


 ちなみに全10回の内容自体は興味深かったです。ほんと時代を感じます。今ではありえないオンパレードです。