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「がん保険を疑え!」読みました。


 「がん保険を疑え!」(2011年8月4日第1刷)を読みました。
 著者は生命保険有料相談のトップランナー、後田亨さん

 先に書いておきます。私には間違いなく”ひいき目”があります。それは、後田さんのことを人として尊敬していますし、大好きな存在だからです。

 昨年秋に東京で初めてお会いし、たくさんお話させていただきました。保険や業界のことよりも、野球とかプロレスとか友人のような話題が多かったです(笑) 
 いきなりの1対1だったにも関わらず、そうしてお付き合いくださったのはこのブログを事前にいくつか読んでくださっていたことが大きかったということでした。ほんといろいろ書いててよかったって思いました。まだ1年も経っていないということが不思議でならない感覚です。

 後田さんの著書に『生命保険の「罠」』『”おすすめ”生命保険に入るな!』『生命保険のウラ側』があり、メディアでの連載等も多く手がけておられます。そして今回の「がん保険を疑え!」は最新刊です。がん保険だけで1冊!?と初めて聞いたときに驚いた記憶があります。いつも通り、いくつかポイントを引用させていただいての所感を書きます。
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■まえがきの文章の一部はこちらのサイトでも紹介されています。
 ダイヤモンド社オンライン
 「保険のプロでも疑問だらけ!「がん保険」という商品の仕組み
 

■「「高額療養費制度」の落とし穴」 p98

 制度そのものの詳しい説明はここでは省略します。この制度は健康保険の仕組みのなかでも本当にたいせつな内容です。
 ところが、特に現在のがん治療に照らしてみれば実情に即しているとは決していえません。この制度はあくまでも”長期の入院”が前提とされた仕組みです。現在のがん治療における”通院”は制度設計上、想定されていないのです。

 だからこそ、本書で紹介されているような金銭的な負担の大きい事例が生まれてしまうのです。ちなみに、技術的回避のようで申し訳ないのですが、通院治療がメインの場合、薬の処方を2週間に1回や1ヶ月に1回ではなく、2ヶ月もしくは3ヶ月に1回とすることで、高額療養費制度の限度額適用をうまく使えるケースがあります。もちろんすべての方々にはこの方法では役立てないかもしれません。それでも、医療機関ではあえてこのような助言は期待できるものではないようですので、1つのアドバイスになり得ることは間違いありません。

 国民皆保険である健康保険。個人的には、医療費増大・財政難の件もありますので自己負担割合の3割や、高齢者の1割や2割を引き上げても構わないと考えています。また、このケースのような大きな負担を減らす仕組みに変えていくべきだと考えます。(公的な仕組みの件なので長くなりました。しかも、著書の感想とはまったく関係ないです・・・失礼しました。)


■「誰もが、保険料を浮かして貯蓄を増やし、将来、保険からの卒業を目指すべきです」 p111

 特に医療保険の件は激しく同意見です。


■「このような「販売」につながらない助言を、「販売手数料」によって潤うことになる営業担当者や来店型ショップ・銀行窓口を含む代理店から得ることは、難しいこともあります。判断が難しいと感じられる向きには、「有料相談」をおすすめします。」 
p147

 たいせつなのは、「難しいこともあります」と「も」が入っていることです。
 後田さんの公式Webにも書かれていますし、私もその通りだと思いますが無料相談かつ相談対応者が保険の売り手だったとしても、販売につながらない助言をする人がいることも事実です。反対に有料相談でも販売を優先する人がいても不思議ではありません。だからこそ、相談する側も大変だと思います。


■第9章 本書へ想定される「反論」に反論します p163

 後田節全快です。
 入れなくなる前に入っておくほうがいい・保険は安心感、私が感じるのはこういった思いの強い業界人の方々の多くは、新卒もしくはそれに近い若い時期にそれなりの長い年月を保険会社で過ごし、まさに”業界人”になっておられるということです。保険はあって当たり前。優先すべきは保障であり保険商品。そのことがお客様のためと信じて疑っておられない方々が多い。商売だから当然、企業人だから当然というよりも、そのようにすり込まれておられる感が強いです。
 
 保険業界や保険会社所属という属性ではそのようになってしまいますが、担当者によって考え方は大きく異なります。相談者の人生観・価値観が人それぞれ異なるように、担当者にも同じくそれぞれの人生観・価値観があります。ところが担当者は”属性”が強く、保険に対しては一途である方々が多いように感じます。

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 ツイッターで「本読みました。ブログ書きますね」って書きましたら「お手柔らかにw」って返信をいただいてしまいましたので、反論というかつっこみというか、何か盛り込まねばって思ったのですが、残念ながらそういった点はひねり出すことができませんでした。

 その理由は1つ。
 本の中で書かれてあるとおり、執筆された理由として「がん保険の必要性はまったく否定しないとしても、「価格設定は適正なのか?」と問うことを忘れてはいけなかったのです。」(p72)だからです。あくまでも業界に対しての”問い”なのです。

 だからこそ、この本に書いてあることがすべて正しいと思って読まれないほうがよいと思います。こんな考え方があるんだ、自分はこのように考える、だからこそ自分や家族はこういった方針で保険に加入する(もしくは加入しない)というスタンスを持ってもらいたいです。

 生命保険は人生において大きな買い物となってしまうケースが多いです。悩まれたら、専門家に相談されることをおすすめしたいです。保険会社の営業担当者・来店型ショップ・銀行窓口・有料相談、何でも構いません。ただし、複数の意見を聞いてみていただきたいです。

 複数の意見の1つとして有料相談が当然に選ばれる世の中になることが、有料相談をしている1人である私の願いです。


 なお、この記事では、膨大な調査をされたと思われる個別の試算については触れません。比較についても特に疑問を感じませんでした。あれだけの視点で1冊にまとめられた後田さんに敬意を表します。

 
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 生命保険関連で過去に書きましたブログのリンクをつけておきます。
 何かの参考になりましたら幸いです。

 ・医療保険は本当に必要か。
 ・保険の見直しだけをしてくれる保険ショップ
 ・生命保険のビジネスモデルは怖い。
 ・ネット生保は必ずしも安くはない。
 ・個人年金保険は払った額と受け取る額の差額は所得です。


 かなりの長文を読んでいただいてありがとうございました。