2015年1月より高額療養費制度が変わります。 / メルマガに寄稿しました ☆FP伊藤さんの医療制度とお金のQ&A☆<26回目>
2012年5月よりアドバイザーとして毎月参加しています「精巣腫瘍患者友の会(J-TAG)」主催のピアサポート。その場でいただいた質問を中心にまとめています。
2015/01/06配信のメルマガvol.49に掲載されました26回目の寄稿内容を転載します。(年初に配信された内容をそのまま転載します。)
すべては代表の改發(かいはつ)さんのお取り計らいによるものです。何かの参考になりましたら幸いです。
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━━━━☆ FP伊藤さんの医療制度とお金のQ&A ☆━━━━━
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これまでの内容はこちらのコラムサイトでまとめています。
がんに関する医療制度とお金のQ&A【メルマガ寄稿】
参考になりましたら幸いです。
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<第26回> 2015年1月より高額療養費制度が変わります。
変わるのは70歳未満の方々です。
高額療養費制度そのものの解説はここでは省略します。
具体的にどのように変わるのかポイントを絞って解説します。
所得要件がこれまでの3区分から5区分に変わります。
これまでは次のような3区分でした。
・区分A 標準報酬月額53万円以上
・区分B 区分Aおよび区分C以外
・区分C 被保険者が市区町村民税の非課税者等
2015年1月からは次の5区分に変わります。
・区分ア 標準報酬月額83万円以上(年収の目安:約1160万円以上)
・区分イ 標準報酬月額53万~79万円(同:約770~1160万円)
・区分ウ 標準報酬月額28万~50万円(同:約370~770万円)
・区分エ 標準報酬月額26万円以下(同:約370万円以下)
・区分オ 被保険者が市区町村民税の非課税者等
区分Cと区分オは、これまでと変わりません。
これまでの区分Bは、区分ウと区分エにわけられ
区分ウはこれまでと変わらず、区分エは負担額が下がります。
これまでの区分Aは、区分アと区分イにわけられ
いずれもこれまでと比べて負担額が上がります、
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具体的に見てみましょう。
1ヶ月の医療費が100万円だったとします。
これまでの自己負担額は次のような3区分でした。
・区分A 155,000円(多数該当 83,400円)
・区分B 87,430円(多数該当 44,400円)
・区分C 35,400円(多数該当 24,600円)
2015年1月からの負担額は次のようになります。
・区分ア 254,180円(多数該当140,100円)
・区分イ 171,820円(多数該当 93,000円)
・区分ウ 87,430円(多数該当 44,400円)
・区分エ 57,600円(多数該当 44,400円)
・区分オ 35,400円(多数該当 24,600円)
精巣腫瘍の好発年齢である20~40代では、これまでの区分Bである区分ウとエの対象となる人が多いように感じます。精巣腫瘍と闘っておられる皆さまにおかれましては、抗がん剤治療が長期に渡りますので既に多数該当の状況の方々も多いものと思います。
基本的には高額療養費が適用された時点での所得区分が継続して適用されることになり、区分ウとエは多数該当が同じであるため負担額はこれまでと変わらないというケースが多いように思います。
もちろん所得(年収)の大きかった方々におかれましては、多数該当による負担額が毎月9,600円または56,700円も上がることになってしまいますので、相当な心の準備が必要だと言えます。
なお、比較的大きな企業にお勤めの場合には、協会けんぽではなく健康保険組合による「附加給付」という仕組みがあるかもしれません。自己負担が上がってしまうケースでも、その場合にはこれまでと変わらない負担額となるケースも多いと思いますので、詳しくは各健康保険組合へのお問い合わせをお勧めします。
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国民健康保険における所得要件もまとめておきます。
これまでは次のような3区分でした。
・区分A 所得600万円超
・区分B 所得600万円以下
・区分C 住民税非課税者世帯
2015年1月からは次の5区分に変わります。
・区分ア 所得901万円超
・区分イ 所得600万円超901万円以下
・区分ウ 所得210万円超600万円以下
・区分エ 所得210万円以下
・区分オ 住民税非課税者世帯
※ 所得とは国民健康保険料の算定の基礎となる基礎控除後の総所得金額等
※ 「旧ただし書き所得」と呼ばれます。
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いずれにしましても実際にご自身の詳細な情報をお知りになりたいときは、協会けんぽ・各健康保険組合・お住まいの自治体の国民健康保険課などの窓口でのご確認をお勧めします。
具体的な計算式等につきましては協会けんぽのサイトもご確認ください。
高額な医療費を支払ったときは高額療養費で払い戻しが受けられます。
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ピアサポート会場へお越しになれない方々におかれましては、私のアドレス(ブログでは省略)まで直接お問い合わせくださいませ。お時間をいただく場合もありますが必ず返信いたします。ご遠慮なく活用ください。
また、メールマガジンでこんな内容を聞いてみたいというテーマや項目がありましたらぜひお聞かせください。できる限り対応させていただきたいと考えています。
2015年もどうぞよろしくお願いいたします。
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なお、次回のピアサポートは2月13日です。
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