傷病手当金受給中の健康保険料と厚生年金保険料 / メルマガに寄稿しました ☆FP伊藤さんの医療制度とお金のQ&A☆<27回目>


 2012年5月よりアドバイザーとして毎月参加しています「精巣腫瘍患者友の会(J-TAG)」主催のピアサポート。その場でいただいた質問を中心にまとめています。
 2015/02/03配信のメルマガvol.52に掲載されました27回目の寄稿内容を転載します。

 すべては代表の改發(かいはつ)さんのお取り計らいによるものです。何かの参考になりましたら幸いです。
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━━━━☆ FP伊藤さんの医療制度とお金のQ&A ☆━━━━━
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 これまでの内容はこちらのコラムサイトでまとめています。
  がんに関する医療制度とお金のQ&A【メルマガ寄稿】
 参考になりましたら幸いです。
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<第27回> 傷病手当金受給中の健康保険料と厚生年金保険料

Q 長期入院治療中のため傷病手当金を受け取っています。
 勤務先へ毎月数万円の支払いが発生しているのは何の費用でしょうか。
 この負担を減らせないでしょうか。

A 健康保険料と厚生年金保険料です。
 この2つはお仕事を休まれる前の保険料のまま支払いを続けておられます。
 詳細を解説します。

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 例えばお休みをされる前の給与(標準報酬月額)が36万円、その1日あたりの額(標準報酬日額)が1万2000円だったとします。
 現在受け取っておられる傷病手当金はこの額を基準として算出し、1日あたりその2/3です。
 このケースでの傷病手当金は1日あたり8000円、30日で24万円です。

 そして、このケースで健康保険料と厚生年金保険料の2つを合わせた毎月の負担は4万9417円です。(40歳未満・協会けんぽ・京都府・2014年9月~2015年8月の場合)
 毎月の負担である保険料を抑えたいといってこの額を下げてしまうと、下がった額を基準に算出することになり、受け取る傷病手当金まで減ってしまいます。

 ただし、実際には保険料(標準報酬月額・標準報酬日額)を変更するためには、毎年4~6月の定時決定であれば月に17日以上、それ以外の3ヶ月である随時決定であれば月に20日以上の出勤日数が必要となり、長期入院治療中という現在の状況を考えると現実的に変更はありえないということになります。

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 厚生年金保険料も同様に、標準報酬月額が変わらなければ保険料は下がりませんが、現実には変更できませんのでお仕事を休まれる前の保険料のまま支払いを続けておられます。

 現時点においては現実味を感じていただきにくいかもしれませんが、厚生年金保険料は、将来受け取る老齢厚生年金、障害者になってしまわれたときの障害厚生年金、万が一の際に遺された家族の受け取る遺族厚生年金の額に反映されます。先を考えた場合には厚生年金保険料も役に立っています。

 なお、雇用保険料は標準報酬月額・標準報酬日額が基準になるのではなく、賃金を元に計算されますので長期入院治療中に保険料は徴収されていません。

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 極論を書けば、退職後も次の2点を満たせば傷病手当金を期限まで受け取ることができますので、退職されることで確かに保険料の負担は減らせます。

・退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること。
・退職日に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないため受け取れなくなります。

 ただし、退職してしまうことで復職の選択肢がなくなってしまいますので、治療が落ち着かれた後に収入を得るためには仕事を一から探さなければならないことになります。
 復帰後に収入を得る場所があることのたいせつさは、何にも代えがたいものだと感じます。保険料負担があったとしても可能な限り、在籍され続けることをお勧めしたいです。

 もちろんたくさんのケースがありますので、一概に言い切ることはできません。そもそも国民健康保険には傷病手当金の仕組みは存在しませんし、組合健保の場合には2/3よりも大きな割合の付加給付であったり、1年6ヶ月以上の延長給付があったりするかもしれません。
 詳細は必ずご自身が加入されている保険者の窓口へ確認をお願いします。たくさんの情報を得られたうえでご判断をお願いしたいです。

 退職後の健康保険と国民年金の仕組みについては別の機会にまとめたいと思います。

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 なお、次回のピアサポートは5月8日です。
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