平成29年度税制改正大綱を独断と偏見の塊で書き出しました。


 2016年12月8日に、現在の政権党である自由民主党のサイトで公開されました。

 12月10日あたりが通常なので、今回はイレギュラーなしだったようです。
 平成29年度 税制改正大綱
 原文はPDFで141ページです。この大綱はほぼ確定の内容であると言えますが、あくまでも現時点における改正見込みであって、現時点においては確定していないものもありますのでご注意ください。

 実際に改正された内容は財務省のwebにまとまっていますのでご参照ください。
 各年度別の税制改正の内容

 なお、このblogでは私の個別相談で特に関わりそうな内容のみ、独断と偏見で抜粋します。

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【平成29年度税制改正の基本的考え方】

 いわゆる前段で気になった文章です。

■1 経済社会の構造変化を踏まえた個人所得課税改革 p2~
(1)配偶者控除・配偶者特別控除の見直し

・夫婦世帯を対象に新たな控除を認めるとの考え方もあるが、全ての夫婦世帯を対象とすれば、高所得者の夫婦世帯にまで配慮を行うこととなり、非常に多額の財源を必要とすることから、控除の適用に当たって夫婦世帯の所得に上限を設けることが必要となる。


 このあとにも3文ほどあるのですが、とにかくこれを言い出したら何も進められないとしか思えません。配偶者控除(夫婦控除)という単体で考えるからこんなことになってしまうんですよね…。どなたかわかりませんが強いリーダーシップのある政治家さんが税全体の視点を発揮されることでしか解消されないのでしょうし、おそらくつぎはぎの改正がこれからも続いていくんだろうなと感じざるを得ません。


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【個人所得課税】

■配偶者控除・配偶者特別控除の見直し p17~

・平成31年度以降の個人住民税の減収額については全額国費で補填する。


 一応書いておきますが、国費とは元手は税です。結局同じです。
 制度についてはあえて引用も解説もしないでおこうと思います。不満です。不服です。せめて夫婦控除のほうが良かったです。でも、それさえも不要です。

 「配偶者」はいい大人なのですから控除は対象外にして、16歳未満の扶養控除を復活させてもらいたいです。身体の弱い(もしくは高齢の)配偶者がいるのに配慮がうんたらかんたらについては、障害者控除の範囲のみ対象で問題ないと考えますし、それでもだめならそれは税の問題ではなく福祉の問題です。所得税・住民税の負担減よりももっと大きな視点を考えてもらいたいです。

 累進課税制度と所得控除の仕組みはマッチしないです。身近に感じる人が多い生命保険料控除で例を書くと、今は年間8万円以上の保険料で所得控除は最大4万円です。所得が低い人(税率5%)と所得が高い人(例えば税率20%)では、得られる効用(税軽減)に違いがあるからです。所得の高い人ほど税負担が小さくなる所得控除はすべて廃止し、所得へいきなり税率を掛けて、低い所得世帯にはしかるべき給付がある、これが良いように感じる次第です。


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■金融・証券税制 p20~

 
 いわゆる積立NISA(少額投資非課税制度)です。

 現状は年120万円×5年が投資元本の上限です。
 これが年40万円×20年を選べるようになります。

 現状のNISAを利用している人が積立NISAへ切り替える際の実務がどのようになるのか、私の興味ポイントはそこに限られます。


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■租税特別措置等 p34~


 p40で久しぶりに「国民健康保険税」という用語を見ました。
 
 5割軽減および2割軽減の算定基準となる被保険者1人あたりの額が引き上げられていました。引き上げと聞くと改悪に感じられるかもしれませんが、軽減のための計算ですから引き上げられることで軽減の傘の範囲が広がるという意味です。

 1人あたり5000円や1万円ですが、保障の傘は小さくなっているものばかりではありません。反対に言えば、取れる人(高所得者)からは取る、取れない人(低所得者)からは取らないというスタンスがより明確になってきていると言えます。


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■消費課税 p92~


 酒税と車両課税に多くのページが割かれていたのが印象的です。


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【検討事項】 p131~


 毎回気にしている検討事項なのですが、継続的なものが多いです。
 ・年金課税
 ・寡婦控除
 私が特に注目しているこの2つについては、今回で3年連続一言一句同じ記述でした。個人的に残念です。


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【補論】今後の国際課税のあり方についての基本的な考え方 p134~


 昨年には無かった項目です。

 1 問題意識
 2 グローバル経済・日本経済の構造的変化
 3 今後の国際課税のあり方に関する基本的な考え方
 4 個別の制度改革に当たっての視点

 こんな構成で、特に「2」が興味深かったです。

 ・日本は(中略)世界最大の対外純資産保有国
 ・海外から受け取る利子・配当等も過去20年で約4倍に拡大
 ・経常収支改善に大きく貢献している

 日本政府は国内において世界に名だたる借金国であることは、あおられたメディアによる報道によってほとんどの人が知っているわけですが、この件はなかなか取り上げられる機会がありません。

 公的年金がダメだ日本は破たんするなど言っている人は、日本が破たんする前には世界から資産を引き上げることになりますから、世界も終わってしまうレベルになってしまうことをわかっておられないように感じます。幅広く情報を得たいものです。


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 個人的に好きなコラムリンクをご紹介しておきます。

 ミダス王の誘惑
 ・配偶者控除より補助金を
 ・ふるさと納税のからくり
 ※ 全文を読むには会員登録が必要です。

 ふるさと納税についても思うところはたくさんありますので、またぜひ書かねばと思っています。結論として私はすぐに廃止してもらいたいと思っている制度の1つです。


 なお、平成28年度の税制大綱を取り上げたblogはこちらです。
 平成28年度税制改正大綱を独断と偏見の塊で書き出しました。

 長文を読んでくださり、ありがとうございました。