「そもそも興味がないから」


 少し前の情報で申し訳ないのですが、2つの資料をご紹介します。

 ・家計の安定的な資産形成に関する有識者会議 第1回資料 金融庁 2017年2月3日
 ・投資信託に関するアンケート調査報告書 投資信託協会 2016年12月

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 金融庁での1万人を対象とした調査で、約56%いる投資未経験者の約8割が「資産形成のための有価証券投資は必要ない」と答え、その理由は「そもそも興味がないから」が約6割です。

 同じく金融庁の調査で「投資教育を受けた経験なし」が約7割あり、そのなかの67%が「金融や投資に関する知識を身に付けたいとは思わない」と答えています。全体で考えても5割弱が「投資教育を受けた経験なし」で「金融や投資に関する知識を身に付けたいとは思わない」という結果です。


 次に投資信託協会での2万人を対象とした調査でも、「投資・購入を行わない理由」の第1位は「そもそも興味がないから」であり、約5割です。

 2万人のうち75%である1.5万人がこれまで投資信託を保有したことがなく、そのうち約50%である7500人が「そもそも興味がないから」という理由です。全体で考えても4割弱が「そもそも興味がないから」投信を保有したことがないという結果です。


 これらの結果が妥当なのかどうなのかわかりませんが、すそ野の広がりはこの数値がどのあたりまで変わってくることなのか私はイメージしにくいです。

 私も投資教育を受けた経験はありません。社会人になって、とある先輩の勧めで証券会社の口座を開いたことがありますが結局一度も使わないまま、とりあえず普通預金・定期預金以外の何かと思って毎月積立の外貨預金を始めFPを学ぶまでは継続していました。
 そして、メーカー退職時に厚生年金基金をどうするか調べたときに個人型確定拠出年金(iDeCo)を知り、最初に投資信託を購入したのはiDeCoです。まもなく10年です。

 繰り返しになりますが投資教育を受けた経験はありませんし、FPを学んで今のような仕事についていなければ、こんな時代でなくてツイッターなどのSNSがなければ、現在のような投資信託を中心とした資産形成のスタンスにたどり着けなかったかもしれません。

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 投資信託協会の調査結果で気になった項目を挙げておきます。


・現在投信を保有している人たちのうち、毎月分配型を保有しているのが全体で約49%、40代で約41%、30代で約37%、20代でなんと約44%。

 将来を見据えての資産形成を目的としている場合、途中で現金化(分配)されてしまう商品は候補として考えにくいです。また、毎月分配型は購入時手数料・信託報酬(運用管理費用)が高すぎます。高コストは固定されたマイナス要因ですから、お勧めしにくいところです。


・毎月分配金では、元本の一部が払い戻されることもあるを把握しているのは保有している人の約42%のみであり、分配金が支払われた額だけ基準価額が下がることを把握しているのも保有している人の約37%のみ。

・毎月分配型の非魅力点として「分配金の額だけ基準価額が下がる」ことを保有している人の約43%が選んでいる。

 証券会社の担当さんや銀行の窓販などの対面とネット証券などの非対面、この2つで販売額にどの程度の差があるのかわかりませんが、この点をわからず(説明をきちんと受けず?)購入するのは本当にさけたいところです。


・投信で特に不満を感じる点の第1位は「元本保証がない」であり、保有している人の約53%もこれを選んでいる。

・投信に元本保証がないことを保有している人の約79%しか認知していない。

 これは、、、大丈夫なのでしょうか…


・「販売手数料とは別に運営管理費用(信託報酬)がかかる」ことを保有している人の約44%しか認知していないこと。

・「運営管理費用(信託報酬)は投資信託財産から支払われている」ことを保有している人の約29%しか認知していないこと。

 手数料を把握することは大事です。ただし、金融商品において手数料を把握する習慣が日本では多くなかったのではないでしょうか。より身近な普通預金や定期預金の(実質的な)手数料は調べようと思ったこともありませんし、日本において加入率の高い生命保険や損害保険の手数料は開示されていません。こういった背景もあるように思いますがいかがでしょうか。

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 最後に、投資未経験者・投信購入未経験者が投資・購入を行わない理由として「まとまった資金がないから」が選ばれていたのは投資信託協会の調査では約2割、金融庁の調査では約7割ということで、非常に大きな差がありました。質問の仕方によって結果は大きく変わってくる項目もあるんですね。

 ですので、すべては参考情報であることは間違いないと思いますけれど、何事も100%理解しない(できない)としても、ある程度は把握しておくことが最低限必要ですし、その最低限がどこまでなのかを把握するためには時間をさいて勉強したり調べたりする時間も必要でしょうし、その時間を買う意味で専門家に相談すると言ってもその専門家もスタンスによって言うことは千差万別でしょうし、悩ましい世の中だと思ってしまう次第です。

 ちなみにネット証券では投資信託を100円から購入できるようになりました。「まとまった資金がないから」は逃げ口実にはならない時代に突入しています。たった100円分を買って何になるんだという意見も出てくるかと思います。まずは100円でも500円でも1000円でも試してみることができるのはとても意味の大きいことです。昔は数十万円からの株式しか買えなかったはずです。より身近に投資が存在する社会です。


 最後に冒頭の内容に戻りますが、「わからないものには手を出さない」が大前提であることは間違いありませんから、時間を作ってまで学ぼうと思えないという意味での「そもそも興味がない」と私は受け取っています。

 資産を何倍にも増やすことを目的としたよくわからない投資ではなく、遠い将来を見据えたうえで「お金の置き場」として何十年もの長期にわたる資産形成は若い世代にとってとても大事なことだと思っています。

 ここでいう若い世代とは20代・30代に限った話ではなく、人生90年で考えれば50代・60代でも若いが当てはまるかもしれません。金融商品を活用した投資をするしないは自由です。強制されるものではありませんが、年齢に関係なく、それなりに知ったうえで判断することが大事なことだと考えます。

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