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”消費低迷と日本経済”読みました。


 ”消費低迷と日本経済”(2017年11月30日 第1刷発行)を読みました。

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 著者は大阪大学特任教授・名誉教授の小野 善康(おの よしやす)さん。
 小野先生を知ったきっかけは朝日新聞の不定期コラム「ミダス王の誘惑」です。いつもものすごく興味深い内容です。


 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに
■序 ギリシャ神話・ミダス王の教訓
■おわりに

・現代の日本では、人々が本来の目的である物やサービスよりも手段であるお金を欲しがり、物が売れずに長期不況を招いている p14


■第1章 がんばっても豊かになれない本当の理由

・現役世代を家に縛りつけている介護や保育の負担を和らげ、心身両面を快適にする観光や文化サービスなどを充実させた方がいい p25


■第2章 「物よりお金」が経済を狂わす

・お金への執着は、物の購買意欲を減らして企業活動を阻害し、失業を生む。さらに財政縮減の大合唱を生んで、政府を機能不全に陥れる p40
・金銭欲と大衆迎合 p52~
・経済政策の究極の目的は、いまも昔も、企業の金もうけ最大化でも、国際競争での勝利でもなく、人々の幸せの最大化である p58


 日々、メディアから発信されている情報は何なのかと思えてしまいます。私たちはこの日本という1つの国において1億2000万分の1でしかありませんが、その1人ひとりの考え方が大事なのだと気づかされます。
 そのわずかな1人が自分や家族のためにより良いと感じる手段を取ることは当たり前のことです。ここでの「より良い」とはできる限り貯蓄に励むということでしょう。でも、何事にも限度や適性水準というものがあり、過剰であってはいけない。今の日本は過剰に貯め込んでいる(層がある、または層が多い)ということなのだと読み取りました。


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■第3章 資本主義の限界を乗り越えるには

・物を買うことは、自分が楽しいのと同時に新たな雇用と所得の増加にもつながるのに、節約志向が高まり物が売れない(中略)こういうときこそ、再分配や社会保障の充実が景気拡大に結び付き、自分に返ってくる p71
・格差を助長する年金制度 p79


■第4章 金融緩和が作り出す虚構の世界

・人々の購買意欲が減退し(中略)消費も増えず投資機会も限られているため、日銀がいくら金利を下げ、量的な金融緩和を行っても、景気は刺激されない p108
・ほかならぬ自国民がいくら金持ちになっても消費を増やさず、金をため込んでいる p117
・マスメディアは手遅れになる前に、正しい情報を伝えるべきだ p124


 蓄えゼロで使いまくるのが良いとは私も思えませんけれど、公的年金をはじめとした社会保障の不安を過剰にあおることで1人ひとりが「よくわからない」不安を感じ、節約に励みお金を貯めているが社会全体で考えれば良くないことなのだと気づかされます。
 人生で使い切れないほどのお金を貯め込み(実際には使い方がわからないことで結果として貯まってしまう)、余れば次の世代が引き継ぐのですが、引き継ぐ世代も若くないため結局消費にまわらないわけです。

 私はいわゆる富裕層専門ではありませんから、日々の相談を受ける立場として消費したくとも消費できない家族があることも知っています。なぜ消費できないかといえば、子どもの教育費のため自分たちの老後(リタイア後)のために貯めておかないと選択肢が限定されてしまうからです。
 だからこそ若い世代への再分配や社会保障がもっと手厚くならないといけない。でも現代の社会保障(社会保険)は公的年金・公的医療保険ともに若い世代からリタイア後世代への資金移動が大きすぎるんです。お金をたくさん持っているリタイア後世代に手厚い保障は不要なのに、それを補足する手段がない。いえ、あるんですけど実行できない。ああっ、悩ましいです。


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■第5章 増税と囚人のジレンマ

・増税延期で失ったもの p136~


■第6章 善き社会を作る財政の使い道

・誰にも幸せにしない忍耐・倹約 p155~


■第7章 グローバリズム経済を生き抜くには

・”爆買い”を喜べない経済学的理由 p180~
・国内外での企業の活躍が日本経済の豊かさにつながらないのは、日本の消費者が稼いだお金を消費に回さないからだ p188


 本当にとにかく一貫しています。供給ではなく需要(消費)です。まだ感想を掛けていませんけれど、権丈先生のちょっと気になる社会保障のシリーズ本「ちょっと気になる政策思想」にもこのことは耳にタコができるほどに書かれています。

 私たちは適切にお金を使っていかないといけないんです。


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 適切にお金を使っていくにあたっては社会保障(社会保険)を知り、支出の見通しをたて、大小を問わず資産を把握・管理していくことです。それをお手伝いできる専門家がファイナンシャルプランナー(FP)であることに間違いありません。(ただし、金融商品販売に特化したFPは除外せねばなりません)

 FPの役割は資産を増やしていくお手伝いではないと私は考えます。過剰に貯め込みすぎず使っていくこと、これが資産を適切に管理していくとことであり、このことこそがFPの最大の役割だと信じています。


 身近で接しやすい情報からは得られない切り口です。お勧めの本です。

 

 2018年4月の医療政策会議報告書「社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~」(PDFファイル注意)にも本書著者の小野さんが講演録(p58~成熟社会の経済と処方箋)で登場されていました。
 ちなみにこのリンク先のトップバッターは大好きな権丈先生(p1~医療政策会議における基本認識)です。


 長文をお読みくださり、ありがとうございました。