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”教養としての社会保障”読みました。


 ”教養としての社会保障”(2017年6月1日 第1刷発行)を読みました。

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 著者は在アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使の香取 照幸(かとり てるゆき)さん。
 ※ リンク先は2016年の厚生労働省入職案内。最終6ページ目に登場されています。
 ※ PDFファイル注意。
 2017年3月から現職とのことですが、リンクのように厚生労働省36年という経歴です。

 香取さんを知ったきっかけ元ライフネット生命会長の出口さんがこの本の感想リンクをSNSで紹介されていたことです。
 『教養としての社会保障』 - HONZ
 出口さんの書評があればもう紹介する必要が無さそうですけれど、そこはやはりいつも通りアウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルで記事にします。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに~この本を手に取ってくださった方へ

◆第1部 社会保障とは何か~制度の基本を理解する

■第1章 【系譜、理念、制度の体系】ギルドの互助制度を手本としたビスマルク

・所得再分配を通じて中低所得者層の所得の「底上げ」を行うことは有効需要を創出し、消費を支えます。経済成長の果実を広く国民に分配することで分厚い中間所得層が形成され、彼らの消費がさらなる経済成長を支えます。 p27

■第2章 【基本哲学を知る】「共助」や「セーフティネット」が社会を発展させた

・社会保障制度を教科書的に理解するときに使われるのが、「救貧」と「防貧」という機能です。救貧は公助です。(中略)防貧の考え方のベースは自立の保障です。 p48-49
・競争とはトーナメントではない p58~

■第3章 【日本の社会保障】戦後日本で実現した「皆保険」という奇跡

・世界一の医療制度 p85~


 出てきました。需要と消費。

 <過去参照記事> ”消費低迷と日本経済”読みました。
 (順番としては”消費低迷と日本経済”よりも先に今回の”教養としての社会保障”を読んでいます)

 社会・経済・私たちの生活、そして社会保障の根幹は需要と消費なんです。
 遅ればせながらよくよくわかってきました。


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◆第2部 マクロから見た社会保障~社会保障と日本社会・経済・財政

■第4章 【変調する社会・経済】人口減少、少子化、高齢化で「安心」が揺らぎ始めた

・もっとも厳しいこれからの25年 p102~
・解決策は労働人口を増やすこと p105~
・一人ひとりが老後の生活で必要なコストを社会全体で賄うことで、過剰貯蓄をもっとも合理的に小さくしようとしているのが年金制度 p112

■第5章 【産業としての社会保障】社会保障はGDPの5分の1を占める巨大市場

・貯蓄から消費へ p154~
・説明の必要はないとは思いますが、民主党が政権交代前に「年金が潰れる」とさんざん吹聴したことが年金制度への不信を煽った一面はあります。 p155

■第6章 【国家財政の危機】次世代にツケをまわし続けることの限界

・実は日本の政府はすでに先進国でも十分に小さい政府(中略)社会保障だけでない、教育も防衛も、みんな小さいのです。 p170-171


 いわゆる年金不安・年金不信を解消するための内容です。何も問題がないわけではありませんが、問題の期間と本質は間違いなく特定できているんです。でも、誤った情報が出回りすぎ、いまだに流布する人たちがいて多くの人たちに染み付いてしまっているです。
 地道に着実に発信し伝えていく役割が私やこの記事を読んでくださっている方々にはあるんです。


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◆第3部 日本再生のために社会保障ができること

■第7章 【目指すべき国家像】「将来不安」を払拭するために何をすべきか

・拠り所の喪失 p198~

■第8章 【新たな発展モデル】北欧諸国の成功モデルから学べること

・福祉から就労へ p223~
・所得の再分配が現役世代に薄く高齢者に厚い、日本の現行制度は、経済の低迷が示しているように、適切に機能しているとは言えません。 p223

■第9章 【改革の方向性】「安心」を取り戻すために、どう改革を進めるべきか

・少子化対策ではなく、家族政策 p255~
・日本の高齢者の貯蓄水準は過剰です。(中略)高齢者の経済活動を貯蓄から消費へ誘導するためには、社会の安心基盤を構築し、将来の不安を少なくして安心して暮らせる社会を作ることが王道です。 p277-288

◆付 章 【提言】人口減少社会を乗り切る持続可能な安心社会のために

・スウェーデンの年金制度では、引退までに積み上げた年金権の額を平均余命で割って年金額が計算されます。 p283


 拠り所・就労・家族、人は1人では生きていけません。目に見えなくともみんなで支え合っています。家族政策ではこの記事を思い出しました。
 

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 文章だけでなくたくさんの図表が掲載されており、説得力がより強い本です。”教養としての”というタイトルの通りです。そして、教養で終わらせることのない社会保障の理解と日々の生活につなげたいものです。


 「おわりに」ではやはり権丈先生のお名前が出てきます。公的年金保険をはじめとした社会保障の真っ当な情報の中核に権丈先生がいてくださること、本当に心強いです。

 <過去参照記事> ”ちょっと気になる社会保障 増補版”読みました。
 公的年金についてマイナスな発言をする人には必ずこの本を勧めてください。

 

 最後に香取さんのコラムリンクを2つご紹介します。

「公的年金は潰れる」論は「トンデモ系」年金破綻しないがバラ色給付はない
「公的年金は日本社会・経済の縮図」”ミスター年金”が論破する公的年金は潰れる説

 この本はハードルが高いなと感じられましたら、ぜひこの2つのリンクをお勧めします。

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。