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背景として簡単に不安をあおったり、何かを悪く言うのはどうかと思う


 先日、京都市内某所で開催されました講義を受講してきました。
 昨年受講しました 結局のところ将来は予測不可能 と関連している講義です。

 今回の講師は金融機関での運用部門歴が長く、その後アセットマネジメント会社の社長を務められ、現在は某投資系協会の会長さんで「価値向上へのヒント(告知時:アセットマネジメント会社の社会的役割)」というお題目でした。

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 日本企業の実態としてファクト(事実)を伝えますとの流れで、冒頭から平成の30年を切り出し、

・日本株式(TOPIX)は何も増えていない(海外の指数は伸びているとの比較で)
・老後に備えるという目的の公的年金運用(GPIF)も多くを日本株に投じているが価値を生んでいるのか?むしろ価値を破壊されてしまっているのでは?
・それはまずいということで安倍政権は好循環社会をめざしている

・企業の時価総額世界順位、ベスト100に日本企業はたったの4社
・世界競争力は1位から25位へ
・1人あたり名目GDP(国の稼ぐ力)は3~8位から25位へ
・国債の格付けは最高ランクのAAAからAへ
・賃金が減っているのは日本だけ
・平成の30年は経済の敗北を認めるところから始めないといけない

 時々、苦笑されながら「悲観ばかり伝えたくないのですが」とお話しされていました。

・とはいえこれは社会の平均であり上場企業すべての平均なので、伸びている企業はある。商品や役割に代わりのいない企業は有望。
・これからの若い人には価値を生んでもらわないといけない。
・日本の優秀な学生はどこに就職するのかを考える。欧米の優秀な学生は起業を考える。ただし起業の93%はうまくいかない。でも失敗とは言わない。将来に向けて学習したと言う。
・日本は安心安全がすごい。安定を求める日本、成長を求める他の先進国。その両立が今後の課題。

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 いわゆる投資初心者向けとして、説明を端折られたのだと信じたいような内容のオンパレードで、実は記事にするのをためらいました。1つひとつの悲観を覆していくのは簡単なのですが、長文になってしまいます。


 前半の公的年金、GPIFの件だけは取り上げておきます。

 この会長さん、GPIFの運用結果をきちんと見られたことが無いのだと思います。いや、投資系の協会の会長であり資産運用会社の社長を経験されているので、本当は正しい事実を知っておられるのかもしれません。うまく運用できている事実を認めたくない事情があるのかもしれません。

 GPIFは日本株を最初に買って持ちっぱなしというわけではありません。着実にリバランス(再調整)が実行され、着実に配当収入を得続けていますし、16年間の平均(2018年3月時点)で毎年3.4%も日本株で収益を得ています。この間の外国株式は5.6%ですから差があるかもしれません。でも、「何も増えていない」とは異なります。また、直近5年で言えば年平均12.8%、外国は12.9%、ほぼ同じです。


 そして、各ランキングではバブル絶頂のハイパフォーマンスを基準にするのはどうかと思います。
 ハイパフォーマンスから下落してきた30年は、講師を務めておられた会長さんをはじめとした世代が働き盛りの時代です。他人事のように日本全体や企業の平均はダメだとの論調でしたが、会長さん自身が深く関わってこられた時代です。少子”超”高齢化への対策を働き盛りの世代としてきちんと向き合ってこなかった中心です。今回の内容こそが、これまでの時代を如実に表しているとさえ感じてしまいました。

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 なぜこうして記事にしたかというと、投資や資産運用に深く長く関わってこられた人でも平気でこういった(困った)話をされることを知ってもらいたかったからです。

 受講されていた多くの方々(投資・運用の話ですが、対象は高齢者ではなく主には学生さん向け)は何も疑問を感じておられないように見受けられました。背景を知らなければ世間的にしっかりした肩書の人の話は信じるでしょうし、講演されたデータは多岐に渡るのでそれらの元データを1つひとつ調べることもありません。


 「平均」にはピンからキリまで、有象無象が含まれて当然です。その中から良いものを選ぶ努力をしましょうという話自体には異論はありません。でも、そのための背景として簡単に不安をあおったり、何かを悪く言うのはどうかと思うんです。

 皆さま、こんなひねくれた私で申し訳ありません。今後ともどうぞよろしくお願いいたします

(受講を快諾くださった関係者の皆さまには深く感謝を申し上げます。こんな感想を書いてしまい申し訳ありません)