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社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~【序章】給付先行型福祉国家


 2018年4月に日本医師会から発表された医療政策会議報告書の平成28・29年度版「社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~」を読みました。

 プレスリリースはこちら。
 平成28・29年度医療政策会議報告書「社会保障と国民経済~医療・介護の静かなる革命~」まとまる


 登壇・執筆されている専門家の方々の信頼性は非常に高く、また医療や介護に限った話ではなく社会保障全般であったり経済のことが本当に詳しく掲載されていましたので、何回かに分けてブログ記事にします。新しく「社会保障(主に公的年金保険以外)」という新しいカテゴリーを作りました。

 本当は報告書を読んでいただくほうが良いのですが、よほどのもの好きでなければ(笑)読み込むのはしんどいと思います。私による勝手な引用だけでもぜひ参考になりましたら幸いです。

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■序章 医療政策会議における基本認識
 権丈 善一(慶應義塾大学商学部教授)

・日本は、赤字国債を発行しながら、社会保障の給付を先行させるという「給付先行型福祉国家」を作り上げてきた。その過程では、給付のみならず、景気も先取りしてきた p1

・幸いにもこの国は、潜在的な供給力に対して需要が不足している成熟社会の段階にある p1
・成熟社会は、所得を今よりも平等に分配することが経済に活力を与え、労働分配率を高めることと資本の成長は整合性を持ち得る。さらに、財源調達を行いながら皆保険を維持していくことが、成長に有利に働く社会でもある p1

・少子高齢化と国民経済の関係を見る指標は、就業者1人当たり非就業者 p2
・日本の1人当たりGDPの伸びは、他の先進諸国と比べて遜色のない伸びを示してきた――問題は、労働、資本、土地という生産要素間の機能的分配と、高・中・低所得階層間の個人的分配のあり方 p2

・現金給付よりも現物給付(ベーシック・インカムは導入が不可能・不適切) p2
・2019年10月の消費税増税を確実に行うこと p2

・介護保険は65歳以上の被保険者が給付費の98%を利用しており(医療58%)、高齢期に支出が集中している側面は、年金と類似 p5

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 トップバッターは権丈先生です。このブログで圧倒的ナンバーワンの閲覧数を誇る「ちょっと気になる社会保障 増補版」の著者です。権丈先生が登場されている(仕切っておられる?)からこそ、この報告書を手に取ったという背景があります。

 パワーワードが並びます。引用部分は本当に一言一句読んでもらいたいです。大事すぎます。
 「給付先行型福祉国家」「需要不足」「生産要素間の機能的分配」「現物給付」このあたりは第1章以降および講演録でさまざまな専門家が取り上げておられます。


 この手の内容は1記事でまとめると読まれにくい超長文になってしまいますので、少しずつ取り上げます。
 日本という素晴らしい国で生活していくにあたって、本当に知っておきたい話のオンパレードと言えます。
 私は義務教育におけるまっとうな社会保障教育が強く必要だというスタンスです。

 <次回> 第1章〔社会保障論〕 経済・財政・社会保障を一体的に考える