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社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~【講演録3】経済と社会保障は表裏一体


 2018年4月に日本医師会から発表された医療政策会議報告書の平成28・29年度版「社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~」を読みました。

 前回、第9回目の記事はこちら。
 社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~【講演録2】頼りあえる社会


 本当は報告書を読んでいただくほうが良いのですが、よほどのもの好きでなければ(笑)読み込むのはしんどいと思います。私による勝手な引用だけでもぜひ参考になりましたら幸いです。

 講演録3番手の香取大使の報告書はこちら。
 社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~【第1章】相矛盾する国民の意識

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■講演録3.全体連関のなかでの社会保障
 香取 照幸 氏

・「幸せな家庭は皆一様に幸せだが、不幸な家庭はそれぞれに不幸だ」というせりふです。つまり問題を抱えたり不幸なことがある家庭は、その家庭の数だけ不幸の形がある。私たちはそういうきわめて個別性の高い人たちを相手にものを考えなければいけない p81
・社会保障制度の議論をするときに、社会保障の議論だけをしていても、おそらく答えは見つけられない p81

・社会保障は単に弱者救済というものではなくて、社会全体としてのリスクを低減するもの、いわばリスクヘッジをする仕掛けで、これをより個別に見ていけば、1人ひとりの人間が自分の能力や自分の可能性を最大限に発揮できるような条件を作っていく。人間がそのための知恵として作り出したものが社会保障 p82
・医療についても年金についてもそうですが、これは人間が考えたものです。知恵で作ったものです。頭で考えて作ったものです。おそらく人類が発明した最も知的で、かつ合理的で科学的なシステム p82

・この国はみんな同じ顔をして、同じ言葉を話して、同じものを食べて、同じ文化で同じことをやっていますから、社会というものは当たり前に存在していて、当たり前に統合されているものだと考えていますが、このような国は世界中ほとんどない p82

・この国の社会・経済の問題をどう解決していくかということと、社会保障の課題をどう解決していくかということは、表裏の関係にある p83
・負担というのは理屈ではなくて納得ですから、「理屈では分かるけれども、おまえに言われたら嫌なんだよね」というのはいくらでもあります。やはり合意ということが大事なので、これは政治の能力というか力というか信頼というか、そういうことだと思います p85

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 現代社会・成熟社会だからこそ人(他人)と自分を比べ易く、人の得を許しにくい論調も出てきてしまうのだと思います。得と言っても、社会保障という制度上で助けが必要な状況にあるからこそ得られるものですから実際には得と呼べるものではないはずなんです。でも、自分がその恩恵を受けていないので、得に見えてしまうのだと思います。

 これをなくすにはみんなが目に見えて恩恵を受けなければいけない。これは【講演録2】頼りあえる社会の内容が解決策になってくるのでしょう。


 消費税が10%になる10月に向けて、消費税に関する論調が多く出てくることでしょう。現状は増税分の使い道として保育料のことはわかっていますが、これも3~5歳児の無償化ではなく人件費を含めた環境整備と充実が先だという話も出ていますし、他には明らかに社会保障の充実とはなっておらず高齢者向けに増える負担に充当されるだけであったり、そもそも軽減税率・ポイント付与・プレミアム商品券など愚の骨頂とも言える策により、実質の税収がどれだけ増えるのかフタを開けてみないとよくわからない状況のように感じます。

 義務教育で社会保障をまっとうに学ぶ機会、これも同時進行で議論が進んでもらいたいと切に願います。


 <次回> 講演録4.生活保障の新しい作法 保健・医療・福祉を包含する生活モデル