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社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~【講演録4】社会保障モデルから生活モデルへ


 2018年4月に日本医師会から発表された医療政策会議報告書の平成28・29年度版「社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~」を読みました。

 前回、第10回目の記事はこちら。
 社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~【講演録3】経済と社会保障は表裏一体


 本当は報告書を読んでいただくほうが良いのですが、よほどのもの好きでなければ(笑)読み込むのはしんどいと思います。私による勝手な引用だけでもぜひ参考になりましたら幸いです。

 講演録4番手の猪飼教授の報告書はこちら。
 社会保障と国民経済 ~医療・介護の静かなる革命~【第3章】もつれた糸理論

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■講演録4.生活保障の新しい作法 保健・医療・福祉を包含する生活モデル
 猪飼 周平 氏

・医者の施設のほうに患者がやってくる流れが2000年ごろから、大まかに言うと世紀転換期ごろから、今度は医者のほうがまた患家のほうに訪ねていくという方向に向かって、大きな転換をしている p93
・時代をさかのぼればさかのぼるほど往診率が高い(中略)病気で動けない患者がいて、元気な医者がいる。どちらがどちら側に行くかということを考えたときに、元気な医者のほうが病人のほうに行くべきだろうという時代が、かつてもちろん存在していた p93

・「地域包括ケア」という言葉を考えたときに、「地域ケア化」と「包括ケア化」に分類して考えなくてはいけなくて p94
・人間のQOLは究極的には分からない(中略)人間の暮らしというのは非常に個別的で
多様(中略)貧困といっても、個人個人で貧困のあり方はものすごく違っている p94

・社会保障モデルから生活モデルへ p95
・生活が破綻するリスクというのは、どのような人でもなくならない p95
・この世界に人間が8人いて、生活問題が8つあるという、単純化されたモデルを考えてみましょう p95 + p102-103の図表29-33

・社会保障モデルというのは、やればやるほど歩留まりが悪くなっていく性質を持っていて、生活モデルというものは、それに対して1人ひとり支援をしていきますので、能率は悪くはならない p95

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 p102-103の図表29-33は必見です。前後の文章を読まずに図表だけだと伝わりにくいかもしれませんが、シンプルに「リボン理論」と呼ばれる仕組みが解説されていまして、わかりやすいです。

 この域に達しているのは成熟社会である証ではないでしょうか。横断的な保障で解決できるケースが減ってきているんです。現時点で個別性の高いサービスを提供しているのが医療であり介護でしょう。これがもっと福祉に手厚くならないといけない。ということは、そのサービスの中心である公務員さんを増やさないといけないし、手厚く迎え入れないといけない。その職業(収入)の安定性・長期性が担保できれば、需要(消費)にもつながるように思います。


 「社会保障モデル」と「生活モデル」を読んで気づけたのは、ファイナンシャルプランナー(FP)でいうと講師専門の方々は広く多くの方々を対象にした社会保障モデル、私のように相談を中心とした対応は生活モデルだなと感じました。

 どちらが良いとか悪いではなく、社会にはどちらも必要です。多くの人が関係するような、いわば一般的な情報は講演を受講すること(社会保障モデル)で解決するでしょう。でも、その情報に個別性・事情性が加味されていくと、一人ひとりと向き合う相談(生活モデル)でなければ解決が難しくなります。


 この報告書を読めば読むほどに、感想記事をまとめればまとめるほどに、社会を理解するうえでの大前提や基礎知識を知ることの重要性を痛感します。

 <次回> 講演録5.今後の超高齢・少子社会と医療・社会保障の財源選択 ―『地域包括ケアと福祉改革』序章をベースにして