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「消化器がんの検診および最新の治療」を受講しました


 第48回日本消化器がん検診学会近畿地方会 市民公開講座「消化器がんの検診および最新の治療」を受講してきました。


 きっかけは司会と発表を務められた京都府立医科大学附属病院の吉田先生による発信です。
 「医療者が知っておくべきがん治療におけるお金の話」講師を務めました。
 こちらでご挨拶させていただき、もう6年以上も前なのですね。開会前に気づいてくださり「(話す)ハードル上がりますやん」とお声がけくださるくらい温和で、マラソン・ランニング好きな医師です。


 発表は3名とも京都府立医科大学附属病院の消化器内科の所属です。

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■講演1「胃がん検診と内視鏡検査の進歩」
 土肥 統(おさむ) 医師

・胃がんの罹患率は上がっているが、死亡率は緩やかに減っている
・5年生存率は発見時のステージによって差がある。
 Ⅰ 97.3%、Ⅳ 7.3%のため早期発見が大事。

・ピロリ菌がいなければ腫瘍の99%は良性で、がんではない。反対にいえば1%はがんの可能性があるため「ピロリ菌がいない=がんにならない」ではない
・ポリープの傾向として、良性はきれい。悪性(がん)はステージⅠ(A)でもいびつ。Ⅲ・Ⅳはグロテスクで派手。

京都市 がん対策(がん検診)
・検診を受ける頻度
 ポリープになりやすい人は2年以内に1回
 5年以上あくと進行がんで見つかってしまう可能性が上がる
・ピロリ菌の除菌後も1~2年に1回は胃カメラ検査をお勧めしたい。除菌後も3年以内に3%の人ががんに罹患するデータがあり、5年以内に見つかることが多い。

・内視鏡の進歩
 光源が昔の白色光(WLI)から今は特殊光(LCI・BLI)。ピロリ菌のいる場所は赤、がんは紫など発見しやすく。


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■講演2「膵がん検診の課題と集学的治療の進歩」
 保田(やすだ) 宏明 医師

・膵臓がん検診は存在しない。医学的・技術的に効果の高いものが見つかっていない。

日本の最新がん統計まとめ
 がん罹患数ではトップ5に入っていないが、死亡数では男性5位・女性3位。

・発見時ステージ別の割合と3年生存率
 Ⅰ  6.2% 62.2%
 Ⅱ 27.4% 31.5% 
 Ⅲ 15.3% 10.9% 
 Ⅳ 47.5%  3.2%
 発見が遅くなることで生存率が相当に低い。

・予防・リスクファクターは他のがんと変わらない。
 たばこ・休肝日のない飲酒など。
・糖尿と肥満で罹患率の上がることは明らかになっている
 膵がんの60~80%は糖尿病が合併

・胃の裏にあり、痛みの箇所も特定しにくい
・胆のうの近くの膵がんは黄疸が出るので早く発見されやすい
・胃カメラ方式で胃からエコー(超音波)検査が比較的信頼性高い

・治療の原則は切除
・抗がん剤は進行を遅らせる目的
・非常に珍しい条件を満たせば(膵がんの数%?)オプジーボも候補
・同じく条件を満たせば陽子線治療(先進医療)の対象。ただし、2019年4月から現在で対象者は1名

・「これを食べればがんが消える」というような宣伝に注意してほしい
 そんなものが存在するなら医療で当然に使われる。
 高額なお金のかかるケースもあり、その食品を摂取し続けることでの管理は誰もしてくれないことがほとんど。


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■講演3「大腸がん検診の重要性と最新の大腸内視鏡検査」
 吉田 直久 医師

・日本だけでなく世界的にも罹患率・死亡率ともに3位。
・大腸がんも無症状が多い。だからこそ早期に発見したい。

・便検査で陽性は7%、そこからがんは3%で見つかる。
 ただし、便検査の陽性7%のうち67.3%が精密検査を受けていない。
 大腸カメラは拘束時間も長く、心理的にも大変だと思うが、ぜひ受けてほしい。
・進行がんでも出血なしが10%、早期がんでは40%

・大腸がん検査の対象者
 欧米は50歳以上、日本は40歳以上
 受診率 欧米は8割弱、日本は4割前後(京都は約37%)

・症状で発見されたがんと検診で発見されたがんでは生存率が明らかに異なり、検診で早期発見につなげたい
 がん検診または健診でがんが発見された場合と、それ以外の場合での5年相対生存率
 (リンク先は一例)

・大腸がんの場合、内視鏡(カメラ)に勝る検査方法は無い
・胃がんと同じく特殊光でがんの模様まで詳細にわかり、分類判定できる
・ただし、カメラも万能ではない。2~3割は見逃しもある。ヒダの陰や残便の影響。
・正診率は約85%。切除方法で、スネア(EMR)で進めた結果、ESD(内視鏡的粘膜下層はく離術)に変更するケース、ESDで進めたけれど結果的にスネアでも問題なかったケース、これらは当然に起こりえる。
・ポリープを切除し続けることで、がん死は53%下がるというデータもある


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 保田医師による根拠の明らかでない民間療法(※)の話、チーム医療の話が特に印象的でした。
 ※ 今回のお話で出てきた例でいえば個人的には「療法」という表現を使いたくないです。ニセ医学でしょう。

 早期発見が難しく、他のがん種に比べて生存率もよろしくない膵がんだからこそ、こういった「藁(ワラ)にも縋(すが)る」を何度も目にしておられるのかなと推察します。

 チーム医療のメンバーに社会福祉士は入っていましたが、さすがにFP(ファイナンシャルプランナー)は資料に入っていませんでした。いつも精巣腫瘍の患者会さんで書いています通り、FPも当たり前に病院で相談を受けられる仕組みが将来実現されることを願っています。


 そして、大腸がんのことは安定の吉田先生。ユーモアもふんだんに楽しく学べました。
 過去記事(大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受診しました)の通り、私も経験者ですのでハードルの高さ、実感しています。腸をきれいにする2Lの苦行、これも1Lの最新タイプも出てきているそうで、医療は本当に日々進化です。

 映画・ドラマや体験談・漫画でがん治療の苦しさがインパクトに残っている人もおられるのではないでしょうか。10年以上前と今では違います。もっといえば数年前と今でも違うことも多々あります。

 皆さま、検診受けましょうね。