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「金融行政の展開と顧客本位の業務運営」を聴講しました。


 金融庁の遠藤俊英長官の講演「金融行政の展開と顧客本位の業務運営」を聴講してきました。

 190831_金融庁

 2019年8月31日に京都で開催されました日本FP学会の記念講演です。なお、私は学会には参加していません。この講演のみ参加してきました。

 受講者は学会参加者・一般参加者を合わせて200名近くだったのではないでしょうか。
 190831_資料
 全員にカラー両面印刷のこれだけの資料が配布されました。

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・過去の反省(例)
 銀行融資において借り手の事業内容ではなく、担保・保障があるかといった形式を必要以上に重視(するように庁も求めていた) p5
・金融商品や金融サービスは顧客が選べるように「見える化」する必要がある p7

・米国家計資産において株式・投資信託の比率が上がったのは401kなど環境整備によるところが大きい。現在の日本もiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)など米国の1980年代に近い状況のため、これから p10
・最終受益者は家計 p11

・各社の顧客本位の業務運営に関する原則に魂はこもっているのか p15
共通KPI(顧客本位の業務運営を客観的に評価できるようにするための成果指標)は本当に明らかにできているのか p15

運用損益別顧客比率(PDFファイル注意)から信用組合・信用金庫は全体で推奨する投資信託を30くらいに絞っているため良い成績(運用益)を得られる傾向にある。反対に地方銀行や証券会社は単独で自由に選べるため、運用損の傾向がある p22
・ネット証券・独立系投信会社は低コストで適正なリターンを確保できている P23
・都市銀行・地方銀行では月次販売額が四半期末ごとに顕著な伸びがみられ、成績優先のプッシュ型営業が一定程度行われていることがわかる p29

リスク性金融商品販売にかかる顧客意識調査 p31~
 8割が購入後フォロー・アドバイスを受けていない。金融機関は売り切りになってしまっている p42
 高齢者は来てくれて嬉しい・話してくれて嬉しいで逆に満足度が高いと考えられる p48

・今後はファイナンシャルアドバイザー(FA)を重要視 p53
・金融庁の職員は金融リテラシーが比較的高い。100名が出身中高へ出向き出張授業を実施 p70

・地域金融機関は何のために存在しているのか。ここから改めて p92
・行政も対話型へ p93

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 米国・英国・日本の家計資産のグラフはこの仕事をしていると目にする機会が多いです。いつも話題になるのは株式・投資信託の割合で、米国43.3%・英国38.6%・日本16.6%(2018年末)とされ、日本は遅れているという書き方です。

 グラフで気になるのは、米国株式43.3%のうち直接の株式・投資信託保有は29.7%で13.6%は年金・保険での間接保有であること。英国は38.6%のうち直接15.7%で間接22.9%であり、間接のほうが多いこと。そして日本は16.6%のうち直接12.9%で間接3.7%です。

 まとめるとこんな感じです。
    直接 間接
 米国 69% 31%
 英国 41% 59%
 日本 78% 22%

 そして、家計資産のうち年金・保険の割合は米国32.1%・英国55.6%・日本28.6%です。決して保険を強く勧める意図ではありませんが、保険好きの日本人と言われがちとはいえ米国・英国のほうがもっと保険好きです。
 ただし、欧米での保険の活用はかなり投資性の高い貯蓄型が多いと聞いています。日本ではそういった商品は多くないと思いますし、おそらく欧米の保険商品よりもかなり手数料(コスト)が高いのではないかなと感じます。

 iDeCoやNISAの普及はもちろんなのですが、もっと低コストで現実的に運用としてお金を預けられる年金・保険商品が日本も増えないといけないという面もあるのかなと感じます。
 もちろん、iDeCoや(つみたて)NISAのほうが圧倒的に低コストなので、株式・投資信託の保有割合がこのままの構成比率で米国・英国並みに増えるようになれば、そのほうが良いのは間違いありませんし、時間がかかってでもそれを金融庁が狙っているのだとしたら超長期戦を意識せねばと感じました。

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 金融庁長官の話ですから当たり前なのですけれど、金融機関側の立場から(金融機関関係者向け?)の話が中心のようでした。「魂」という表現を使われたのが印象的でした。
 FP学会での基調講演ということで、金融機関や代理店(IFAを含む)でのFP資格保有者だけをターゲットにするのではなく、幅広いFP資格活用者に向けた話も聞いてみたかったです。

 講演後、帰路に向かいましたところ懇親会へ向かう長官一行も歩いておられ、ひと言お話ししようかと一瞬ドキドキしてしまいましたが、他の方と話されながらの移動でしたのでやはり遠慮してしまいました。このあたりがローカルなので普段から慣れていなくてダメですね…。
 京都、しかも事務所から徒歩圏内で希少なお話を聴講することができました。