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”もったいない患者対応”読みました。


 ”もったいない患者対応 ~ほんの一言変えれば診察はラクになる~”(2020年4月25日発行)を読みました。

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 著者は山本 健人(たけひと)医師。ブログ「外科医の視点」、ツイッターはこちら。ツイッターでフォローしていまして、とても信頼性の高い情報を発信くださっています。

 今回は医療者(特に若手医師)向けの本です。ターゲットが狭い分、価格設定も高め(3000円+税)です。
 医師目線を知っておけば患者側の気持ちの理解につながるのではないかと考え、精巣腫瘍患者友の会でアドバイザーを務めている立場として興味を持ち、手に取りました次第です。


 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。

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■はじめに

・同じ現象,同じ景色であっても,事前に与えられた情報が異なればまったく違ったふうに見えるものです p3
・医療とは本来,不確実なものです p3
・これほどまでに重要なコミュニケーション術を,医療者は体系的に学ぶ機会がありません p4


 各Chapter表紙にある2年目研修医の唐廻(からまわり)先生のイラストがかわいいです。にくめないキャラで読みやすい体裁です。

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 読み進めるのあたって前段の確認はとても大事です。今回は「おわりに」がありませんが、「はじめに」のあとに「おわりに」を読み、それから本文に入る流れをお勧めします。本の目的を明確に意識したうえで読むのが大事です。

 なお、「はじめに」の全文をこちらで読むことができます。ご参照ください。


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■Chapter1 わかりやすさのコツ

・どうすればわかりやすく話せる? p10~


 これは医療者に限った話ではありません。誰にとっても大事な話です。

 個人的には「場慣れ」だと思っています。初めて口にする内容をうまく話せるのはごく一部の限られた才能のある人だけです。文章にまとめてみる、試しに声に出してみる。遠回りでもこれしかないと感じる次第です。

 という根性論ではなく、理路整然とポイントを挙げて解説されている大前段のChapterです。


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■Chapter2 言っておけばよかった一言

・患者さんは原因を知りたくて受診する p25
・デメリットをきちんと説明していますか? p46
・最初に関係者全員に説明するほうが、後々の手間が省ける p51~


 経験があります。すべての相談でずっと関係者全員が揃っておく必要はないと思いますけれど、大事なポイントでは揃っている必要があります。また、できるだけ1回目は揃っていてほしいです。すべてを取り仕切っている人が1人で話を聞いてくださるのは問題ないです。
 でも、このあたりって実際にいろいろとお話を伺ってみないとわからないんですよね…比較するのもおこがましいですけれど医師との違いはここかなと感じながら読みました。


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■Chapter3 スマートに聞き出す一言

・”選択をお手伝いする”という意識をもつ p65~
・何を聞いてもあやふやな患者さん、どう聞き出せばいいの? p68~


 私の仕事も”選択をお手伝いする”です。客観的な比較情報を知っていただき、選択していただくための材料を揃え、明らかに一方に有意な条件があるならそれを伝えるということです。

 FP相談の場合、情報が揃っていなければ揃えていただく必要があります。そのために対応にはすごく時間がかかってしまうこともあります。でも、医師はそんなに時間をかけられないでしょうから本当に大変なことだと敬意を表します。


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■Chapter4 言わないほうがいい一言

・後医は名医。「後出しじゃんけん」で前医を批判しないこと p84~
・患者さんは医師以上に”悪い結果”が怖い p87~


 「後医は名医」これは私も本当に気をつける必要があると思っています。でも、やはり医師と比較するのは失礼にあたるとも感じます。FP相談でいえば、私のところへ相談に来られる方々の大部分は何か販売提案を受けておられるわけです。私は販売を相談の目的としていません。その意味では批判というよりも客観的な比較情報だと思っていますが、言葉選びは慎重にといつも思っています。


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■Chapter5 こんなとき、どうしたら?

・わからないことがあるのは当たり前 p107~
・質問の意図をよく考える p118~


 わからないこと、あります。でも複雑で専門性の細分化された医学と違って、FPやお金まわりの制度や仕組みはすべて答えられなくとも誰に聞いたらいいのか、どんなところが窓口なのかは案内可能です。


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■Chapter6 けいゆう先生の現場で役立つつぶやき

・伝わりそうで伝わらない病院の言葉 p134~
・「標準的な治療を妨げない範囲であれば許容する」という寛容な姿勢を見せるべきでしょう p145
・カルテには患者さんの”プチ情報”を p148~


 プチ情報も大事です。というよりもお金まわりの検討・決定にはプチ情報が背景になってくることが多いです。多少損であっても多少遠回りであっても、生き方や大事にしたいことによって許容されるところが多くあると感じる日々です。


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 私は幸いにして大人になってから大きな病気やけがはありません(物心つく前の幼少期には手術や事故を経験していますけれど…)。
 医師と患者は立場が違うだけで根本は同じ人です。人と人のコミュニケーションですからお互いに敬意・配慮が必要ですし、医師側だけでなく患者側こそ自分の体のことなのですから医師との対応方法を適切にしようと思う努力は必要でしょうし、「もったいない」ことにしてしまうのは命に関わることだってあるでしょう。

 この本は若手の医療関係者向けの本とはいえ、患者側が読んでおくことでも良い効果を得られるのは間違いありません。医師に伝えないといけないのはどういった内容なのか、家族はどんな対応が必要なのか、医師が配慮してくれていることをつかむことができればスムーズに物事が進む可能性も高まります。


 医療関係者以外の(私を含む)一般の人は、さまざまな(有象無象の)流行の健康法などの情報を得るよりも医療関係者の方々との向き合い方を知っておくほうがより穏やかに健康を維持できるとさえ感じます。

 また、相談を受ける専門家側の立場におられる方々にとっても配慮したいポイントに気づくことができるでしょう。医療の専門用語を除けば難しい言葉は使われていませんので、親しみを持って読むことのできる本です。

 

 今回の著者である山本医師のこちらの本もお勧めです。
 ・”医者が教える正しい病院のかかり方”読みました。

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。