”自分で年金をつくる最高の方法~確定拠出年金の運用【完全マニュアル】~”読みました。


 ”自分で年金をつくる最高の方法~確定拠出年金の運用【完全マニュアル】~”(2013年3月15日初版第1刷)を読みました。著者は株式会社オフィス・リベルタス代表の大江英樹さん。

 まずはじめに。
 この本は、確定拠出年金【企業型】の解説本です。
 企業型の確定拠出年金の加入者は、2012年3月末現在で約423万人、会社員の10人に1人ということです。

 先日は確定拠出年金【個人型】についての本「金融機関がぜったい教えたくない年利15%でふやす資産運用術」の感想を書きました。
 企業型と個人型は加入者が異なるのですが、特に今回の本は後半に個人型についての記述もありますし、タイトルにある「運用」については、より詳しく書かれています。

 文章も本当にわかりやすく読みやすく書いてあります。とはいえ、用語全般は慣れていないと最初は難しいと思います。それでも表現が柔らかいので理解しやすいと感じました。

 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。
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■自分の会社の年金・退職金を知ろう p22
■確定拠出年金は退職金の前払い p51

 制度の仕組み・背景・周辺知識が丁寧に解説されています。
 例えば、「確定拠出年金は日本版401kではない!」(p46)という部分は私たち専門家にとってはたいせつな情報ですが、加入者(一会社員)の方々にとっては特に必要のない情報といえなくもありません。とはいえ、この背景の解説が制度全体を把握するためにとても有効な内容になっています。

 確定”拠出”年金の理解のために、相対する確定”給付”年金についてもしっかりと書かれています。
 確定拠出は毎月(現在)の掛け金が確定しています。
 確定給付は将来受け取る額が確定しています。将来受け取る額が確保できない場合は企業が不足分を補てんするわけです。この補てんについての考え方(p58)のまとまった文章も秀逸です。たくさんの方々に読んでもらいたいです。

 前半の前半部分を読むだけで、著者の大江さんのファンになりました(笑)


■「DC(確定拠出年金)が従業員個人で運用する制度であることは確かですが、多くの従業員のみなさんは資産の運用などという経験をしたことがほとんどありません。だから法律でも「事業主の責務」として投資教育を実施することが義務化されているわけです」p61
 「もしみなさんがDCに加入しているとすれば、おそらく制度が導入された時に会社のホールか会議室に集まるようにいわれ、説明を受けたはずです。そうです、それが投資教育なんです。「え!あれが投資教育だったの?全然知らなかった。講師がいて何かいってたけど、何をいっているのか全然わからなかった!」」p79

 後半の引用について、勤務先でDCが導入されている方々はまさにうなづかれているのではないでしょうか。
 研修会では、制度を導入した金融機関の担当さんが講師を務められるケースが多いのではないかと思います。立場上の制約も多いので、こういった感想がよく出てくるように感じています。

 個人的には第3者的な立場での講師を試してみてもらいたいです。もちろん私もそういった講師をいくつか務めています(という私の営業です、すみませんm(_ _)m


■第4章 自分で運用する、いったいどうやって? p85~
■第5章 それでも運用が不安な人へ p124~

 「運用についての誤解」、国による公的年金の運用方法、制度上の細かなデメリット、プロとアマの違い(アマの有利な点)まで触れられています。
 
 これらの内容は確定拠出年金(DC)に限ったものではありません。
 第7章 運用商品の常識を疑え(p170~)、第8章 自分の年金資産をメンテナンスしよう(p186~)、この2つの章も合わせて、私を含めた普通の20~40代の世代が投資・運用で資産を形成していくにあたってたいせつで基本的な考え方がまとめられています。

 私たちの運用は今日・明日、いや1年後・3年後に必要なお金を投じているわけではありません。10年・20年・30年後に向けたスタンスなのだという観点をたくさんの人に知ってもらいたいです。 


■「とまあ、原則はここで書いた通りなのですが、個人の資産配分には誰にでも当てはまる正しい答えというものはなかなかありません。(中略)もっともよい方法はファイナンシャルプランナー(FP)に相談することです。それも独立系で特定の金融機関から商品を紹介した場合のコミッションなどをもらっていないFPにちゃんとお金を払って相談することが大切です。(中略)無料でやるということは、どこでどうやって儲けているのかを考えるべきです。」p201
 「ただし、ファイナンシャルプランナーは多くの場合、自分の得意分野があります。もちろんFPと名乗るからにはひと通りの知識はすべての分野にわたって持っているとは思いますが、その中でもとくに得意とする分野、例えば保険であったり、不動産であったり、税金であったりと、様々です。したがって、そのFPが確定拠出年金に詳しいかどうかは事前に人に聞くなり、HPなどで確認しておいたほうがよいかと思います。」p248

 ファイナンシャルプランナー(FP)について触れられている部分を長文ですが抜き出しました。
 内容について感想を言う前に自分自身のwebを確認してみましたが、個別相談において「確定拠出年金(DC)」に関する説明はあまり書いていませんでした…。

 改めて考えてみましたが、DCの相談をしたいという目的で問い合わせをいただく機会はこれまでなかったです。
 きっかけとして多いのは住宅購入(住宅ローン)・生命保険・公的年金、この3つです。そしてヒアリングする中で勤務先にDCがあるのか、なければ個人型DCを使ってもらえる人なのかを必ず確認するなかで、ほとんどの相談でDCに触れている事実は間違いないです。
 だからこそ、、、この抜き出した部分は私も強く訴えたいです。

 なお、「独立系FP」という表現は好きではありません。
 私は「開業FP」です。このあたりは機会があれば書きたいです。

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 第8章では将来受け取るときの具体的な内容が解説されています。
 個人的には、一時金で受け取る際の退職所得控除や、年金で受け取る際の雑所得と公的年金等控除にも触れていただきたかったです。ただし、これらも現時点の制度ですから将来は何とも言えないかと思います。

 最後の第10章では確定拠出年金(DC)のある企業から転職・退職した場合のことにもきちんと触れられています。一部上場の大きな企業にお勤めの方々の場合は該当する人の割合は小さい気がしています(絶対数は多いかもしれません)。最近は中規模企業さんでも導入されてきていますので、このあたりもとてもたいせつです。

 仲良く(?)させていただいている後田亨さんも感想を書いておられ、facebookで紹介されていましたのでコメントしましたところ、感想ブログにコメント希望がありましたので書いておきます。
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 伊藤さんのブログには「字がデカい本でもあります。後田さんは助かったかも・・」と書いておいてくださいw
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 確かにポイント数が大きかったですし、読みやすかったです^^

 後田さんが主宰されている一般社団法人バトンさんでは著者の大江さんが講師の会が3度もあります(こちら)。しかも4/11と5/29は既に満席です。個人的に私も大江さんのお話はとても聞いてみたいです。関西での開催だったら迷わず即申し込んでいたと思います。


 この本は確定拠出年金(DC)の加入者の人すべてにお勧めできる1冊です。
 DC内での金融商品の選択をはじめ、投資や運用は自己責任でお願いします。
 

 長文を読んでいただいてありがとうございました。

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