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市民公開講座「我が国に多い消化管がんの診断・治療について」を受講してきました。


 2月22日(土)午後の件です。

 京都府立医科大学付属病院の図書館ホールで開催されました市民公開講座「我が国に多い消化管がんの診断・治療について」を受講してきました。
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 定員300名の会場がかなり埋まっていました。やはり明らかに高齢の方々の参加が多かったです。簡単ではありますがポイントを抜粋し、所感を書きます。

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■開会の辞
 京都府立医科大学附属病院 泌尿器外科 三木恒治先生

がんプロフェッショナル養成プランは現在第2期。

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■「検診」
 京都大学医学部附属病院 消化器内科 堀松高博先生

・内閣府が公開しているがん対策に関する世論調査の結果を見ると、がん検診のメリットが正しく理解されていないと感じる。
・がんに罹る人は年間おおよそ75~80万人。
・がんに罹る比率
   ~29歳 ~39歳 ~49歳 ~59歳 ~69歳 70歳~
 男性 0.9%  2.3%  7.3%  19.0%  37.2%  55.7%
 女性 1.9%  4.5%  9.2%  15.7%  24.5%  41.3%

・便検査において陽性は約7%。再検査未受診が約40%。
・京都府においては生命(いのち)のがん教育推進プロジェクト事業があり、小中高の児童生徒に伝えることで、将来の検針率アップと保護者に検診を受けてもらうことへつながることもたいせつ。

・若くしてがんに罹ると、仕事との両立が難しい状況になってしまう。
・早期発見がたいせつ。

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■「外科治療」
 京都大学医学部附属病院 消化管外科 坂井義治先生

・がん罹患率のデータは2006年に15府県で調査されたもの(最新は2008年の25府県)、5年生存率については1999~2002年に6府県で調査されたもの(最新は2003~2005年の7府県)。全体像は誰も知らない。
・がん登録の法制化「がん登録推進法」により、今後は正確な情報が整っていく。
 <参考>がん登録の法制化について(PDFファイル注意)

・がんはどの臓器で生まれるかによって「顔つき」が異なる。
 例えば肺がんと、大腸がんから肺に転移したがんは異なる。

・がんがリンパ液に到達すると範囲が広がる。
・特に食道がんは早い段階でリンパ液に到達しやすい傾向にある。
・直腸は他の臓器に比べると血流が少なく、便やおならによって管内圧が高いので治りにくい。

・腹腔鏡術とロボット術の違いは、ロボットには手ぶれ防止機能があったり、カメラも自分で操作できる。腹腔鏡の操作は両手しか使えないが、ロボットだと両足も使える。

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■「内視鏡治療」
 京都府立医科大学附属病院 消化器内科 吉田直久先生

・男性のがん死亡7位の食道がんは内視鏡でも初期は見分けがつきにくいこともある。
・色素(NBI)を使って血管異常を正常なものと見比べる。

・便検査で6~7%が陽性、その30%に何らかの腫瘍があり、その3%が悪性。
・大腸の壁は厚さ3mm。直径2cmまでの大きさなら内視鏡で切除が可能。
・ヒアルロン剤を注射し、安全域を確保したうえで、電気メスではぎとる。
・まれに穴があいたり出血もあるが、術後のフォローも今は手厚くなっている。

・内視鏡検査は5人に1人が痛みを感じると言われている。
・カプセル内視鏡はこれまで小腸のみに使えたが、2014年からは大腸でも使えるように。

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■「薬物療法 大腸がんについて」
 国立京都医療センター 腫瘍内科 安井久晃先生

・がん死亡のデータ(がん統計)は死亡届があるので正確。

・抗がん剤を使う化学療法は3つのパターンがある。
 補助化学療法・術前化学療法・手術困難者
・がんは手術しなければ完治は難しい。再発は治癒しない。
・抗がん剤を使う目的(目標)を明確に。
 延命なのか、元気に動ける時間を長く作るのか。

・治療に際してはパフォーマンスステータス(PS)が重要。
 0から4に区分され、体力を考えると2までが対象となる。
 0 無症状
 2 歩いて病院に通える
 3 通院がままならない
 4 寝たきり

・抗がん剤を使ってがんを小さくし、小さくなった段階で切除。
 この治療方法が増えてきたことががん治療の進歩。
・大腸がんは、1990年代前半は使える薬が1種類しかなかった。
 今は4種あり、スケジュールも整備が進んでいる。
・副作用も抑える治療法が増え、通院での治療が可能に。

・分子標的治療薬の効果を事前に知るKRAS遺伝子検査というものもある。
 <参考>大腸がんと診断された方へ(PDFファイル注意)

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■「薬物療法 食道がんについて」
 京都大学医学部附属病院 がん薬物治療科 武藤学先生

・「がん薬物治療科」という診療科名が患者の印象を悪くするケースが稀にある。

・食道がんは世の中からお酒(アルコール)が無くなれば、80%が無くなると言われている。
・アルコールが無くなることで他の死因が増える可能性もあるが、食道に限ればアルコールは危険因子。

・お酒を飲んで赤くなる人の食道がん発症リスクは、
 毎日 日本酒1合相当で30倍
 毎日 日本酒2合相当で751倍
 毎日 日本酒4合相当で1721倍、と言われている。
・家族の喫煙による受動喫煙での肺がんリスクは2倍と言われており、30倍は相当に高い割合。

・3月6日(水)20時30分~Eテレに出演予定。

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■「放射線療法」
 京都府立医科大学附属病院 放射線科 中村聡明先生

・放射線はmSv(ミリシーベルト)という単位で表す。
 ラドン温泉 0.001
 胸部X線 0.05
 航空機(東京-NY往復) 0.2
 PET-CT 10
 福島原発作業員 180
 放射線治療 2000(2Gy/回)グレイ

・1~2分の照射を25~35回が一般的。
・脳幹の手前、骨盤の中など手術が困難な部位。

・放射線治療はこの15年で激変した。
 1985年にX線が発見され、この15年でコンピュータが発展したことで、制御が幅広くなった。

・肛門がんや前立腺がんにも使われる。
 これまでは4門照射(4方向から照射)で、重なり合う部分を活用。
 ガンマナイフは200方向。

・重粒子線は全国5ヶ所になる。2017年に大阪にも。
・陽子線は全国10ヶ所。京都にも予定がある?

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■閉会の辞
 京都大学医学部附属病院 がん薬物治療科 武藤学先生

・がんプロフェッショナル養成プランは文部科学省の事業。
 人を育てるプラン。

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<所感>

 昨年4月の「医療者が知っておくべきがん治療におけるお金の話」でお世話になりました安井先生と吉田先生も登壇されていて、講座終了後に少しだけお話することができました。
 吉田先生は司会も務めておられましたし、安井先生とは会場を一緒に出たのですが「病院へ戻ります」とおっしゃっていました。頭が下がります。


 今回の6講演では、1番目の検診の話題で若い世代のがんについて少し取り上げておられました。私はよく書くことなのですが、罹患率や5年生存率、さまざまな治療法とその効果については世代別に情報を見てみたいということです。

 がんは年齢を重ねれば罹る可能性が高くなるのは必然です。それを治さなくてもいいとは思いませんが、若い世代のがんこそ優先度の上がる世の中になって欲しいです。私の言う若い世代とは働き盛りである65~60歳未満です。公的年金を受け取り始める前の世代とも言い換えることができます。

 このあたりの熱い想いは、リンクを貼りました「医療者が知っておくべきがん治療におけるお金の話」に書いていますのでぜひたくさんの方々に読んでいただきたいです。


 全体として最もインパクトがあったのは食道がんとアルコールの関係です。印象に残る数値を魅せる手法は、とても大事だと普段の自分自身を考えても感じるところでした。
 登壇されました先生方、ありがとうございました!!

 なお、昨年2013年2月10日の市民公開講座「京都市内のがん医療の専門医によるがん医療の最前線」にも参加しています。何かの参考になりましたら幸いです。

 かなりの長文をお読みいただき、ありがとうございました。

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<余談>

 土曜日の午後のセミナーで、登壇された先生の1人は「寝ている人が少なくて嬉しいです」とおっしゃっていましたが、私の席の近くには拍手で目覚め、合い間の会場が明るい間は起きていても講演が始まると大きなイビキをかいて寝ている高齢者が2人…、明らかに寝るための座り方…。そして、携帯電話の大きな着信音を鳴らしている高齢者も2~3人…。

 参加無料の市民公開講座ですから誰でも参加できます。別に意識は高くなくても気軽に参加してもらえるほうがいいことなんだと思います。3時間の長丁場ですから途中に眠気が来てもおかしくないです。でも、あれはひどい、情けない。

 こうして書いてるだけで直接に伝えていない私も同罪かもしれませんけれど…。
 せっかくの機会です。もったいないなーと感じたことも書かせてもらいました。
  
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 会場近くの廬山寺(ろさんじ)です。
 心穏やかでありたいものです。


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