死亡数とがん死亡数を32年前と比べました。


 先日とある医師がツイッターに書き込んでおられました。
  「中高生に癌の講義をしている医師に注文しました。
  「癌は防ぐことは出来ない、3人に1人は癌で死ぬという事実を言ってくれ」」

 私はこう返しました。
  「3人に1人うち、60歳以上が90.5%、70歳以上が70.8%、80歳以上が40.4%を
   占めていることも一緒にお願いしたいです。」
 
 これを解説します。

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 2012年と1980年における全死亡数とがんによる死亡数をまとめました。
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 ※ 左が女性、右が男性です。
 ※ いずれも画像をクリックすると拡大します。

 女性を見てみます。
 1980年の全死亡数は約33.2万人、2012年は約60.1万人へ約26.9万人増えました。
 がんによる死亡も約6.83万人から約14.58万人へ約7.76万人増えています。
 割合も5人に1人から4人に1人へと上がっています。

 私がいつも比べているのは、60~65歳未満とそれ以上の方々です。
 がんによる死亡の純増減を見てください。
 60歳未満では減っています。増えているのは60歳以上のみです。

 全死亡数で見てみると80歳未満すべてで減っています。
 増えているのは80歳以上のみです。
 
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 次に男性を見てみます。 
 1980年の全死亡数は約39.0万人、2012年は約65.5万人へ約26.5万人増えました。
 がんによる死亡も約9.35万人から約21.51万人へ約12.16万人増えています。
 割合も4人に1人から3人に1人へと上がっています。

 がんによる死亡の純増減を見てください。
 女性と同じく60歳未満では減っています。増えているのは60歳以上のみです。
 全死亡数で見ても60歳未満で減っています。

 余談ですが、子どもの死亡数ってここまで劇的に減っているのですね。
 もちろん出生数も異なるわけですが、医療の進歩にただただ感激です。

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 もっと書き出してみます。

 がんで亡くなった1980年の女性は約6.8万人なのですが、
 68.1%が60歳以上、43.6%が70歳以上、14.2%が80歳以上です。
 これを2012年の約14.6万人で見てみます。
 89.0%が60歳以上、72.9%が70歳以上、47.7%が80歳以上です。

 同じく男性を見てみます。
 がんで亡くなった1980年の男性は約9.4万人なのですが、
 70.9%が60歳以上、43.6%が70歳以上、11.3%が80歳以上です。
 これを2012年の約21.5万人で見てみます。
 91.6%が60歳以上、69.3%が70歳以上、35.5%が80歳以上です。

 ほとんどのがんは高齢・長生きが原因だと私は考えます。ほとんどのがんは老化に起因すると思うのです。
 反対に書けば、2012年においてがんで亡くなっている方々のうち、60歳未満は女性では約11.0%、男性では約8.4%です。これを多いと思われるか少ないと思われるかの判断は人それぞれだと思いますが、人生において2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなるという営業トークのようなフレーズが独り歩きしてしまって、若い世代をいたずらに不安にさせていると感じるのはおかしなことでしょうか。


 先日このblogで罹患数に関してデータをまとめました。
 <参照過去記事>がん罹患者数と罹患率を35年前と比べました。

 死亡数と合わせて確認してみるとよくわかるのですが、がんと闘っている方々の大部分はやはり60歳以上だということです。

 私が確認したいのは、60~65歳未満の若い世代です。30年以上前と比べて罹患者数は増えていて死亡数は減っているという事実。60歳以上の方々の数のインパクトが大きすぎて隠れてしまっているとさえ感じる事実です。
 これは、がんになったという事実と一緒に生活している、就労している、子育てしている方々が増えているということを数字で表しています。

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 65歳以上の方々は、例えがんになってしまっても基本的に入ってくるお金に変化は大きくありません。収入のベースは公的年金だからです。(もちろん、そうではない方々がおられることを無視するつもりはありませんが、ここでは省略させていただきます。)

 65歳未満、特に55歳未満、もっと書けば20~40代においては、がんになってしまうことで収入が変わってくるケースがほとんどです。公的な保障は確かにいくつもあるわけですが、働いて得られる金額と同じになることはなかなかあり得ません。それでいて、治療費、子どもの教育費、住宅ローンの返済の負担があり、そして将来のための貯蓄をしていかねばならないのは非常に難しい事実です。


 このblogでも何度も書いていますが、若い世代への支援こそ充実させていただきたい。これは私自身が30代ということもありますが、ファイナンシャルプランナー(FP)としての日々の活動の中でも本当に強く感じるところです。私はできるだけ若い世代のがん患者さんを支援していきたいと考えます。

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<参照web>
・国立がん研究センターがん対策情報センター
 がん情報サービス「人口動態統計によるがん死亡データ(1958年〜2012年)」
・厚生労働省 人口動態調査
 人口動態統計(確定数)の概況

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。


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