”投資は「きれいごと」で成功する”読みました。


 ”投資は「きれいごと」で成功する -「あたたかい金融」で日本一を取った鎌倉投信の非常識な投資のルール-”(2015年4月16日第1刷)を読みました。著者は鎌倉投信株式会社取締役 資産運用部長の新井和宏さん。

 新井さんとは2013/11/22に2時間たっぷり議論をさせていただき、今年5/29に京都で開催されたセミナーで久しぶりに生をお顔を拝見しました。5/11のNHKプロフェッショナル仕事の流儀に「時代にあらがう信念の金融」として登場されました。

 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■第1章 「きれいごと」で成功した非常識すぎる「8つの投資法則」

・「多くの金融機関は、危機を乗り越えたあとにお金を入れる。でも鎌倉投信さん(の「結い2101」)は、危機を乗り越えるためのお金を入れてくれた」 p28
・この本を執筆している2015年2月の段階で、「結い2101」は日本で最も長く資金流入を続けている投資信託になっています。 p40
・非常識⑧ 3つの「ありえない数字」で想いを支える p54~


 鎌倉投信の受益者(鎌倉投信へ投資している人)と、興味を持っている人を対象として強く意識した文章です。これは1章だけに限らず本書全体に言えることです。ですので、自分自身で株式の売買をやっておられる方々や、やってみようと思っている方々にとっては本のタイトルとは異なり、技術的なヒントは得にくい本でしょうし、そもそもそういった方々は対象になっていない本です。

 詳細はお読みいただきたいのですが、主に中小企業株式へ投資している「結い2101」という投資信託は、投資先1社あたりの金額が限定されてしまうため資産残高300億円程度でソフトクローズし(新規客の購入申込の受付をやめる)、大きくしすぎないということもあり得ると書かれていました。
 これに関しての続報(?)は、ツイッターで交流のあるインデックス投資家ブロガーさん「レバレッジ投資実践日記」6/29記事「鎌倉投信「結い2101」のソフトクローズについて」で書かれていますので、ご興味の深い人はぜひです。


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■第2章 「投資は科学」から「投資はまごころ」へ
 -「リターン」を再定義する
■第3章 「経営効率の悪い小型株」で、リスクはチャンスに変わる
 -「リスク」を再定義する

・2015年2月現在、投資先の1社が潰れたとしても、約1万6000円の基準価額は200円程度しか下がらない仕組みになっています。(略)私は投資先の倒産は真のリスクではない、と考えます。むしろ社会からいい会社がなくなることのほうが、真のリスクなのです。 p94
・赤字、非上場でも投資するのはなぜか p98~
 お金が大企業に集中するということは、中小企業に回りづらくなることを意味します。 p99 


 ファイナンシャルプランナー(FP)3級講座の金融資産運用の前段で伝えています。「株式とは出資金である」と。
 私を含めた一般の生活者にとって事業にお金を出す(出資する)というイメージは持ちにくいかもしれませんが、事業を応援したいと思えるからお金を出すのが出資金ですよね。

 投資や運用というと、増えるかもしれないけれどそれ以上に減るかもしれないというような自分の資産がどうなるかの視点になりがちです。もちろん自分の資産のために投資や運用という選択肢を考えるわけですが、株式とはあくまでも出資金なんです。投資や運用においてその視点も大事だと思っています。


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■第4章 「安く買って高く売る」に必要なのは金融工学ではなく「信頼」
 -「投資」を再定義する

・たとえ半値になっても持ちつづけられるか p116~
 複雑な数式モデルではなく、「信頼」こそが、「安く買う」投資の真髄なのです。

・個人資産をもすべて開示する p126~
 アメリカでは、ファンドマネージャーの資産公開が義務づ付けられています。でも日本では義務づけられていません。だから私の行為は極めて非常識です。 p126


 特にp126~の内容は補足の文章も含めて、新井さんからの問題提起としっかりとしたフォローアップが含まれていて興味深いです。大応援です。


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■第5章 「格付け」よりも大切な「8つの会社の見方」
 -「経済指標」を再定義する
■第6章 企業価値は、過去の成功ではなく「ずるい仕組み」を持っているかどうかで判断する
 -「ビジネス」を再定義する
■第7章 金融機関の役割は、お金に眠る「つなぐ力」で社会を動かすこと
 -「金融」を再定義する

・CSRからCSVへ(CSV:共通価値の創造) p170~
・金融とは”つなげる”ことである p193~


 とても意地悪に書いてしまうことになるかもしれませんが、定期(毎月)積立の顧客層が6割である「結い2101」の受益者の方々のグリップをより強くすることができている内容だと感じます。これらの内容はさまざまなセミナーなどでもお話しされていることだと思いますので、目新しくは無いのかもしれません。でも耳にするだけと、こうして活字に表れているのではその役割も大きく変わります。読んでいて「強いグリップ」というイメージが思い浮かびました。でも、このグリップこそが鎌倉投信さんの大きな特徴だと思います。


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 本を読むことで、自分には合わないというように感じられる人もおられると思います。それもたいせつなことです。どんなことでも同じなのですが、鎌倉投信や新井さんのスタンスの好き嫌い・合う合わないはそれぞれ正解はありません。応援したいと思えるか、そこにお金を出してもよいと思えるか、それは人それぞれで問題ないです。1つの選択肢として、こういった考え方の本を読んでみるというのもおもしろいと思います。

 個人的にはこういったスタンスの金融が少しずつでも増えていってほしいです。今は鎌倉投信さんでしか、できないことなのかもしれません。この本の意図を理解できる投資家(私たち)が増えていくことが先に必要かもしれません。
 もう1つ、新井さんにお話を伺った際に「急に私がいなくなっても安定した運用を続けていける仕組みは構築できている」ということでしたが、新しく投資先を増やしていくということについては、新井さんにしかできないことなのかもしれません。今後はこの点に注目していきたいと思っています。


 以前に鎌倉投信社長の鎌田さんの本の感想も書いています。
 ”外資金融では出会えなかった「日本で一番投資したい会社」”読みました。
 あわせて参考になりましたら幸いです。
 

 金融機関や金融商品の選択をはじめ、投資や運用は自己責任でお願いします。

 

 長文を読んでいただいてありがとうございました。

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