”医療否定本の嘘”読みました。


 ”医療否定本の嘘 ~ミリオンセラー近藤本に騙されないがん治療の真実~”(2015年7月1日 初版第1刷発行)を読みました。著者は日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科医の勝俣範之さん。(ツイッター @Katsumata_Nori

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 勝俣先生の著書の感想については昨年5月にも”「抗がん剤は効かない」の罪”読みました。を書いています。また、昨年8月のイベントではご挨拶もさせていただき、短い時間ではありましたが直接お話させていただく機会があり、とても嬉しかったです。


 いつも通りアウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■序章 近藤誠医師は功績を残したはずなのに
■第1章 「がんもどき理論」の嘘
・「がんもどき」と「本物のがん」の間がすっぽりと抜けている p28~
■第2章 「がん放置療法」の嘘
・すべての医療にはリスクとベネフィットがある p46~
・早期がんを放置してはいけない p52~
・一番の悲劇は「放置」を選んでインチキな治療につかまってしまうこと p78~


 この記事では近藤氏の解説はしません。勝俣先生が「がんもどき理論」ではなく「がんもどき自説」と定義されているところがわかりやすいと思います。

 個人的には「放置療法」ではなく「放置主義」のように感じますし、同じような言葉では例えば世間でよく耳にする「食事療法」も、がんにおいては単に「食事改善」ではないかと思うときがあります。(例えば糖尿病などにおいては食事療法は当然の位置づけです。)
 国語辞典によると「療法」とは「治療のしかた 治療の方法」とありました。がんにおいては、放置はもとより食事による「治療」というのは実際の検証データ(エビデンス)は無いようです。


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■第3章 「抗がん剤は効かない」の嘘
・抗がん剤の目的は3つに分けられる p84~
・がんに効果があっても、生活の質が下がれば意味がない p108~


 前著でも取り上げられていましたが、p85にある「各悪性腫瘍に対するがん薬物療法の有効性」の存在を知ることは本当に大事だと思います。
 区分は次の4つです。
 ・A群 治癒が期待できる
 ・B群 延命が期待できる
 ・C群 症状緩和が期待できる
 ・D群 がん薬物療法の期待が小さい

 そして、勝俣先生のまとめておられる抗がん剤治療の目的3つです。
 ・がんを治す
 ・手術後の再発を予防する
 ・より良い共存をめざす

 私が3年以上関わらせていただいている精巣腫瘍患者友の会の精巣腫瘍はA群です。私は「治すため」の抗がん剤治療をたくさん目にしてきました。もちろんがん種によって効用は異なるようです。でも、抗がん剤=悪ではありません。抗がん剤=医師・医療機関・製薬会社の収益主義との視点も嫌いです。
 残念ながらすべての医療関係者が正しい、善ということでもないのだと思います。それでも、facebookやツイッターなどネットの時代だからこそ、根拠のない情報を鵜呑みにしてしまう方々がたくさんおられるように感じます。そういった方々が増えないこと、減ることを願ってやみません。


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■第4章 「データ解釈」の嘘
■最終章 近藤問題から何を学ぶべきか? ~患者さんの笑顔と希望のために
・コミュニケーション不足が招いた医療不信 p176~


 前著との違いは、この「患者と医師のコミュニケーション不足」を強く書いておられることだと思います。これは医療に関わることだけではなく、何事においてもそうでしょう。自分や家族のカラダのことであれば尚更ですが、患者からすると聞きにくい、医師からすると忙しくて説明し切れない、という状況があるのが多くの現実なのだと思います。
 このコミュニケーション不足が原因で医療否定やニセ医学に走ってしまうのは、結果として患者自身の悲劇につながるものだと感じます。


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 私を含めた一般生活者には前著のほうが読みやすいと思いますので、どちらかといえば前著のほうがオススメです(すみません。

 勝俣先生の最新の情報はツイッターやfacebookでも確認することができます。一般向けの本を書くほうが論文をまとめるよりも難しい、本で採用する情報の取捨選択も悩ましいとも書かれていました。内容が内容だけに、「言い切ること」が難しい(できない)分、言い切り型の医療否定・ニセ医学の聞こえが良いというのも本を読むほどに理解できます。

 残念ながら答えがはっきりしていることのほうが少ないんです。それは人それぞれ症状や状況が違いすぎるからだということもわかります。本来、医療において対立なんてあってはいけない分野だと思うんです。でも、医療不信・医療不安から目新しい医療否定・ニセ医学を受け入れてしまった方々がおられるもの事実です。

 どちらかといえば私も極論は好きなほうです。でも、医療やカラダに関することは極論ではよろしくないです。自分や家族のために、心穏やかに情報を得ていかなければなりません。

 

 <関連コラム・記事>
  ・がんに関する医療制度とお金のQ&A【メルマガ寄稿】
  ・”「ニセ医学」に騙されないために ~危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る~”読みました。


 長文をお読みくださり、ありがとうございました。


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