「年金空白期間」というあおられた言葉から得られる教訓


 記事のご紹介です。

 考えていますか?60歳以降の〝年金空白期間〟のこと

 いつもお世話になっている京都リビング新聞さんの2015年10月10日号の特集です。
 全文はリンク先から読んでいただけます。

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 記事の内容としては、専門用語となりますが厚生年金と共済年金の一元化・高年齢雇用継続給付と在職老齢年金・繰上げ受給のメリットとデメリット、この3点を社会保険労務士さんが解説され、60歳以降のライフプランの考え方についてFP協会の元京都支部長で現在は近畿地区のトップを務めておられる方が意見を出しておられ、いずれも限られた紙面を考えるととても真っ当でわかりやすい内容にまとまっています。

 私が取り上げたいのはやはり見出しと一般の読者の方々の声。

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 まずはタイトル「60歳以降の〝年金空白期間〟」。

 「空白期間」という言葉が厚生労働省や日本年金機構で使われているのは、20歳から60歳までの期間で厚生年金や国民年金の記録があったはずなのに未納として記録が残っていない(=空白)、その意味合いだけ(のはず)です。

 従来60歳から受け取り始める老齢年金が65歳からへ移行され、定年は60歳のまま。この5年間は収入が無い=年金空白期間と言い始めたのはメディアだと思われます。


 具体的には平成6年(1994年)の法律改正で、厚生年金の方々が60歳から受け取り始める年金について国民年金部分の年金(定額部分)が段階的に65歳へ移行していくことが決まりました。移行が始まったのはその7年後である2001年度から。完了は1994年から23年後である2017年度です。2015年度である現在もまだ完了していません。

 さらには平成12年(2000年)の法律改正で、厚生年金の方々が60歳から受け取り始める年金について厚生年金部分の年金(報酬比例部分)が段階的に65歳へ移行していくことが決まりました。
 移行が始まるのはその18年後である2018年度から。完了は2000年から26年後である2025年度末です。1994年から考えると約32年かかります。2015年度である現在から考えても10年先の完了予定です。

 そしてこの間、雇用は変わってきました。スムーズとは言えないですし、確かに60歳以降の収入はそれまでよりも減ってしまうケースも多いですし、少し前から55歳からも「役職定年」などにより早い段階で収入のピークが過ぎてしまうケースも多いかとは思いますが、20年前に比べると60歳以降も働ける状況になりつつあると思います。
 個人的には「年金空白期間」というあおられた言葉はどうしても好きになれません。

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 私の主張はいつも同じです。このblogでも何度も書いていますが、将来受け取る老齢年金の役割は「長生きしてしまったときの保障」です。定年退職後の生活を支えてくれる役割ではありません。
 現在の公的年金の骨格となる仕組みが定まったのが昭和36年。当時の平均寿命は男性65歳、女性70歳で、国民年金の受取開始は65歳から、厚生年金の受け取りは男性60歳、女性55歳からでした。

 男性は厚生年金を平均して5年受け取り、国民年金は平均寿命に達してから受け取り始める仕組みだったんです。
 女性は厚生年金を平均して15年、国民年金を平均して5年受け取る仕組みだったんです。(昭和36年当時に厚生年金を受け取る女性は今よりも相当に少なかったものと思われます)

 
 現在はどうでしょう。受取開始は65歳への移行が完了していません。平均寿命は男性80歳、女性はまもなく87歳です。
 もちろん昔とは比べられない社会構造の変化があるわけですが、公的年金という保障の役割がいつの日からか誤って捉えられているんです。もしくは、あおられて捉えられているんです。きちんと制度を分かっていない方々が記事を書くからこんな表現になってしまうんです。もっと書けば、もしくは制度をわかっていてもあえてこんな見出しをつけるわけです。

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 じゃあ具体的にどうすればいいのかと強く言われれば、”今”それを言われても困るわけです。こうなることはさかのぼれば1994年、最近でも2000年にはわかっていたことなんです。もちろん突き放すようなスタンスは本意ではありませんし何もできないわけではありませんが、あまりにもケースバイケースすぎますのでぜひたくさんの情報を得ていただきながら場合によっては専門家のアドバイスを求めてみていただきたいです。その際の注意点は「金融商品販売に偏らないアドバイス」をする専門家を探してみていただきたいことです。

 今後も受取開始は68歳や70歳に移行されていくことでしょう。移行されないと、私たちの子どもや孫やもっと先の世代は私たちよりももっと少子超高齢化の進んでいる社会ですから対処方法がさらに限られてしまうことになります。


 でも、60歳から65歳への移行という仕組みで、私たちは教訓を得ることができたわけです。わずか数年で移行されることはありません。社会の制度が追いつくのは移行期間中かもしれません。でも、心構えができていれば何らか備えておく必要があることは認識できているわけです。その認識がまず何よりもたいせつだと考える私です。

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 すみません、長くなってしまいましたので読者の方々のコメントへの意見は別の機会があれば書きたいと思います。

 記事の2ページ目にあるFPの内容につきまして、最後の2段落は特に大賛同です。私も同じ意見です。ぜひたくさんの方々に読んでいただきたいです。


<参照web>
 ・公的年金制度の歩みとこれまでの主な制度改正(厚生労働省)
 ・支給開始年齢について(2011年10月 第4回社会保障審議会年金部会)
  ※ PDFファイル注意


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