顔の見える関係づくり / 第53回 日本癌治療学会学術集会に参加


 29(木)~31(土)は第53回 日本癌治療学会学術集会~がんと生きる~に参加しました。

 背景等は30(金)のblogに書いていますのでご参照ください。
 がん患者とその家族を対象としたお金とFP相談の必要性 / 第53回 日本癌治療学会学術集会1日目に参加

 いくつか受講したシンポジウムやセミナーの記録です。
 書き出している内容は私が個人的に印象に残った部分のみです。

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■脳腫瘍

・中枢は人格そのもの。
・脳が原発性の腫瘍だけで約130種ある。発症は3.5人/10万人
・転移性は肺がんが約61%。肺がんの約1/4は脳に転移する。
 肺がんの約14%は発見時に既に転移している。
・脳は部位によって機能が決まっている。
・例えば手足を動かすと、特定の脳の部位が酸素を消費するため血流が約20%増える。
 そうして各種機能に該当する部位をマーキングしていき、傷つけないように取り除く。
・放射線治療が例えば4週間毎日というように続く理由
 正常細胞は照射から回復しやすい。がんと見分けやすくなるため、
 続けるほどに、できるだけがんだけに照射するように調整できる。
 
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■乳がん

・最低でも5分類あり、対処が異なる。
・2010年で年間76000人が罹患。1980年は14500人のため、30年で5倍。
 欧米式の食生活が理由?
・罹患の比率
 28歳以上出産:×2.5
 家族に乳がん経験者:×2.7
 BMIが25以上:×1.9(BMIが27以上は2倍以上)
 初潮13歳以下(16歳以上を1として):×1.6
・罹患のピークは50代。
・切除vs温存 生存率では変わらない。
・再建は現状10年保証。
・術後のホルモン療法と抗がん剤投与で75%が再発しない。
・術前の抗がん剤投与で再発リスクも下がるケースがある。
・ホルモン療法は高脂血症・高コレステロール症のリスクがあり、食事改善も必須。
・適切に運動することで痛みが減ることが2年前の看護師の発表にあった。

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■妊孕性

・0歳の赤ちゃんには卵子細胞が200万個ある。
・化学療法により、卵子が10歳加齢するイメージ。
・がんの専門家は増えているが、生殖医療の専門医は少ない。
・がんの治療開始が遅れてはいけないが、必ず相談してほしい。
・2年後をめどにガイドラインを全国の医療機関に周知する
 <参照web報道>がん患者の卵子や精子 凍結保存指針作りへ

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■“ がん”地域ネット ― 切れ目のないがん医療、緩和ケアの推進のための京都府の試み

・年間150万人が罹患。生涯罹患率は男性が60%、女性が48%。
・5年生存率は他の内科の重い疾患(例えば糖尿病など)と同じくらいになってきた。
・現役世代罹患者の1/3は仕事(会社)に戻る。1/3は退職。
・ライフステージの応じたがん対策が必要で、医療だけではないケアが求められる。
・何よりもたいせつなのは「顔の見える関係づくり」
京都府がん対策推進条例 京都府のがん対策
・2030年には病院で死ねなくなると言われている。在宅がん医療が重要。

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■“がんと生きる”をサポート ― がん地域ネットワークの役割

-がんと診断された時からの緩和ケアの推進
・昭和56年から死因の1位はがん。

-在宅医療支援をシステマティックに計画する~進行がん患者に対する切れ目のない支援~
・自宅に介護ベットがあることへの心の抵抗感

-薬剤師によるがん患者の外来化学療法支援
・外来化学療法は患者の状況を医師だけで把握することになり、副作用・食事などが把握しにくいケースも。(入院の場合は看護師・薬剤師なども)
・医師の診察を効率化するためにも薬剤師外来?や持参薬外来?なども。
・患者側としては治療日誌の記入は自身のために本当にたいせつ。

-がん患者の退院支援 ~食べる・排泄する・眠るをマネージする~
・在宅で本人の食欲が無い場合、家族は食べにくい。
・顔と顔の見える関係づくりのたいせつさ

-在宅癌チーム医療を支える、在宅医・訪問看護師・調剤薬剤師・基幹病院の発展と問題点
・京都では患者の半数が在宅死を希望するも実際には2割。
・外来通院患者がそのまま在宅へ進むケースはうまくいくことが多い。
 反対に、突然の在宅開始はさまざまな準備が整わず問題が出てくることも。
・調剤薬剤師から、金曜夜や土日の医療用麻薬(鎮痛用)の在庫管理が難しいとの意見が多かった。

-とまどうがん患者と家族・友人が自分の力を取り戻す居場所づくりを
・専門病院のそばに、病院でも家でもないくつろげる環境づくりを。
・こういった場に限っては無料での利用が必須のため寄付やボランティアが必須。

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■がん医療ネットワーク・ナビゲーターの現状と展望

・病院内で相談を行う部門は「がん相談支援センター」と表記し、統一していく。
認定がん医療ネットワークナビゲーターは、ボランティア活動の質を保証する資格
・がん診療連携拠点病院で設置が義務づけられている、がん相談支援センターの業務を補完する役割。医療機関以外の場所で相談ニーズを掘り起こす。
・病院内の相談支援員は基本的に病院を離れられない。適切な専門家への相談を病院外からつなぐ役割。
・実地研修では相談支援員と顔の見える関係の構築と活動場所の設定がある。

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<所感>

・もちろん「がん」だけに限ったことではありませんが、たくさんの方々ががん医療に関わっておられます。そして関わっている方々の中にはがん経験者も多くおられます。全体を通して「顔の見える関係づくり」を何度も見聞きしました。私自身も毎月アドバイザーとして参加しています精巣腫瘍患者友の会ピアサポートにおいて、同じ意識を持っています。「専門家ですから何でも相談してください」では、相談は出てきません。いつでもそこにいる、その場に行けばその人がいる、この状況がたいせつであることを学ばせてもらったのは3年以上ピアサポートに関わらせていただいたからこそです。

・医療機関にある相談支援センターの業務には、経済的なこと、社会保険や社会福祉に関する直接的な記述は無いようです。「がん患者の療養上の相談」が書かれているだけです。NPO法人代表の元訪問看護師さんがシンポジウムで発言されていた「(気持ちの面は)無料での利用が必須のため寄付やボランティアが必須」が印象に残りました。相談支援センターで社会福祉士や社会保険労務士などが対応している専門性も患者にとっては医療費以外の負担が生まれているわけではありませんので「無料」の印象が大きいのかもしれません。私の専門は結果として気持ちに影響を与えますが、患者負担を無料にするためには(何度も何度も書いていますが)病院から報酬をもらって非常勤でもその場にいるという状況を作らねばならないのだと思います。病院からすると収益を産み出さない部門ですので、「経済的なこと」についての専門家の配置は義務づけられない限り難しいでしょう。改めてさまざまに頭を整理できるきっかけをいただきました。

 関係者の皆さま、患者・支援者プログラム運営委員の皆さま、本当にありがとうございました。

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 あっという間に2015年も10ヶ月が過ぎさってしまいました。
 あと2ヶ月で2016年になってしまいます。
 紅葉も少しずつ進んできています。諸々がんばらねば、ですよね!


 2(月)終日事務所の予定です。


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