ぶつ切りの知識


 相続に関する件です。
 日本経済新聞2015年12月9日の記事をご紹介します。

 遺産「争族」避けるには 親子で話し合い遺言を
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 人が亡くなると、その人の資産を遺族が分け合うことになります。
 (相続人の定義はここでは省略します)
 
 この記事は「両親には自宅のほかにこれといった財産はない」という事例で始まっています。
 だからこそ分け方には十分な配慮と検討が必要だという流れには大賛同です。


 問題は次です。確かに段落も変わり、見出しも「特例で税負担軽減」とつけられているのですが、「両親には自宅のほかにこれといった財産はない」の続きとして「小規模宅地等の特例」が解説されています。
 
 小規模宅地等の特例でわかりやすい例を1つ挙げます。
 夫が亡くなり妻が資産を引き継ぐとき、自宅の評価額が高く相続税がかかることで仮に万が一自宅を手放す必要がないように「相続税を計算するうえで土地の評価額を8割減らす」ことができるという仕組みです。仮に本来の評価額が2000万円であれば、8割減ると400万円になるという意味合いです。税の観点からこれは非常に大きな仕組みです。


 元に戻ります。「両親には自宅のほかにこれといった財産はない」
 このケースにおいて「小規模宅地等の特例」が適用できるかどうかは多くのケースにおいて関係ないと思います。
 もちろん都心の一等地に大豪邸があって「両親には自宅のほかにこれといった財産はない」のであれば大事な問題です。でも、そんなケースが想定されている記事には思えません。

 私が伝えたいのは、ぶつ切りの知識とでもいうのでしょうか、さまざまな情報がメディアには掲載されます。1つひとつの仕組みに詳しい情報をお持ちでも、他の仕組みとの組み合わせとなると一般には難解な話ですし、そこまで考えが及ばないことが普通です。
 情報収集にと足を運ばれる機会もある各種セミナーでも、限られた時間ですからインパクトの大きな話に終始してしまわざるを得ないケースばかりではないかと感じます。長時間の講座でなければ幅広く伝えることは難しいですし、セミナーによってはいわゆるポジショントークが強すぎることだってありえます。


 どの制度や仕組みが自分自身や家族に適しているのかを判断するには餅は餅屋ではありませんが、専門家への相談が手っ取り早いと思います。もちろん知識ゼロで相談に行ってしまうのは危険かもしれませんし、少しくらい情報を得たうえで相談へ行くほうが理解も早いとは思います。

 私が伝えたいのは、専門家だと判断して相談した相手が専門家ではないケースもありえるということです。
 ですので、私がお勧めしたいのは「複数の専門家に相談する」ということです。2人目の話を聞くことで1人目の話の理解が深まるかもしれませんし、矛盾点に気づくことがあるかもしれません。1人目で疑問に感じたことも、2人目の話を聞くことで問題なかったんだと思えるかもしれません。

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 最後に書いておきます。この論調は私のポジショントークです。
 「複数」の2人目か3人目として、ファイナンシャルプランナー(FP)にも相談してみてもらいたいと考えているからです。
 そして、私への相談が「1人目」であるなら別の専門家に2人目3人目として意見を求めてみてもらいたいです。

 相続に限った話ではありません。「こんなことで…」と思われる必要もありません。
 何かお役に立てることがありましたら幸いです。



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