2017年1月から地震保険の半損の細分区分が見直されます。


 地震保険ご存じでしょうか。基本的に火災保険と一緒に加入します。

 地震による建物の倒壊、地震によって発生した火災被害、津波、噴火、このあたりの補償は火災保険ではなく地震保険によってカバーされています。

 
 財務省のwebサイトに地震保険制度の概要というページがあります。
 ここから一文を抜き出します。

 「地震保険は、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任の一定額以上の巨額な地震損害を政府が再保険することにより成り立っています」

 大事な場所を繰り返します。
 「地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的」
 地震によって被害を受けた家屋を元に戻すことを目的としていません。

 「生活再建費用」と言い替えることもできるかと思います。生活を立て直し、次の段階に進むための資金にしましょうという意味合いだと私は解釈しています。

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 建物に対する現状の地震保険の区分です。3つに分かれています。
160224_01

 これが2017年1月1日から次のように4区分に変わります。
160224_02
 ※ この記事を書いている時点での最新情報を見つけられませんでした。「地震保険制度に関するプロジェクトチーム」フォローアップ会合の議論のとりまとめ 平成27年6月24日に掲載されている3つの案から、15ページにこの内容が「望ましいという結論」と書かれていましたので採用しました。
 ※ 他の2案も小半損と大半損の幅である主要構造部の損害割合20~50%は同じでした。その内訳が異なっていました。


 これまでは20%以上の損害であれば半損となり、地震保険金額の50%が対象となっていました。
 これからは40%以上の損害であれば大半損として地震保険金額の60%が対象となるため心強いものかと思いますが、20%以上40%未満の損害の場合には小半損としてこれまでの地震保険金額の50%ではなく30%へ20%も減額されてしまうということになります。

 より大きな被害がある人には手厚く、そうではない場合にはそれなりにという主旨は理解できなくはありません。また、この変更により地震保険料の値上がりを抑える効果があるとも書かれていましたので、その意味は大きいのだと思います。

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 ここまでの内容であれば、正直に書きましてblogで取り上げることはありませんでした。単なる事実の羅列はあまり好きではないからです。
 この改正内容についてのとあるコラムを目にしました。2015年10月19日付ですので、先ほどリンクを貼りましたとりまとめPDFが公開されてから約4ヶ月後です。気になったのはこの部分です。

 「半損に認定されるか否かで支払われる保険金が10倍違いましたので、半損に近い損害で一部損の認定を受けた場合に多少、不公平感もありました。半損以下の損害区分が細分化されることでこれが緩和されます。」

 まずは1文目を見ます。
 確かにこれまでは一部損5%か半損50%でしたので、その差は10倍違いました。損害が20%の前後では確かに不公平感はあるように思います。
 とはいえ、今回の改正では被害の大きくない半損の保険金額が下がるわけです。半損に近い一部損の保険金額が上がるわけではありません。契約者(加入者)側からすると、2文目にある「緩和」という表現が適しているとはとても思えません。支払いの発生する保険会社側からすると「緩和」が適切かもしれません。


 また、2文目は異なるように感じます。
 「半損以下が細分化される」とありますが、細分化されるのは半損だけですので「半損が細分化される」が正しいです。

 例えば、一部損5~15%・小半損15~40%というような変更であれば緩和と言えそうですが、実際には半損の地震保険金額が50%から30%に引き下がってきたわけですから、結果として一部損の地震保険金額5%の10倍から6倍になったとはいえ一部損そのものには変更がないわけです。ですのでこれは「緩和」ではなく、単に「細分区分の見直し」であるかと思います。

 2文目の直してみます。
 「半損の細分区分が見直されます」
 どうでしょう。まとめの文章として適さないものになってしまいました。

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 粗探しをしたいわけではありません。世の中にあふれている情報については、原文を当たるたいせつさも知っていただく必要があると思っています。

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。


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