「在宅医療は地域を守れるか ~現場からの報告~」を受講しました。


 27(土)午後、京都府立医科大学図書館ホールでのシンポジウム「在宅医療は地域を守れるか ~現場からの報告~」を受講してきました。

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 主催が上京東部医師会西陣医師会ということで私の地元ですので、非常に興味深く参加させていただきました。

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■上京区役所福祉部 支援保健課
・現在は第6期京都市民長寿すこやかプラン
・上京区では4人に1人が65歳以上
・人口は減っているが世帯は増えている
・家族だけでの支えは限界

■上京東部医師会長
・75歳以上がさらに増えていく。
 国は病院に入院用のベッドを増やさない方針。在宅も増えていく。

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<医療機関からの報告>

■在宅医療【開業医】
・昔は急病に対応する往診、今は定期的にずっと診る訪問診療。
・かかりつけ医として、福祉相談室からの紹介、サ高住からの依頼
 この3つのきっかけ。
・看取りもその時に近くにいることができれば良いが、
 午前診・夜診も考えると、まわれるのは限られる。

■在宅療養【在宅医療専門医】
・今で8年、当初4年は1人で大変だった。
 現在は非常勤も含めて6名体制。平成26年は56名を看取った。
・「治す」ではなく、みんなで支える医療が必要。
 みんなで診る、職種連携が重要。
・身寄りのない88歳のケースでは司法書士も紹介し、財産管理の生前契約も。
・84歳のケースでは子どもや孫も含め、みんなで記念撮影も。その30分後に看取り。
・診療報酬の仕組みは2年ごとに変わるが、質の良いサービスを提供できるようにしたい。

■在宅医療の位置づけ【勤務医】
・総合病院だからこそワンストップで対応できることもある。
・現在のマンパワーを考えると、往診で考えればこれ以上の受け入れは厳しい。
・経営的には増やしたい。

■地域医療連携室【看護師】
・急性期病院は21日を超えると診療報酬が激減するため、
 その後は回復期リハビリテーション病棟(京都市内10ヶ所)の役割
・50床あり、毎月20名が退院していくが、入院に80名の希望があったことも。
・12月~2月は脳卒中が多い。高齢者の転倒による骨折も多い。
・退院後に自宅へ戻ってからリハビリをやめてしまうと急速に衰えてしまう。
・退院後を考え、かかりつけ医にもカンファレンス(複数人数で集まって
 症例(患者)に関して検討すること)に来てもらえるように働きかけている。

■口腔サポート【開業歯科医】
・歯の動揺が当たり前の高齢者がいる。
 普段から噛まずに飲み込んでいると、入れ歯にしても噛めない。
・口腔機能の低下
 誤嚥性肺炎・餅などによる窒息・体力/筋力の低下による虚弱循環
・2年後に食べられるようになったケースもある。
 低栄養によって体重減少・筋力減少は悪影響しかない。
・平成23年に死因順位の3位に肺炎が入った。
 がん・心筋梗塞・脳卒中の呼称は3大疾病から重大疾病に。
・最期のワンスプーン。クチにどれだけ力が残っているか。

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<在宅医療を支える事業所から>

■地域包括支援センター
・上京区には地域包括支援センターは4つある。
地域包括ケアシステム(厚生労働省)
・認知症患者は全国460万人。同じ人数の予備軍がいると言われている。
・地域ケア会議では、地域の声・支援事業所の声・医療者の声、
 消防にも出席してもらっている(ゴミ屋敷等の観点から)
・高齢者でも元気な人は多い。元気な高齢者が活躍できる場を。

■居宅支援事業所【ケアマネージャー】
・高齢者からすると、関わる人(専門家)が多すぎて、誰に言って良いかわからないと
 家族から言われることもある。
・ケアマネージャーもさまざまな窓口になれるように。

■訪問リハビリ
・急性期と回復期は医療保険、生活期は介護保険
・心と身体の機能改善、道具や住宅の改良・工夫によるリハビリ。

■薬剤師
・複数の医療機関にかかって、それぞれで薬が処方され管理できていないケースも。
・診察を受けても服薬できていなければ、維持・改善できない。
・薬剤師は医師から指示があって訪問できる。
・介護サービスの有無で流れは大きく異なる。
・かかりつけの薬局も作ってほしい。

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■西陣医師会長
・2025年に向けて厚生労働省が出している地域医療構想、
 これの主目的は医療費削減。
・急性期以外の入院を極力減らす方針のため、
 上京区だけで300~400人が病院を出てくると見込まれている。

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 個人的な感想は3点です。

 まず「地域包括ケアシステム」の存在を知れたこと。「おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定」とありました。
 比較的自由に動けるのは高齢者だと思います。高齢者が高齢者を支える地域力、本当に大事だと思います。

 次に、今の手厚いサポートを今後も維持していくのは難しいということを感じました。
 在宅で療養している高齢者に対して、かかりつけの主治医・訪問看護師・総合病院の医師・看護師・歯科医師・薬剤師・栄養士・メディカルソーシャルワーカー(MSW)・地域包括支援センター・ケアマネージャー・介護系のスタッフ・リハビリ・配食サービスなどなど、関わる人が本当に多いです。
 もちろん常に全員が関わっているわけではありませんが、これから団塊の世代が65歳になる2025年に向けてこれだけの手厚さを維持できるだけのマンパワーと費用は手当できないとしか考えられません。
 前日に受講した「人口減少社会で消費者が知っておきたいこと」ともつながってきますが、結論的にはどこにお金をかけるのかの問題としか思えません。ソフトランディング(軟着陸)が必要なのはわかっていますが、関わる人が多ければ多いほどにその経路や着陸ポイントの違いによって協力を難しくさせることにもつながっていくのだろうと感じました。個人的にはこれだけのマンパワーと費用を高齢者ではなく子どもたちに使うことのできる社会を望みたいです。

 最後に。個人的に安心しました。現状や将来において最適・最良とはいえないかもしれませんが、問題意識を持ってこれだけの地元の専門家の方々が協力し合ってくださっていることにです。


 以前に同じ会場で何度も参加したがんに関係するシンポジウムに比べると、5分の1程度の参加者数だったと思います。でも、私は参加できて良かったです。

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。


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