”老後貧乏にならないためのお金の法則”読みました。


 ”老後貧乏にならないためのお金の法則”(2015年3月23日第1刷)を読みました。

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 著者は日本経済新聞社 紙面解説委員兼編集委員の田村正之さん。日本経済新聞水曜日朝刊のMoney&Investmentの署名記事で何度も目にすることのできる記者さんです。web版は現在マネー研究所というページでまとめられています。

 田村さんとは直接の面識はありませんが、共通の知り合いが多い印象です。私の拠点が首都圏であればおそらく接点は何度もあるように思います。そういう専門家の人って多いです。このあたりが首都圏と地方の差かなと感じる次第です。

 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■まえがき 老後貧乏に陥らないために
■第1章 迫る老後貧乏---増大する4つのリスク
■おわりに 「早めの危機感」が老後貧乏を救う

・「さらなる長寿化」×「年金減額」×「インフレ」×「金利抑圧」=老後貧乏 p4
・30歳で気づけば改善できる資金計画も、退職直前では困難なことがあるからです。 p315


 まずはじめに。個人的に「老後貧乏」「老後破綻」などの表現は好きではありません。これらの言葉を使っておられる専門家の方々も二分されるような気がしています。本当に不安をあおる目的で使っている人、そして立場上、タイトルや見出しに使わざるを得ない人です。この本がどちらかは私にはわかりませんでした。

 この本は大学4年生で専門知識のない学生さんと、その3年先輩の専門知識のあるFP資格保有者による対話形式で、読み進めやすいように冗談やつっこみも入っていて好き嫌いがあるようにも感じます。個人的に感じたのは大学4年生の3年先輩ってことは、おおよそ25歳くらいですよね。FP資格保有者とはいえ20代中盤でこれだけの知識と情報を持っている人がいたら、それはもうすごいです、という感想です。

 日々相談を受けている立場の私としてお伝えしたいのは、仮に退職直前でも人生はまだまだ続きます、ということです。定年退職=働けなくなるというわけではありません。本にあるのは1つの考え方です。世の中の情報を自分に当てはめてみるとどうなるのかという視点を必ず持っていただきたいです。


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■第2章 実は難しくない堅実な資産運用
■第3章 間違いだらけの外貨投資

・GPIFの新中期計画で考える「お得」な資産配分は? p52~
・「プロが運用するから好成績」は間違い p88~
・金融機関のトーク「高金利通貨はお得ですよ」は間違い p112~

 
 図表およびデータがふんだんに使われています。これらの図表をおおよそ理解できるまで読み込むことができる人は限られた人かもしれません。すべてを理解できるようになる必要は無いです。
 本文での主張には背景があって、それはいい加減な思い込みによる背景ではなく、きちんと過去のデータが立証している背景であるということなんです。その背景を理解することができれば、主張の信頼性が高まります。


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■第4章 医療と保険の知られざるツボ
■第5章 持ち家がいいか、賃貸が正解か 老後の住まいをどうする?


 生命保険・医療保険のところは感想を省略します。

 住宅の件、さまざまなパターンの試算はこういった類の本の場合にいつも不思議に思うところです。資産運用も住宅ローン金利も、もちろん将来はわかりません。消費者側にとって有利な条件だけでなく、不利な条件も書かれているのはフェアで良いと思います。
 それでも、やはり資産運用はうまくいく条件のほうを多く解説し、住宅ローン金利はうまくいかない条件のほうを多く解説するという傾向は…。株式のデータは過去20~40年を出しているのに、住宅ローン金利は10年分というのも気になるところです。すみません、この本だけを否定しているつもりはありませんので、そのように感じ取られた場合には申し訳ありません。

 この本で特に気になったのは、変動金利を選んだ場合の最悪のケースの条件として「借入3年目から半年に0.25%ずつ12回上昇し、3.775%で一定」というもの(p215)があります。これは借入から9年後です。もちろん上がるかもしれませんし、情報を知っておくことは大事だと思います。とはいえ、なぜその後の26年間もの間「一定」なのかもよくわかりません。
 というわけで、住宅のことだけですごい文章量になってしまいそうですので、このあたりにしておきたいと思いますが、個人的にp222からの不動産の税金に関わるところは、こういった本で紹介されていることが多くないと思いますので素晴しいことだと感じます。
 このあたりも詳しくは自分で把握できなくとも、何となく関わるかもしれないと思えることが大事です。思えることさえできれば、税務署や専門家に問い合わせることができます。問い合わせることができれば、その有利な制度を使えるかもしれません。知らなければ使えないわけですから大きな違いです。


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■第6章 年金は大丈夫?
■第7章 相続と贈与を賢く考える 老後資金の最後の逆転策

・「隠れた優遇税制」 個人型確定拠出年金 p236~


 後半が公的年金、前半がその上乗せである確定拠出年金の内容です。公的年金については、p32~コラム「GPIFに見る「脱デフレ型新資産配分」の期待と不安」も振り返って読んでいただきたいです。

 相続についてはとてもたいせつな内容なのですが、資産運用・外貨・年金などを掘り下げて解説してあることに比べるとページ数が少ないのがもったいないです。その中で、税計算・小規模宅地・贈与などにも触れてあって、消化不良の感もあります。
 とはいえこの本でたいせつなのは、資産運用・外貨・年金などを知りたいと思った人たちに相続のことも考えるきっかけを与えているという点です。


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 この本は対話形式とはいえ、ある程度の知識がないと読み進めるのが難解だと思います。取り上げる項目や流れに気を遣っておられる構成であることがわかるからこそ、幅広いお金のことを1冊で伝えることの難しさを改めて感じることができました。

 さまざまな制度や背景を「まず知る」という意味においては、まとまっていてとても素晴しい本だと思います。お勧めです。

 
 
 長文をお読みくださり、ありがとうございました。


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