誰が加害者なのか


 某全国紙朝刊に掲載されていた読者の声です。

160531_朝刊
 
 おそらくこの意見を持ってしまっている人の割合って多いのだと思います。


 確かに2016年1月から3月の3ヶ月を切り取れば、”義父母が数千万円を泡のごとく失った”と同じ株式投資などの運用の結果、5兆円を上回るマイナスが生まれているのだと思います。(正しくはまだ発表されていません)

 でも、株式などで運用をしてきたからこそ平成13年(2001年)度からの累計で50兆円以上プラスの収益を得ることができています。この収益額はリーマンショック時の大きなマイナスも含めての額です。


 そして、現状でおおよそ140兆円という巨額な資産を運用した結果のマイナス5兆円であれば率にして約3.6%です。
 根拠はこちらです → 最新の運用状況ハイライト(年金積立金管理運用独立行政法人)

 大事な説明ですので、そのまま引用します。
 「年金積立金は長期的な運用を行うものであり、その運用状況も長期的に判断することが必要ですが、国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から、作成・公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか、四半期ごとに運用状況の公表を行うものです」

-----

 公的年金の資産管理は3ヶ月や半年や1年という短期で終了するものではありません。
 10年・30年・50年・100年、それ以上続けていく(続けていってもらいたい)存在です。

 今回の四半期で言えば、2016年1月1日現在の資産残高と2016年3月31日の資産残高をピンポイントで比べて増えた減ったと騒いでいるにすぎません。

 1年単位で考えても年度ごとの発表ですから、2015年4月1日現在の資産残高と2016年3月31日の資産残高をピンポイントで比べて増えた減ったと騒いでいるにすぎません。


 数字を管理している以上どこかで区切りは必要ですし、透明性の観点ではできるだけ多くの情報開示があってしかるべきです。
 それでもその数字に一喜一憂し、長期的な視点を持たずに騒ぎ立てるのは賛同できません。

-----

 念のために書いておきます。私はこの投稿者さんを批判しているのではありません。
 言葉を選ばねばなりませんが、この投稿者さんも1人の被害者です。

 では誰がいわゆる加害者なのか。
 それは不安をあおる報道に偏ってしまっている新聞・雑誌・テレビなどのメディアであり、公的な仕組みを学ぶ機会のない社会全体です。


 ”数千万円を泡のごとく失った株式投資”を義父母がどのようにとらえておられたのかもたいせつなポイントです。
 わからないまま・勧められるがままに購入したのか、一獲千金を夢見て多額のお金を投じたのか。
 もしくは、長期的な視点で1点集中型ではない銘柄選定した結果なのか、長期的な視点で購入したのに暴落時に投げ売ってしまったりしていないのか。


 私も30歳になる前までは今のような知識や情報は持ち合わせていませんでしたし、今のような立場でなかったらこの投稿者さんと同じように思っていたかもしれません。

 わからないもの、わからないことに不安を覚えるのは人として当然です。
 新聞・雑誌・テレビなどで騒ぎ立てられる表面的な情報だけで、このように実名で意見を投じてしまわれるのも、そしてこの投稿を普通に掲載してしまうのも新聞・雑誌・テレビの悪害だと感じざるを得ません。


 疑問に感じたこと、不安に感じたことがあったら、ぜひ一度その情報の発信源を調べてみていただきたいです。公的年金で言えば年金積立金管理運用独立行政法人です。
 参照リンク : 年金積立金の意義(年金積立金管理運用独立行政法人)

 専門家でもないのにそんな情報を読み解けないと嘆かないでください。新聞・雑誌・テレビで情報を得る力をお持ちの場合、もちろんすべてはわからずともおおよその意味合いはつかめると思います。
 そのおおよそをつかめるだけでも、疑問や不安は薄らぐように感じる次第です。 

-----
 
 いつも書いてる繰り返しです。

 私自身、今の年金制度が100%望ましい形であるとか運用方針に100%賛同しているとかではありませんし、現政権を熱心に支持しているとかいわゆる公務員の方々の肩を持つとかそんなつもりはありません。 


 このblogでは「ねんきん」というカテゴリを作っています。

 私は同じ主張を繰り返してしまっていると思いますので、「これ読んだことある」「前にも見た」と思われる内容も多いかとは思いますが、たいせつなことを書いていますので、お時間あるときにぜひいくつか読んでみていただきたいです。



コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)