”一流患者と三流患者”読みました。


 ”一流患者と三流患者 ~医者から最高の医療を引き出す心得~”(2016年4月30日第1刷)を読みました。

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 著者はテキサス大学MDアンダーソンがんセンター教授で腫瘍内科医の上野直人先生。
 ツイッターfacebookでも(医療関係に関わらず)積極的に情報発信されていますので、参考になりましたら幸いです。

 腫瘍内科医とはがん治療(抗がん剤)が専門であり、上野先生ご自身もがんを経験されています。
 前著「最高の医療を受けるための患者学」の感想も書かせていただいていまして、感想を書くきっかけとなった2010年の出会いなども記事に書いていますので、ぜひそちらもお読みいただきたいです。


 先に念のために書いておきます。当然ながら上野先生が日々患者のことを一流~三流を区分けしながら診ておられるわけではありません。本の見出しの都合上、そしてわかりやすさを追求すればこういった表現を使わざるを得なかったと察する次第です。

 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに
■序章 がんの専門医ががんになってわかった、患者にとって本当に大切なこと

・日本の医療レベルは、間違いなく世界でもトップクラスです。唯一といってもいい大きな問題は……、そうです、患者さんの「差」です。患者さんの姿勢が全然違うのです。 p8
・最初は誰もが、自分の病気を受け入れられない p23~


 たまたまご自身もがんを経験されてしまった上野先生ですが、がんを罹患された2008年よりも前の2006年に前著を書かれています。言葉を選ばねばなりませんが、がんになられたから書かれた本ではありません。前著での主張も本筋は同じです。だからこその説得力を感じます。


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■1章 アメリカから見える、ここが変だよ日本の医療
■2章 一流患者のすすめ - ここが変だよ日本の患者

・「患者格差」はどこから生まれてくるのか? p34~
・日本の患者満足度が低い理由 p45~
・(一流患者とは)「医者まかせにせず、自分自身から医者にコミットし、最適かつ最良の医療を医者や病院から引き出せる患者さん」 p59


 患者の例がいくつか出てきます。私が毎月1回アドバイザーを務めることで接している精巣腫瘍患者(および患者会)の方々は入院が長期化する分、担当医や看護師の方々とコミュニケーションの取れているケースが多いように思います。
 そういったケースが稀であることは理解しているつもりですし、医師とコミュニケーションを取る機会が多くないケースの方が多数を占めるのだと思います。だからこそ、その多くない機会を活かすための具体的なことがこの本には書かれています。


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■3章 一流患者になるための「心の整理術」
■4章 一流患者になるための「情報整理術」

・医者の言うことを鵜呑みにしない - 「何か他に考えられる病気はありますか?」 p94~
・治る可能性があるのかを知る。治らなくても付き合い方がある。 p98~
・「治療した先には何があるのか」を考える p131~


 私は把握しているつもりですが、がん=「死」ではありません。
 がんが治らない=即「死」でもありません。

 がんに限らず担当医から聞く情報だけでなく、自分自身で勉強し自分自身の病気のことを知ることができれば、治療とは治る(治す)ことに限られているのではないと落ち着いて受け入れられると思います。
 

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■5章 一流患者になるための「治療法」
■6章 一流患者になるための「試練」
■おわりに - 病に克つということ

・自分のカルテをつくってみる p164~
・ペイシェント・エンパワーメント - 患者力 p195~


 病歴や投薬歴をまとめたマイカルテ、なるほどと思いました。この具体的な項目例は前著にはありませんでした。
 おかげさまで私はこれまで大病の経験はありませんが、今後機会があれば必ず作ってみようと思います。


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 病気とは必ずしも死につながる病気ばかりでもありません。いわゆるQOL(生活の質)という言葉も当たり前に使われる時代ではありますが、医療技術の進歩した今さまざまな治療方法があり、さまざまな情報がネットでも得られます。
 有象無象のニセ医学・ニセ科学などもってのほかですが、ワラにもすがる思いというのも人それぞれですし、単に否定されるべきものでもないように感じるときもまれにあります。

 たいせつなのは標準治療をベースに落ち着いて担当医とコミュニケーションを取ること。そしてコミュニケーションを取るための具体的な心構えと手法がこの本にはまとめられています。

 自分自身のためだけでなく、まわりのたいせつな人が大きな病気になってしまったら、ぜひこの本を勧めてあげていただきたいです。
 以前に上野先生の前著の感想記事を読んでくださって、知り合いに勧めて喜んでもらえたと言ってくださった相談者さんもありました。月並みですが、本当にお勧めです。

 
 
 長文をお読みくださり、ありがとうございました。



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