公正な第三者という立場を忘れない ~成年後見制度ってどんな制度?~2日目を受講してきました。


 京都市成年後見支援センター(京都市長寿すこやかセンター)主催の平成28年度第1回「成年後見セミナー ~成年後見制度ってどんな制度?~」の2日目を受講してきました。

 1日目の記録はこちらです。
 後見人に適した人材になり得る ~成年後見制度ってどんな制度?~受講してきました。

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 今回は2講座合計4時間でした。

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■後見業務(身上監護)について知ろう
 京都社会福祉士会 ぱあとなあ京都 社会福祉士 中野氏

・身上監護と財産管理は表裏一体
・資産の多い人の場合、身上監護は社会福祉士、財産管理は弁護士というパターンが多い。
・本人に家族があれば家族が後見人になるケースがほとんど。
 独居だったり、家族から虐待されているなど特別な理由があれば専門職後見人。
・接触(面会)頻度の基本は月1回

・身上監護 被後見人の生活や健康、療養棟の手続きに関する職務。
  住居の確保・生活環境の整備・施設の入退所の契約・治療や入院の手続きなど
  医療同意見はなく、あくまでも手配
・財産管理 被後見人の財産と収支の状況を正確に把握して、計画的かつ適正にその管理を行う職務。
  公的年金の受領・社会保険料や税金の支払・預金口座や保険証書の管理・保険金の請求・遺産分割協議など
  高額品の購入など、被後見人の行った財産上の行為を取り消すこと(取消権の行使)も含まれる。

・身上監護の目的
  客観的な視点から見た本人の生活の質の維持・向上
  本人の意向(推定的意思)を第一に。
・身の回りのことを少し手伝うことはあっても、現実の介護行為は職務範囲に含まれない(過去には求められたこともあった)

・取消権
  読んでいない(ひらがなしか読めない)のに複数の新聞を取っている
  好んで飲まないのに牛乳を取っている、または量が多すぎる
  アルコールやタバコなど嗜好品は個々の判断
   例えばタバコなら安全に吸えているのかなど。

・本人の病気治療について、病院の方針によって後見人と一緒に考えてくれる(カンファレンスに入れてくれる)場合と結果のみ聞かされる場合がある。

・身元保証・身元引受
  二重線で消して、緊急連絡先・法定代理人と書いている。
・金銭の立て替え=本人が後見人に借金していることと同義。これは利益相反。

・居住用不動産の処分は、他の物よりも本人の精神的負担が大きいため、本人の意思に沿っているのかなど慎重に判断する必要があり、事前に家庭裁判所への許可が必要。

・後見人就任後1年程度は特に郵便物の管理が重要。
  借金が見つかって自己破産の手続きや取消権の行使が必要なケースも。


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■後見業務(財産管理)について知ろう
 京都弁護士会 弁護士 松田氏

・本人が相続人であったり家族から虐待を受けたていたりする場合に専門職後見人として弁護士が就任するケースがほとんど。

・管理財産を引き継ぎ、調査のうえ、金融機関・関係官署等へ後見開始を届け出る。
・財産目録を作成し、後見事務の計画を立てる。
 作成が終了するまで、滞納家賃の支払いや緊急を要する家の修理等、居住にあたって支障をきたすような「急迫の必要がある行為」以外を行うことができない。

・収支報告書を作成し、今後の見通しを立てるために収支予定表を作成。
・億単位の財産がある場合など、特別な事情があるときは後見監督人が選任されている

・身上配慮義務
・善管注意義務
 例えば、必要な社会保険の手続きを怠る等して損害や損失を与えた場合は損害賠償責任を負う。

・財産管理における注意点
  本人の意思を尊重
  本人がよりよく生きるためにはどのように財産を使っていけばよいかを思案
  公正な第三者という立場を忘れない
  家庭裁判所・相談窓口・関係専門職等との連携を図る

・代理権
  後見人の行為は本人の行為として扱われる。
  本人の財産は本人のものであって決して後見人のものではない
  専門職後見人よりも親族後見人の場合に注意が必要
  家族であっても家庭裁判所から選任され公的性格を有する
  後見開始前から孫の教育費は出してあげると言っていても、その意思が公的に残されていなければ、例え子が後見人であっても孫の教育費を本人の財産から負担することはできない。

・財産管理
  重要な動産の保管・預貯金の管理・現金の管理・必要な費用の支払・金融証券の管理・不動産の管理・税金に関する職務・裁判所への報告


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【所感】

 現在進行形で実務を対応されている専門職のお二人だからこそ聞ける内容だったと思います。理解が深まりました。

 ファイナンシャルプランナー(FP)が弁護士・司法書士・社会福祉士の方々のような立場で家庭裁判所から専門職後見人として選任される日が訪れることはないでしょう。
 これから少しずつ広がりが出てくると思われる任意後見については、金融商品契約だけの関わりではないFPの場合、指名されるケースも少なからず出てくるかもしれません。
 ただ、その就任にあたってはこれまでの専門職後見人の方々が乗り越えてこられた障壁に1から立ち向かっていては本人のためになりませんので連携は必須だと感じます。

 1番最後の「財産管理」の具体的なところはきちんと書こうかと思ったのですが、FP的に(弁護士さんの発表内容ではなく制度として)引っかかるところがあり、あえて文章にしませんでした。
 直接的ではありませんが、間接的に関わっている後見の件がありまして、そちらで確認・チャレンジしてみたうえで改めてまとめられることも出てくるかなと感じています。

 いわゆる身寄りのない(相続人のいない)方々にクローズアップされているかもしれませんが、家族がいても同じです。意思を残しておくという意味合いにおいての大前提は任意後見契約の前に遺言であり、法的根拠がないとはいえエンディングノートかもしれません。

 <過去参照記事>エンディングノート/ラスト・プランニングノート読みました。



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