2015年のがん死亡数と罹患数に思うこと。


 6月末の報道です。

 がん新規患者86・5万人で過去最多 平成24年推計値、男性は胃がん、女性は乳がんトップ
 他にはNHKでも「平成24年のがん患者数 86万5000人と推計」という見出しでした。(既にリンクは切れていました)

 見出しと違って大事なのは「年齢の影響を調整すると人口10万人当たり365・6人が罹患(りかん)する計算で、肝がんや胃がんが減少したことに伴い前年より減った」であり、「高齢化の影響を除いて計算すると、発症率は前の年より0.2ポイント下がりました」これらの部分です。


 これだけの「少子”超”高齢化社会」ですので、がんの罹患数や死亡数は増えて当然です。
 ここで個人的に知っておいてもらいたいと思うことは、若い世代と高齢の世代では数のボリュームが違いすぎるということです。

 印象的なグラフをいくつかご紹介します。
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 2015年の年齢調整されたがん死亡率です。

 160714_01
 がんの統計’15 p40より

 左は全年齢、右は75歳未満です。
 全年齢は1990年代後半から、75歳未満は1960年代から減少傾向にあります。

 繰り返します。数が増えているのは間違いありませんが、直近で率は増えていません。

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 2015年の年齢調整されたがん罹患率です。

 160714_02
 がんの統計’15 p47より

 左は全年齢、右は75歳未満です。
 全年齢・75歳未満ともに増加傾向です。

 これは診断技術および精度の進歩・向上が理由だとされています。
 技術の進歩は医療分野においてもめざましいものであるのは間違いありません。

 がんは見つかりやすくなり、生存が長くなっているということです。

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 念のためにこちらのグラフもご紹介しておきます。

 1980年と2011年の年代別のがん罹患率です。

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 がんの統計’15 p49より

 男性は55歳あたりからでしょうか。急激に罹患率が上がっていきます。
 女性は40歳ごろから緩やかに上昇しています。
 (80歳以降のグラフが逆の動きをしているのは、80歳以降でも積極的にがんを見つける時代とそうでない時代ではないかと感じます。ちなみに1980年の平均寿命は男性73.35歳・女性78.76歳、2011年の平均寿命は男性79.44歳(+6.09)・女性85.9歳(+7.14)です)


 若い世代を見てみたいと思います。
 診断技術の向上にも関わらず男性は50歳ごろまで罹患率は1980年よりも2011年のほうが少ないです。
 女性には若くしてがんになってしまう可能性のある乳房と子宮がありますので、診断技術の向上によっておそらく20代後半あたりから罹患率は上昇しています。

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 がんになってしまうのは致し方ないことだと思います。
 でも、なってしまったなら早く見つかることが第一です。

 そして、若くしてがんになってしまった場合には(もちろんケースにもよりますが)、がんと長く付き合っていく人生になるということです。


 こういった記事を書くときにはいつも同じことを書いてしまいますが、高齢者のがん患者の数的ボリュームが大きすぎて若い世代が埋もれがちです。若い世代にこそサポートが必要であり、若い世代に向けてもっともっと手厚い仕組みや予算が組まれる社会で合ってもらいたいと願います。

 そのうえで、報道の表面的な情報にたきつけられたり、非科学的な情報やニセ医学と呼ばれるような情報にまどわされないように注意せねばなりません。

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 参考となるリンク先をご紹介します。

 ・国立がん研究センターがん情報サービス
 ・全国がん罹患モニタリング集計
 ・年齢調整死亡率


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