必要額を認識できていなければ資金計画のたてようもないし資金が確保できているかどうかもはわからない / 金融リテラシー調査結果2016年


 前日の記事 金融リテラシーと知識・判断力 の続きです。

 まずはじめに、金融リテラシー調査2016年調査結果の調査結果の一括ファイル(PDF)をダウンロードし、37ページから47ページまでを印刷して答えてみていただきたいです。

 調査結果の数値が掲載されてしまっていますが致し方ありません。できるだけ無視して素直に答えてください。
 私も回答してみましたが、ファイナンシャルプランナー(FP)の3級検定に向けた基礎の基礎という印象です。


 大前提として、「適切でないもの」を選ぶという設問を読み取れずに回答している人も一定割合いるように感じました。これは各種検定においても注意が必要な内容で、アンケート・調査においては非常に悩ましく、ここに引っかかってしまわないような形式であることが望ましいです。

 印象に残った内容を書き出してみます。

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■正答の次に割合の高かったのが「わからない」だった設問が多かったこと。

 Q 5. 家計管理とクレジットカード 17.6%
 Q12. 複利計算の比較 24.3%
 Q14. 契約を結ぶ際の注意点 15.3%
 Q15. 金融トラブルに巻き込まれないための行動 11.3%
 Q16. インターネット取引 11.5%
 Q20. インフレ率と預金利息の比較 34.1%
 Q22. 債券の金利と価格の関係 40.4%
 Q23. 金利変動時の変動金利と固定金利の選び方 40.6%
 Q25. 保険商品の基本的な働き 37.4%
 Q26. 子どもが独立した後の生命保険の見直し 24.9%
 Q28. 公的保険・保険商品の役割 21.2%
 Q30. 住宅ローンの基礎知識 36.6%
 Q31. 複利による借入残高の変化 38.1%
 Q33. 預金保険制度(ペイオフ) 34.5%
 Q36. 聞いたことがない金融商品を購入する際の判断行動 30.9%
 Q37. 複雑な仕組みの金融商品を購入検討する際の対応 29.3%

 
 このブログでは文字強調を使わないようにしているのですが、25%以上をあえて赤字にしてみました。念のためにもう一度書いておきます。赤字にしたのは正答率ではありません。「わからない」を選んだ回答者の比率です。

 前段と同じ内容を繰り返しますが、FP3級の知識があればほぼ間違いなく正答にたどり着けると思います。
 もちろん設問に正答することが目的ではなく、日常生活においてより良い選択肢を得ることが目的です。とはいえ「わからない」の比率が特に高かった項目については、日常生活においてより良い選択肢を得るために必須であると感じます。

 なお、FP3級の知識があればと書きましたが、体系的に全般を網羅するような講座を受講せず、独学の場合はこの限りではありません。


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■今後必要になると意識している費用 Q7~10

 ・定年退職後の生活費
 ・子どもの教育にかかる費用
 ・住宅購入費用
 ・自分の医療・介護費用
 ・家族の医療・介護費用
 ・車の購入費用
 ・自分の結婚費用
 ・子どもの結婚費用

 それぞれについて、必要額を認識しているか、資金計画をたてているか、資金を確保できているかという問いがあります。


 必要額を認識している、資金計画をたてている、資金を確保できている、これらの中で圧倒的に高い比率だったのは「車の購入費用の必要額」で75.9%。4人中3人は把握しているわけです。自動車産業におけるこれまでの事業活動の賜物と言えるかもしれません。
 次に高い比率だった「子どもの教育にかかる費用の必要額」を2割近くも上回っています。

 必要額を認識していない、資金計画をたてていない、資金を確保できていない、これらの中で圧倒的に高い比率だったのは「住宅購入費用の確保」と「自分の結婚費用の確保」で、8割を超えていたのはこの2つでした。


 そもそも必要額を認識できていなければ、資金計画のたてようはありませんし、資金が確保できているかどうかはわかりようがありません。
 このあたりは金融リテラシーが高かったとしても、もう一歩進んだ情報が必要となってきますので手前味噌ではありますが、できれば専門家への相談をお勧めしたいところです。

 ちなみにここでの各専門家とは、金融商品の提案や販売を前提とした無料相談ではなく、資金を確保するための計画をたてるための有料相談です。その結果として金融商品を活用するケースがあっても問題ないと考えますが、金融商品の活用は必須ではないため、順序を間違えないでいただきたいです。(私のポジショントークです。金融リテラシーを高めて、ぜひ判断していただきたいです。)


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■Q41「生活設計や家管理等の「金融教育」は、学校で行うべきと思いますか。」
  62.4% 思う
  12.9% 思わない
  24.7% わからない


 4割近くの方々が「思う」を選ばなかったのも気になりました。

 設問で問われたような内容は生活において必須ではない、もしくは関わることがない、関わらずとも生活していけるという考えなのかもしれませんし、もちろんそういった考え方も否定はしませんが、それにしてもこんな世の中ですので「思う」が8割程度になってもらいたいと強く願います。


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■金融リテラシー調査の中に、公的年金に関して知っているものを問う項目(Q27)があったことも印象的でした。将来資金を考えるうえでの前提との位置づけでしょうか。

 1. 63.5% 自分が加入している公的年金の種類
 2. 41.9% 自分が第何号被保険者か
 3. 44.6% 年金受給のために必要とされる加入期間
 4. 36.6% 受け取れる金額
 5. 45.2% 自分の年金の支給開始年齢
 6. 24.3% どれも知らない


 まずはじめに、私だったら少しでも選んでもらいやすくするためにもう少し分かりやすくしたいです。
 1. 自分が加入している公的年金の種類(厚生年金・国民年金)
 2. 自分が国民年金の第何号被保険者の対象か
 3. 年金受給のために必要とされる加入期間 ←そのままでOK
 4. 将来受け取る金額(または見込額)
 5. 自分の年金の受給開始年齢


 社会保険である公的年金のことについて、これら5項目すべてを4人に1人が「どれも知らない」というのは国としてまずいことです。


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■いくつかの設問(Q7やQ13)で医療費を登場させるのであれば、社会保険の中から公的医療保険(健康保険・国民健康保険など)に関する項目も採用してもらいたかったです。

 具体的には高額療養費の内容です。資金準備や保険商品を活用する大前提です。


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 というわけで金融リテラシー調査の結果を見てきましたが、個人的には金融リテラシーを高めるための学びの前段階として、社会保障(社会保険)を学ぶ機会があって欲しいと強く願います。
 生活に関わるお金についてのすべての基礎は社会保険です。


 4年後、2020年の学習指導要領の改訂において高校では「公共」という必修の新科目が生まれます。当初の報道では社会保険もよく目に入ってきていたのですが、最近の報道では18歳選挙権などの関係で主権者教育という内容が中心になってきているように感じます。

 義務教育の中学あたりで社会保険や金融リテラシーを学ぶ機会が必須となって欲しいのですが、世の中一足飛びにはいきませんから何とか「公共」のカリキュラムに加わってもらいたいと願っています。


 繰り返しになりますが、ぜひ金融リテラシー調査2016年調査結果の調査結果の一括ファイル(PDF)をダウンロードし、37ページから47ページまでを印刷して答えてみていただきたいです。


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