国民年金保険料の若年者納付猶予制度が2016年7月以降は納付猶予制度へ


 この記事を読んでくださっているのは勤務先で厚生年金の対象となっている方々が多いのではないかと思います。
 会社員(第2号被保険者)でも会社員に扶養されている配偶者(第3号被保険者)でもない、自営業・学生・無職などの方々(第1号被保険者)の話です。


 国民年金では収入(所得)が一定より少ない場合に保険料免除という仕組みがあります。
 保険料を支払わない「未納」ではなく、支払えない状況であることの申請である「免除」の手続きを進めておくことで、将来受け取る年金額が変わります。

 将来受け取る年金は、私たちが納める保険料と税金が半分ずつで構成されています。
 未納であればその期間の年金は一切受け取れませんが、免除の中でも全額免除であればその期間の税金分である半分の年金は受け取ることができます。これは大きな違いです。(2009年4月以降は半分ずつですが、2009年3月以前は保険料2/3・税金1/3です)

 なお、免除における収入(所得)基準の対象は、本人・配偶者・世帯主です。


 ここまでが前段です。

-----

 2016年6月までは、30歳未満に限り若年者納付猶予という仕組みがありました。

 猶予における収入(所得)基準の対象は、本人・配偶者です。


 免除と同じく収入(所得)が一定より少ない場合で、かつ世帯主に一定以上の収入(所得)要件があれば猶予が適用されます。
 免除とは異なり猶予に該当する期間については将来受け取る年金額には税金分も反映されませんので、10年以内に保険料を追納しなければ将来受け取る年金額は増えません。

 であれば未納と同じなので手続きしなくて問題ないのでは?という疑問も出てきそうですが、将来年金を受け取る権利を得るためには現状で加入期間が25年以上必要ですのでその期間には該当します。
 また、障害年金や遺族年金という困った時に助けてくれる保障の仕組みの対象となることができます。これは大きな違いです。


 そして、この30歳未満に限っていた「若年者納付猶予」が2016年7月から対象が50歳未満となり、名称も単に「納付猶予」に変わったのです。

 個人的に、これは衝撃的です。

-----

 仮に20歳から30歳まで若年者納付猶予を使っていたとします。30歳以降は就労できたとしても、10年間の国民年金保険料の総額は約192万円(約16000円×12月×10年)にもなります。

 後から保険料を納める「追納」も猶予となった期間から10年以内ですから、20歳の1年分は30歳の1年が対象となる期間です。
就労していたとして年間20万円弱のお金を将来のために支払うことよりも、当面の生活を考えれば手元に置いておきたいとファイナンシャルプランナー(FP)としても感じます。


 対象が50歳未満となったことで、理論上は20歳から50歳まで最長で30年間も猶予であり続ける可能性があるわけです。
 この可能性は現実的ではないかと思います。また、「平成27年度の国民年金の加入・保険料納付状況について」によると、第1号被保険者1645万人に対して若年者猶予の利用者は40万人ということで約2.4%、第2号と第3号の被保険者も合わせると6687万人のうちの40万人ですから0.60%ということで1000人中6人です。猶予が10年以上続くケースはその中でも多くないとは思いますので、なかなかあり得ないことだとは思います。

 でも、30年分も将来受け取る年金額に反映されない期間ができてしまうというのは、間違いなく老齢期における生活保護者を作るだけになってしまいます。これは国としても望んでいる結果とは思えません。

-----

 私が気になるポイントは所得基準の対象となる方々です。
  免除 本人・配偶者・世帯主
  猶予 本人・配偶者

 猶予の期間が長くなるようなら(30歳を超えても猶予に該当しそうなら)、両親など別の世帯主と生計を一緒にして免除ではなく保険料を世帯主に負担してもらってね、そうじゃないと将来受け取る年金が大変なこと(少ない額)になってしまいますよ、ということではないでしょうか。考えすぎでしょうか。


 「国民年金の加入・保険料納付状況について」の平成28年版もしくは29年版において、免除者と猶予者の人数がどのように変わるのかが気になるところです。


コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)