”確定拠出年金の教科書”読みました。


 ”確定拠出年金の教科書”(2016年6月9日 初版発行)を読みました。

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 著者は経済評論家の山崎 元(はじめ)さん。ツイッターはこちらです。

 今回、確定拠出年金の本を4冊読みました。個人型(iDeCo)を紹介する目的として集中して感想記事を投稿しますので、ご興味お持ちの場合はいくつか読み比べてみてから購入されても良いかと思います。(この記事は1本目です)

 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■まえがき
■あとがき
■第1章 確定拠出年金で、何がどれほど得になるのか


 先に全体の感想を辛口で書いておきたいと思います。

 こういった制度は、日々とまで言いませんが数年に1回程度変わってきます。「教科書」というタイトルが意味を成すのは、とても残念ですが長い期間ではありません。

 勝手な推察ですが、著者自身は確定拠出年金制度を利用されたことがないようにも感じます。あとがきにも書かれている通り、第5章はご自身の会社の担当さんにたくさん任されているようで、ご自身の得意な運用や各種金融商品に関する評はいつも通り切れ味が良いですが、実際に利用する側の立場とは一線を画すような表現方法を感じるところがいくつかありました。

 「教科書」ですから、できるだけ丁寧に仕組みに触れようとされているのはよくわかります。でも、単なる羅列にしか感じず、本で読まなくとも各金融機関に確認すれば済むように感じたところもあります。

 また、企業型と個人型の両方について「教科書」として、取り上げられているのもおそらく確定拠出年金について初見の人には難解かもしれません。もちろん他の著者の本にも企業型の説明はおおよそ記載があります。それは個人型との違いを理解しておくほうが、より個人型の理解が進むからです。

 ここまで書いているのは期待度が高かったからだと思います。全体では網羅性が広く、良い本であるのは間違いありません。


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■第2章 なぜ今、確定拠出年金が話題なのか ~政府の思惑、企業の本音~

・使いでは減るが、ゼロにはならない公的年金 p042~
・税制拡大の背景 p055~

 
 公的年金の捉え方も書かれていますので全体像を知るという観点からはとても好印象です。ただ、山崎さんは言葉の選び方がきついです。いわゆるメディアの論調と比べれば公的年金への過剰な不安をあおっておられませんが、これも初見の人が読めば非常に厳しい印象を持ってしまわれる可能性があります。

 「株式の買い手を増やしたいという意図もあるように思われる」については、先日の記事日々対応していることは本筋 / シンポジウム「確定拠出年金制度」を受講しました。の所感でも書いていますので、ぜひご参照ください。


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■第3章 確定拠出年金の始め方
■第4章 確定拠出年金を「合理的」に使いこなそう

・「カタチだけ」の投資教育 p068~
・申込手続時に金額と配分を指定する p080~

・確定拠出年金での運用は「自分の資産運用全体の一部」だと心得る p093~
・個人の運用構築の例 p132~


 1つめはすっきり爽快な山崎元さん節なのですが、2つめで解説されている会社員が職場で証明書を書いてもらう部分の説明が「勤め先に書いてもらい」という簡易的すぎて印象が良くないです。実際にはここで多くのつまずきがあることをご存じないことがよくわかりました。

 ノウハウとまでは言いませんし出し惜しみをするつもりはありませんが、有料相談でお伝えしている内容ですので私としてもどのタイミングで詳しく情報発信するか悩ましいところです。一連の感想記事を投稿し終わった段階でコラムサイトにでも書こうかと検討中です。


 山崎さんの運用方針で想定されているのは常に一括投資であるように感じます。コツコツと毎月のつみたて投資において、どのようにモデルケースのようなポートフォリオに近づけていくのか、詳しくない人には非常にわかりにくいようにいつも感じます。


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■第5章 確定拠出年金の諸手続きについて
■第6章 変化に対応する

・リバランスの考え方 p146~
・賢く受け取るための「考え方」 p159~ 「率直に言って、確定拠出年金の受け取り方の選択がこんなに複雑だと、筆者は、本書を書いてみるまで思っていなかった。」(p165)

・「金融機関の職員の勧めを聞くとろくなことはない。彼らに「相談」することは、たとえ無料相談であっても止めたほうがいい」 p219
・確定拠出年金の三原則 p229~ 


 これまで投資経験の多くない人が長期のつみたて投資(確定拠出年金)を利用するにあたって大事なのはリバランスです。1.5ページ弱でさらっと書かれていたのも残念でした。

 2つめは正直に書かれていて、とても印象が良かったです。


 三原則は本書を手に取ってもらえれば表紙裏のカバーにも書かれています。大筋は私も同じです。でも少しアプローチが異なるかなと感じます。


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 取り上げた項目への感想がマイナスな表現ばかりになってしまいました。繰り返し書きますが、全体としては十分にお勧めしたい本です。でもだからこそ、気になるところは正直に書かせていただきました。

 さまざまな立場の専門家さんが確定拠出年金について取り上げてくださるのは良いことであるのは間違いありません。ぜひ複数の本を手に取って見てもらいたいです。


 金融機関や金融商品の選択をはじめ、投資や運用は自己責任でお願いします。

 

 山崎さんは毎年数冊の本を出されています。2016年1月に書いた感想も参考になりましたら幸いです。
 <過去参照記事>”学校では教えてくれない お金の授業”読みました。
 
 長文をお読みくださり、ありがとうございました。



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