”はじめての確定拠出年金”読みました。


 ”はじめての確定拠出年金”(2016年10月14日 1版1刷)を読みました。

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 著者は日本経済新聞社 編集委員兼紙面解説委員の田村正之さん。本業が新聞社に携わっておられることからも、ご自身以外の専門家のコメントや考えを引用されていたり、諸外国の制度も紹介されているのが特徴の1つだと思います。

 今回、確定拠出年金(DC)の本を4冊読みました。個人型(iDeCo)を紹介する目的として集中して感想記事を投稿しますので、ご興味お持ちの場合はいくつか読み比べてみてから購入されても良いかと思います。(この記事は3本目です)
 ちなみに4冊のうちこの本だけが文庫ですからコンパクトで安いです。


 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに
■おわりに
■第1章 確定拠出年金は使わなきゃ損!

・国の年金の全体像を知っておこう p22~
・確定拠出年金制度、抜本改正の中身は? p29~


 制度全体や背景を網羅的に知れるのがこの本の特徴です。
 幅広く制度のことを知りたいという場合には最適だと感じます。


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■第2章 隠れた優遇税制の全体像を知る
■第3章 金融機関選びで効果は大きく変わる
■第4章 非課税を活かす資産運用の鉄則

・税金はどれだけ安くなるのか p50~
・ところが相談に行った金融機関では、「あなたは収入が低いのであまりメリットがない」と思わぬ言葉をかけられました。 p53
・拠出時の節税額はどんな形で戻ってくるのか p60~

・コストが何よりも重要 p66~
・どこの金融機関が有利なのか p78~

・一時的な下げを怖がると大きなデメリットも p94~
・長期のリターンを高めるリバランス p107~


 「税金が減る仕組み」の図表は第1章p31に掲載されています。たいせつな内容ですからいくつもの章で取り上げられるのは良いことです。でも図表など詳細な解説に必要な情報は1つにまとまっているといいのになーと感じてしまいました。
 
 4%で複利運用できた場合という想定だけでなく、過去の相場の実績を使って具体的な数値が示されているのもわかりやすいです。ただ、こういった数字はこれまで投資・運用に取り組んだことのない方々にどれだけ伝わるのかはこの本に限らずいつも疑問を感じるときがあります。


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■第5章 お得な受給方法を知る

・自営業者もお得な税制を活用可能 p118~
・「受給時に課税されるので有利ではない」説の誤り p127~
・中小企業の社員にこそ有効な税制優遇 p128~


 iDeCo(個人型確定拠出年金)を使って自分自身で積み立てたお金なのに、一括受取時には退職所得控除、分割受取時には公的年金等控除の適用なので「お得」、と書かれることに違和感を覚えます。このことは専門家によっては積極的に発信されています。
 毎月の掛金(拠出金)が所得税・住民税の対象外であり、受け取るまでの期間に運用で増えた分も非課税です。(通常は20.315%が税金として取られます)
 その分、将来受け取る額が大きくなったときには非課税ではなくなる部分がありますという意味合いです。これを専門用語では「課税の繰り延べ」と呼ばれます。

 ここを心配する必要があるのは、勤務先から退職金をたくさんもらえそうな人、幸いにもiDeCoの運用がうまくいって大きく増えた人、自営業者で小規模企業共済の月額最大7万円を含め月額の掛金を最大限(6.8万円/月)出せる人で同じく運用がうまくいった人、このあたりの方々は将来の受取額が非課税というわけにはいかないと思われます。
 でも、これは喜ばしいことです。税の対象になるくらい受取額が大きいわけですし、税の対象になる比率は受取額が本当に巨額になってしまわない限り拠出時の税軽減および運用時の非課税を合わせたものよりも低くなることがほとんどです。

 
 中小企業の事例が掲載されているのもこの本の特徴です。某都市銀行による説明会で「数人ずつの勉強会は数カ月のうちに9回に及び、社員9人が加入を表明しました」とありました。
 私が気になるのはこの事例を一般化するのは悩ましいと感じるところです。この説明会において、企業から金融機関へ費用(報酬)は発生しているのでしょうか。おそらく発生していないのではないかと思います(発生していたら申し訳ありません)。
 懸念点はその金融機関に偏った情報になってしまうことではなく、このスタイルでは金融機関も近いうちに対応しきれなくなるということです。iDeCoそのものは収益性の乏しい仕組みです。当面こういった依頼が殺到するとは想像できませんが、黎明期だからこそ手をかけることが許されているのではないかと感じます。
 また、金融機関にとってiDeCoはきっかけです。その後の取り引きについては別途さまざまに個人の自己責任においてきちんと比較するなどの対応が必須です。


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■第6章 企業型確定拠出年金の有効活用法
■第7章 確定拠出年金制度の今後の課題

・現状は運用利回り1%未満が4割 p138~
・投資教育には限界も p164~


 特に第7章の内容はこの本だけに備わっている独自の内容です。諸外国の傾向は他の確定拠出年金の本で取り上げられているケースはありません。こういった情報は私もとても新鮮です。


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 制度を解説することが目的の本ですから致し方ないのですが、章立て(章のタイトル)の堅さがこの本のもったいないところかもしれません。たくさんの方々にとって有用な内容ですが「はじめての」を目にして手に取っても、もくじを見て「難しそう」となってしまわないか心配になります。

 4冊読み比べると、どうしてもマイナスなことを取り上げてしまう感想記事になってしまいます。すみません。本当の初心者さんにとっては読み進めにくい部分があるかもしれませんが、間違いなく良書です。


 金融機関や金融商品の選択をはじめ、投資や運用は自己責任でお願いします。

 

 田村さんの本は以前に感想を1冊書かせていただいています。
 <過去参照記事>”老後貧乏にならないためのお金の法則”読みました。
 
 長文をお読みくださり、ありがとうございました。



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