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府民公開講座「府立医大で始まる最先端放射線治療 ー陽子線治療は何が素晴らしいのかー」を受講してきました


 2019年2月17日(土)、京都府立医科大学附属図書館で開催されました府民公開講座「府立医大で始まる最先端放射線治療 ー陽子線治療は何が素晴らしいのかー」を受講してきました。

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 先進医療や陽子線に強い興味があるわけではありませんが、事務所や自宅から徒歩圏内の場所でこういった内容の講座を聞ける機会は希少で貴重です。

 私の独断と偏見に満ちた抜粋ではありますけれど、記録の意味も込めてまとめます。

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■講演1 永守記念最先端がん治療研究センターについて

・画像診断に放射線科医が関わっているのは全国でも半々
 京都は多く関わっている地域で、例えば東北は少ない
・小児専門科と陽子線治療が一体化となっているのは全国で3ヶ所
 今回の京都の他には北海道と兵庫


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■講演2 切らずに治す放射線治療 -新たな光・陽子線治療-

・唯一の被爆国という背景もあって放射線治療は他の先進国より進歩に時間がかかった。
 がん治療における放射線治療の利用率
 米国66%・ドイツ60%・英国56%・日本は20%台

・低侵襲、機能・形態を残せる治療
・放射線とはエネルギーの高いもの
・特長はリンク先の「ここが違う」部分

小児がんの治療で大事なのは成長障害が起きにくいこと、二次がんの可能性を低くすること。通常のX線だと晩期障害の発生率が58%、陽子線は1ケタ%。
・治るのがもちろん大事だか、どのように治すのかが問われる時代


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■講演3 前立腺がん治療における新しい選択:陽子線治療

・前立腺とは射精時に精液を3~5cc分泌する役割
・前立腺がんは65歳以上の男性がほとんどのため、機能的に悩むケースは稀
・ゆっくり進行するケースが多いが、中には早いものも。初期は無症状。
・前立腺肥大症とは別物、尿道のまわりに前立腺があり、前立腺がんはその外側
・年9万人が罹患、約7人に1人の約1.2万人が死亡
・欧米人のほうがかかりやすく、食生活が影響?
 日本に生まれてハワイ在住となった人の罹患率は米国と日本の間くらい

・進行している状態でも陽子線治療は5年生存率が非常に高い(95%)
 (伊藤追記:通常の放射線治療や他の治療方法でのデータ提示はありませんでしたので、どれだけ優れているのかはわかりませんでした)


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■特別講演 粒子線治療の現状と今後の動向について
 筑波大学附属病院陽子線治療センター部長

・陽子線治療希望の患者を1日10人診察している
・診察だけでなく、研究も教員も兼ねている
・「幸運」という言葉を大事にしている

臨床医として
 初級 あいさつできる・返事ができる・相談出来る
 中級 好奇心がある・論理的である・大小の目標がある
 上級 いつも機嫌が良い・予想外のことが発生しても情緒的・人を許せる

・がんは誰のせいでもない
・治療法は人それぞれ違う
・今はQOLが大事な時代

・放射線治療は未知なことが多い。見えないメスともいえる。
・元々自然界に存在する物質
・形態と機能が残る治療であることは大事
・体力・具合がよくなくても使えるケースがある
・手術ができない部位でも治療できる

・小児がん 背骨に当たらなければ成長できる
・脳腫瘍の例 通常の放射線は治療効果30%、陽子線は70%
・食道がんでの心肺毒性を減らせる
・陽子線治療の半分は先進医療 肝臓や肺の中心部

・先進医療とは研究がかなり進んでいるけれどまだ吟味の必要な治療


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<所感>

 陽子線治療の保険診療化をこれまで進めてこられた医師の1人が今回の特別講演の先生だそうです。府立医大の小児がん患者で陽子線治療が必要な場合もこの先生と協力のうえで、筑波へ行って治療を受けるなどの連携もあったそうです。
 司会を務められたがんプロフェッショナル養成センター長で小児科教授の医師が非常に熱く、閉会の挨拶でお話しされていました。


 どの医師とは言いませんが、講演で受講者に呼びかける際「皆さん」「皆さま」などではなく、「あなた」「あなたがた」という表現を使っておられ、ものすごく上からに聞こえてしまったのが残念でした。こんなことを感じたのは私だけかもしれませんけれど…

 保険会社の扱う保険商品での「先進医療特約」があれば陽子線治療は費用負担がほぼゼロになるという表現を使っておられた医師もおられ、保険診療になっていない(=効用が他の治療より優れているわけではない)と私は認識していますので、通常の放射線治療に比べて医療費負担が小さくなるから先進医療である陽子線治療を受けたいという人が出てきてしまう(実際に多くおられそうに思いますが…)のではないかと嬉しくない気持ちになりました。
 また、保険料は月に数百円~1000円程度とおっしゃっていた医師、正しくは100円前後が多いです。


 通常の放射線治療に比べて、陽子線治療が周辺臓器に影響を与えにくいという利点は十分に伝わってきましたが、その他にデメリットが何なのか触れられた内容は私が聞いた限りありませんでした。仮にメリットしかないのであれば、いかに装置が高額とはいえ、もっとシンプルに広まっていくと思うんです。でもそうではない。

 がんの患者会さんのサポートに関わって約7年ですので、普通の人に比べて少しだけがんに詳しいと自負していますが、もちろん医師をはじめとした医療関係者の専門職の方々からみれば普通の人と変わらないレベルだと思っています。今回の内容では講演の受講者の多くを占めていた高齢者の方々は、がん治療において放射線を勧められたとき陽子線を使ってほしいと安易に言ってしまうと私でも感じました。

 今回の公開講座の成果がそれでは良くないと思うんです。陽子線治療の存在を広く知らしめる意味では大事な一歩だったのだと思います。新年度以降の陽子線治療の動向はできる限り知っていきたいと感じました。



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