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”経営者はいかにして、企業価値を高めているのか?”読みました。


 ”経営者はいかにして、企業価値を高めているのか?”(2019年1月16日第1刷)を読みました。

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 著者は農林中金バリューインベストメンツ株式会社常務取締役の奥野 一成(おくの かずしげ)さんと京都大学名誉教授の川北 英隆(かわきた ひでただ)さん。

 京都大学経済学部での農林中金バリューインベストメンツ寄附講座「企業価値創造と評価」の講義録で、2018年度の内容ということです。(リンク先の内容はこの記事を書いた時点で2019年の講義スケジュールです)
 とあるご縁で奥野さんと知り合うきっかけがありまして、この本をお送りいただいてしまいました。感謝を申し上げます。

 
 いつも通りアウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。当然ながら引用部は私の独断と偏見によるものです。

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■はじめに 「現代の資本家」になろう

・簡単に言うなら、株式投資とは企業のオーナーになることです。 p3


 これが始まりです。私はいつも「株式とは出資金」と言います。

 何かよくわからないけど値動きがあって大損するかもしれない株式ではなく、この会社は応援したいから資金を出したい(出資)、これが株式です。ここの理解を深めるための本質のような役割の本です。


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■第一章 独創し続けるための「朝令暮改」、「任天堂」、「分相応」、これが任天堂のDNA

・任天堂の任天とは「天に任せる」という意味からきている p34

・【Column】インデックスをうのみにするのではなく、投資家それぞれが、企業の考え方、活動を知り、自身の価値観、運用哲学に照らして、主体的に判断する姿勢が重要です。 p41


 コラムの件、重要だと思います。本当に重要です。でも、すべての人がこのようにできるのかという点で考えれば、まず難しいです。

 できる人・やりたい人・時間を作れる人は取り組むべしです。でも、もっと他のことに時間を作りたい、投資や運用に時間をかけたくないという方々においては低コストであるインデックスで何も問題ないと考える次第です。


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■第二章 グローバル展開成功の鍵は、現地に根差した経営をすること

・日本はもっと早く、官主導の経済から民主導の経済へ転換しなければならなかったのですが、そのタイミングでバブル経済が発生しました。やがてバブルの崩壊を経て、非常に経済状況が悪くなりました。(中略)本格的な民主導の経済への転換が遅れてしまいました。 p56


 キッコーマン名誉会長による講義録です。世界進出・展開の流れがわかります。おもしろいです。


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■第三章 丸井グループ価値共創経営 

・企業価値をすべてのステークスホルダーの利益が重なる部分と定義 p92~

・若い方はカードでご利用いただく額が多い(中略)この金利のつく分割払いやリボ払いのご利用が、他社と比べると大きいので、利益率が高くなっているということです。 p118


 資本家側・投資家側からすると経営の視点・利益を生み出す視点が大事なのは間違いありません。
 ただ、私のように一般家庭・若い世帯から日々相談をお受けする機会があると、分割払いやリボ払いは余程の事情により使わざるを得ない場合を除き、絶対に使ってはいけない仕組みです。家庭や世帯の資産の視点で考えると、高金利でお金を調達することはできる限りあってはならないことなんです。悩ましく読みました。


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■第四章 社員の心理に着目し、パフォーマンスを最大限引き出す「内的動機経営」

・個人Will(ウィル)という個人別管理会計制度 p147

・内的動機による統治 p158

 
 ディスコ代表取締役社長による講義録です。社内の取り組みが強烈なインパクトです。従業員側の声を聞いてみたいと思いました。


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■第五章 経営理念と、その実践

・人に人徳があるように、企業には社徳というものがあると考えています。 p194
・時流に乗る 経営は時間の関数 p203


 SBIホールディングス代表取締役社長による講義録です。古典・歴史、たくさんの教養と合わせて話が進みます。北尾さんから見た孫さんの話(p227~)もおもしろいです


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■第六章 絶え間ない仮設構築・検証のプロセスと発見

・(日本電産の)永守社長は「3Mはちゃんとモノを見てくれた」と仰っています。 p253

■第七章 長期投資の優位性と投資方法

・市場を買うのか、企業を買うのか p266~
・京都企業はどうなったか p283~
・長期投資においては、流行に流されず、冷静かつ理論的に市場と企業を観察することが求められている。これはいつの時代にあっても真実である p300


 これまでに株式や投資信託を購入したことがない人がこの本を読んで「自分で投資先企業を選びたい」と強く感じても、おそらくその選定がどれだけ大変か気づいて挫折することになるかと思います。
 すでに投資している人だと経験によって大きく違ってくると思いますが、株式投資と向き合う気持ちやその重要性を改めて理解できればそれは大きな収穫でしょう。

 (2018年度の講義なのに第七章のデータは2008年だったりすることは気になりました)


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 ただ、1つ私として残念だったのが次の記述です。

・少子化、高齢化が急速に進む日本の社会において、現行の賦課型公的年金制度では、団塊ジュニア以下の世代が引退後に今の水準を維持するには物理的に十分でありません。 p4~

 さらに「65歳以上の高齢者を現役世代(20~64歳)で支えている比率」という公的年金保険をはじめとした社会保障全般を語るうえで意味のない、報道機関のようなわかっておられない数字の話を持ち出し、「年金受給開始年齢を伸ばそうとする政策」という言いたいことは「支給開始年齢」?なのかなと思いますが、政策なんて議論にもなっていないあおり文章を入れなくて良いのに入れてしまっておられます。

 投資や資産運用を専門としておられる方々が絶対にしてはいけないと私が考えることを前段に出してしまっておられ、そのことだけが本当に残念です。

 あえてこのツイートをご紹介しておきます。


 この部分以外の企業に関するお話は本当にお勧めできます。
 (せっかくお送りくださった本なのにこんなことを書いてしまって申し訳ありません)


 
 長文をお読みくださり、ありがとうございました。


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