適用拡大は「一石七鳥」の年金政策 / 第15回年金部会「社会保障審議会年金部会における議論の整理」を巡って
公的年金保険に関するお勧めの対談連載の紹介です。
ただ、この連載は超長文の4記事でして、軽めの本1冊を超えると思いますし、結構な専門性です。ですので、どちらかと言えば私の備忘録です(すみません
大事な部分は抜粋して引用していますので、そこだけでもぜひ読んでみてもらいたいです。
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■その1
たくさんの人に読んでもらいたい超重要記事の最終連載が始まりました。難しいと感じる人は各種データは飛ばしたり、出口さんの発言部分だけ読むのでも問題ないです。ぜひです。 / 第7夜 第15回年金部会「社会保障審議会年金部会における議論の整理」を巡って その1 https://t.co/47gQ0BA2CS
— 伊藤 俊輔 (@shiso_tsukune) February 20, 2020
「こんなに役に立つよと、こんなすばらしい試算結果が出ているよという事実を市民が知ったほうが、オプション試算の実施を潰しようがなくなるのではないか」
一般向け講演の多い出口さんだからだと思いますけれど、わかりやすい表現がとても多いです。
「11ポイントも所得代替率を上げることができるという選択肢を厚労省の役人が示しているにもかかわらず、いろんな定性的な意見をごちゃごちゃ持ち出してきて、+0.2ポイントしか前に進まないという」
適用拡大の重要性をきちんと報道しているところはほぼないですよね…
「議論するときは、エピソードではなくてエビデンスで議論しなければいけない」
安定の出口さん節です。
「原理原則から言えば、短時間労働者であっても被用者であれば、厚生年金が適用されるべき(中略)被用者のなかでも一番立場の弱いパートやアルバイトなどの労働者が国民年金に追いやられている(中略)日本社会の一番のひずみは適用拡大の問題にある」
社会保障の何たるか、です。
「現行制度で44.5~51.9%の所得代替率が54.9~63.0%と10.4~11.5ポイントも上がるわけですから、これはめちゃ制度がよくなるわけです」
出口さんの”めちゃ”のトーンが思い浮かびます。年金時代の編集部さんよくわかっておられます。
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■その2
「適用拡大は「一石七鳥」の年金政策」ここテストに出ます。今回のその2も出口さんの発言が超直球でわかりやすいので本当にお勧めです。 / 第7夜 第15回年金部会「社会保障審議会年金部会における議論の整理」を巡って その2 https://t.co/T8ml5Lgw1v
— 伊藤 俊輔 (@shiso_tsukune) February 26, 2020
「適用拡大は社会のためになるのです(中略)むしろ非効率な産業はつぶさなければいけないというように社会の意識を変えなければいけません(中略)補助金で生かしていこうというのは、実は不親切なことなのだ、社会にとってマイナスなのだということを議論しなければいけない」
出口さん、直球だ…
「社会保険というのは、使っている労働者が病気になったり、年をとって働けなくなったりしたときに、生存を保障するものでしょ? その社会保険料を払ったら会社がつぶれるというのであれば、それじゃあ、人を使わず、社長ひとりで仕事をしてくださいというべきです」
大事な発言の1つです。
「年金保険料を2017年に18.3%にまで上げると決めることは、それに耐えうる企業に、日本の労働者を雇ってもらいたい、耐えきれない企業にはご退出願いたい、低賃金労働者に依存したビジネスモデルから新しいビジネスモデルに転換してもらいたいということを意味する」
ちょっと気になるシリーズの「働き方」版も買って読まねば…
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■その3
「年金フェイクニュースの情報源は、ずっと学者だったのです」ああっ…(公的年金保険に詳しくない人でも出口さんの発言に本質を感じていただけるかと。ほんま出口さんすごい。 / 第7夜 第15回年金部会「社会保障審議会年金部会における議論の整理」を巡って その3 https://t.co/MFlVnsapfO
— 伊藤 俊輔 (@shiso_tsukune) March 5, 2020
「彼らは、あれだけの年金不信、それゆえの政治不信を国民に植え付けておいて、何の責任をとることもなく、むしろ年金不信を国民に植え付けることに成功したゆえに、彼らを信じた人たちから祭り上げられて世俗的には成功者となっていく。教育上、実に良くない」
ほんまよくない。
「年金が破綻するとか、積立方式のほうがいいとかいう、世界のどこにもない非常識な議論を、日本ではまだ言っている人が何人かいますが、以前に比べると、だいぶ消えてきましたね」
皆さま、よろしくお願いいたします。
「そういうまちがったことを言う人に対しては名指しで、この人が言っていることはここがおかしいと、ちゃんとメディアも含めて指摘しなければいけません」
皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
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■その4
大きく分けて4つの話題と最後に権丈先生による3つの発言。ボリュームありまくりの第7夜その4(最終回)でした。前半の出口さんと権丈先生のやり取り、ちょっとドキドキしました(笑) / 第7夜 第15回年金部会「社会保障審議会年金部会における議論の整理」を巡って その4 https://t.co/VKEYXIwne8
— 伊藤 俊輔 (@shiso_tsukune) March 13, 2020
1.年金を取り巻く、いまの日本の状況をどうとらえるか?
「既得権をそのまま守ってきたがゆえに、新しいものが生まれないというところに、この社会の諸悪の根源があるという気がする」
出口さんと権丈先生のやり取りは人それぞれとらえ方が違うところではないでしょうか。
2.高齢者の就業期間延長政策に水を差す個人差攻撃
「個別論や実態論が起こるのは一面では正しいのですけれど、それは結局ゆがんだ制度が生み出しているのです。それに、若い人にだって、個人差はあります。高齢者だけの話ではありません」
ふむ。
3.政策とは——権丈氏「合成の誤謬を解く」、出口氏「部分最適を全体最適に変える」
「日本では政府対市民という構図で、政府を無意識のうちにわたしたちの対立物であるかのように考えるでしょ。そうではなくて、政府はわれわれがつくるもの」
若い世代の投票率が上がってほしい。
4.国庫負担に絡む基礎年金問題は税を動かす流れをどうつくるかまで考えるべし
「労働市場で厚生年金の適用除外になっている人たちの基礎年金の所得代替率が数ポイント上がるよりも、適用拡大によって2階の厚生年金が上乗せされるほうが重要」
ほんま、ここ大事です。
5.権丈先生の3つ「被保険者期間の延長」「適用拡大」「様々な意見の見分け方(年金改革は数十年後にしか成果がでない植樹)」
改めて その2 を多くの人に読んでもらいたいです。
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ところで会場となった店がしぶすぎました。
<参照リンク> 居酒屋ねんきん談義
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