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「知っておきたい年金のはなし」読みました。


 知っておきたい年金のはなし
 日本年金機構 年金の制度や仕組み、保険料に関するもの 2020年4月1日版

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 2016年3月版が手元に残っていまして、今回できたてほやほや感のある最新2020年4月版と比べて内容を確認しました。
 サブタイトルは「20歳になったら国民年金」ということで、日本年金機構のwebサイトでも、年金について学ぼう学生のための知っておきたい年金のはなし → 1.公的年金って何?? この流れでもファイルの保管先へ進めるようです。

 この冊子、良いです。データも入っていて各国比較もあり、学校で学んでおきたい教材の1つと言って良いです。

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■備えあれば安心
1.みんなで支え合うシステム(p2)


 社会保険と「保険」の解説が「ねんきん豆知識」として少し小さめの字で掲載されています。ここを遠慮がちに書く必要はありません。公的年金は「保険」なんです。本当に大事なことなのでもっと強い書き方でお願いしたいです。



2.老後の安心
3.世代と世代の支え合い(p3)


 2018年3月末と2014年3月末の人数の違いです。

・老齢年金 4093万人(3927万人)
・障害年金  214万人( 201万人)
・遺族年金  652万人( 614万人)
・現役世代 6733万人(6718万人)

 注文を付けるなら「現役世代」だけでなく「就業者」という表現も含めてほしいということです。高齢でも働いている人、障害をお持ちでも働いている人はおられますし、反対に現役世代でもさまざまな事情で働けない人もおられます。
 原則は「世代と世代の支え合い」で異論はありません。でも、就業者という言葉をそろそろ入れてほしいです。

 また、遺族年金受給者のイメージ図が母親と小さな子どもです。例えばこんなデータがあります。
 年金制度基礎調査(遺族年金受給者実態調査)平成22年
 10年前のデータとはいえ、遺族年金受給者の圧倒的多数は60歳以上の女性で91.4%を占めます。後期高齢者75歳以上の女性で59.8%です。この資料の対象者は若者ですから若いときに夫が亡くなってしまった場合のイメージを持ってもらうことは大事です。とはいえ、49歳未満の女性の受給者は全体の約2%です。


4.2階建て構造(p4)


 ここはぜひとも人数の推移を掲載してもらいたいです。

 2019年3月末と2015年3月末の人数の違いです。

・第1号被保険者 1471万人:21.8%(1742万人:26.0%)
・第2号被保険者 4428万人:65.6%(4038万人:60.2%)
・第3号被保険者  847万人:12.6%( 932万人:13.9%)
・合計      6746万人    (6712万人)

 わかりますでしょうか、この大移動。
 厚生年金の被保険者が増える=将来受け取る年金額が増える、大事です。

<過去参照記事> 適用拡大は「一石七鳥」の年金政策 / 第15回年金部会「社会保障審議会年金部会における議論の整理」を巡って


5.3つの安心
6.年金制度は続く
7.公的年金の負担と給付
8.約98%の人が保険料を納付
9.年金が支える高齢者の暮らし(p7)


 「高齢者世帯の今」というデータ、これをきちんと確認したことがなかったので、私が今回最もインパクトの強かった情報です。

 国民生活基礎調査の2018年と2014年です。

・公的年金(・恩給)が総所得に占める割合
-すべて     51.1%(56.7%)
-100%未満~60% 24.5%(23.4%)
-60%未満    24.4%(19.8%)

・1世帯あたり平均年間総所得 334.9万円(300.5万円)
-公的年金   204.5万円(203.3万円)
-その他の所得 130.4万円( 97.2万円)

 働いている老齢年金受給者が多くなったということかと思います。平均寿命の延びている現代社会において、めちゃめちゃ大事なことです。


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■20歳になったら国民年金(p10~)
1.国民年金加入の手続き
2.保険料の納付方法が選べる
3.保険料の納付が難しいとき


 20歳到達時の手続きが大きく変わっているのですね。丁寧になっていると感じました。知りませんでした。

 「国民年金の加入と保険料のご案内」というパンフレットが入っているようです。ぜひ今回取り上げている「知っておきたい年金のはなし」も配布してほしいです。


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■太郎と花子の人生行路(p14~)
・ライフステージと年金


 老齢だけでなく障害や遺族の給付を知ってもらうことも大事ですから当然と言えば当然なのですが、太郎さん…45歳(子13歳)で独立開業して、48歳(子16歳)で事故で亡くなって、子も24歳で事故に遭い、なかなか大変な事例でした。花子さんに幸あれ。


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■年金もの知り情報(p18~27)
・公的年金の給付(老齢年金・障害年金・遺族年金)

 良いデータ集です。


・日本の少子高齢化の現状(p21~)

 過去分との比較でよくわかります。確かに平均寿命は延びていますし高齢者は増えているわけですが、出生率がほんのわずかでも回復しているので数十年後の総人口は5年前の推計より増えています。
 また、2010年にはいったん減少に転じた就業者の数も2018年には2000年時点を上回っています。良い傾向です。


・世界の年金制度(p24~)

 公的年金をはじめとした社会保障と経済は表裏一体です。単なる制度比較ではなく、例えば対GDP比での税収や社会保険料収入、消費税率なども記載があると負担と給付のイメージも持ちやすいかと感じました。
 6か国の比較では現状で日本とスウェーデンだけが支給開始が65歳です。他の国は67~68歳へ引き上げられます。働けない人も対象になっているのは日本とスウェーデンです。他の国は「適用対象外」があるんです。 


・日本の公的年金制度の歩み(p26~)

 シンプルに歴史を知れます。昭和17年(1942年)から最新の令和元年(2019年)まで見開き2ページで確認できます。一般には専門用語が難しいですけれど、少し学べば変遷をつかめます。大事です。


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■「わたしと年金」エッセイ(p28~)

 2016年3月版は障害年金と遺族年金、2020年4月版は遺族年金と若いころから保険料を納め続けた話。いずれも公的年金保険は社会保障であることをしっかり認識することができます。


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 義務教育で教科書としてほしいと私が勝手に主張している権丈先生の「ちょっと気になる社会保障 V3」。実際には義務教育での教科書としては少し難しいのですが(すみません!)このパンフレットは使えると感じました。

 厚生労働省のサイトには社会保障教育のワークシートという中学・高校の授業で使える内容が教員向けの指導者向け活用マニュアルとあわせて掲載されています。これは別途感想を書きたいと思っています。


 パンフレット 知っておきたい年金のはなし たくさんの人に読んでもらいたいです。


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