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社会保障教育のワークシート【基礎】社会保障の理念やあり方を考える


 厚生労働省webサイトで紹介されている社会保障ワークシートを読みました。

 私は常々「投資教育・金融教育よりも社会保障教育を」と発信しています。難易度が高いとはいえ、義務教育の教科書に”ちょっと気になる社会保障 V3”が採用されてほしいと思うほどです(リンク先は増補版の感想記事)

 そんな折、著者の権丈先生の発信で社会保障ワークシートの存在を知りました。2014年7月には報告書も出ているほど議論が進み、成果物まで出ている内容とは恥ずかしながら知りませんでした。


 というわけで7種類のワークシートを順に取り上げ、最後に報告書の感想をと思います。ワークシートは高校生向けで、教員向けの「指導者向け活用マニュアル」も掲載されています。すごいです。
 私による勝手な引用だけでもぜひ参考になりましたら幸いです。主には「指導者向け活用マニュアル」の文章を紹介しています。

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■ワークシート【基礎】社会保障の理念やあり方を考える

<ねらいと学習指導要領>
・社会保障制度の基本的な考え方や、その給付と負担のあり方などについて、幅広い議論が展開できるように作成 p1
・学習を進めるにあたっては、生徒に自由に意見を発表させたり、議論させたりして、主体的に考えさせることに重点 p1
・公的年金のあり方や、保険料を納める意味、少子高齢化への対応など社会保障制度のあり方について考えるきっかけとなり、社会の一員としての自覚を身に付けることが期待 p1

<「社会保障」に関する“高校生クイズ”>
・公的医療保険制度が、病気やケガの時の医療費負担を軽減する役割を果たしていることに気づかせる p2
・公的年金制度が、高齢期だけでなく若年期にも給付(障害年金・遺族年金)があり得ることに気づかせる p2
・日本の公的社会支出の対GDP比は一貫してOECD平均よりも低かったが、近年増加傾向にあり2009年時点でOECD平均とほぼ同水準 p2
・国民負担率の水準は、主要国では高齢化の進展に伴いおおむね上昇しているが、特に高齢化が進展している日本においては近年ほぼ横ばいで推移しており、相対的には低負担 p2
・ここでは正解を求めたり説明したりするのではなく、生徒自身が考える社会保障制度の理想型と、現実世界との間にギャップがあることをイメージしてもらえれば良い p2

<「社会保障制度」を整理してみよう>
・社会保障給付費の配分を先進諸国と比べると、3部門のうち「福祉その他」の割合が少ない。中でも、子どもに対する給付(児童手当等)の規模が小さいという特徴がある p3
・社会保障制度が果たしている機能のひとつである「所得の再分配機能」について理解させる p4
・所得を個人や世帯間で移転させることにより、貧富の差を縮小し、国民の生活の安定を図るもの p4
・私たちは同じ社会の一員としてお互いに支えあっている p4

<日本の税金や社会保険料は高い?低い?>
・日本は、65歳以上人口比率がOECD加盟国の中で最も高いというだけでなく、WHO(世界保健機関)による統計(WHO加盟国194カ国を対象)においても最も高齢者(60歳以上)の割合が高いとされており、世界でも高齢化が最も進んだ国と言えるが、高齢化率の高さに対して国民負担率の水準は低いと言える p5
・「税金や社会保険料を払うことは「負担」なのかな?」 p5

<「社会保障制度」・・・国によって~>
・社会保障の類型(依存すべき提供主体)「家族依存型」「政府依存型」「市場依存型」 p6

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 大事な大事な大前提です。こんな授業で社会保障の基本的な考え方を学んでみたかったと感じさせられると同時に、これだけの内容の授業があったとしてどれくらいの割合の生徒が社会に出てからも意識の片隅にでも考え方が残っているだろうかという点は気になります。私自身が高校生のときに学べたとして、どうだったかという視点です(あんまり自信ありません)

 制度をつぶさに解説するのではなく、「所得の再分配機能」のサービス(給付)と負担の考え方を知る。大事すぎますし、全生徒が必ず授業で学ぶ内容であってほしいです。

 第1回目に取り上げましたのは社会保障教育ワークシート【基礎】の「社会保障の理念やあり方を考える」です。
 生徒への配布資料はわずか4ページの資料です。皆さま、ぜひです。


 注文をつけるとすれば次の2点です。
・毎年とは言いませんが、数年に1回はデータを更新してもらいたい(配布資料の2つのデータが2009年のまま)
・指導者向け活用マニュアルp3の社会保障給付費(2013年)データも生徒への配布資料に入っていてほしい


 私は義務教育におけるまっとうな社会保障教育が強く必要だというスタンスです。

 <次回> 社会保障ワークシート【基礎】身近な社会保障を学んでいく


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