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【社会保障ワークシート】社会保障の教育推進に関する検討会報告書


 厚生労働省webサイトで紹介されている「社会保障の教育推進に関する検討会報告書 ~生徒たちが社会保障を正しく理解するために~」(2014年7月18日)を読みました。これまで全7回で取り上げてきました社会保障ワークシートに関するまとめの報告書です。

 私は常々「投資教育・金融教育よりも社会保障教育を」と発信しています。難易度が高いとはいえ、義務教育の教科書に”ちょっと気になる社会保障 V3”が採用されてほしいと思うほどです(リンク先は増補版の感想記事)


 勝手な引用だけでもぜひ参考になりましたら幸いです。

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■検討事項と検討体制

・卒業後すぐに社会保障制度に触れることが考えられる高校生を対象として検討 p2

■検討結果

・社会保障は、「世の中の常識」と「実際」の間の乖離度合いが大きい。「天動説」と「地動説」くらいのレベルの違いがある p3
・社会保障の授業に充てることができる授業時間数は3年間を通して2コマもしくは3コマ程度 p5
・制度の内容や課題については教師も詳しく知らない場合が多い。中学校・高等学校で社会保障について学んだ時間が少なかったという大学生や大人が多い p5

・制度的な点よりも、社会保障制度が誕生してきた歴史的経緯、その制度が基礎に
置いている「助け合い」「連帯」(中略)など、社会保障制度を支える考え方を生徒に学んでもらうことが、社会保障制度を、ひいては社会を正しく理解できる大人になることに資するという意見が大勢 p7
・公的年金制度のように景気変動に関わりなく継続的に現金を支給することにより、個人消費を促進し、景気変動を緩和するとともに経済成長を支える機能(経済安定化機能)も果たしている p7
・社会保障の理念・人生を生きていく上では様々なリスクがあること・やむを得ない理由で様々な助けを必要としている人々がいること・誰もが助けを必要とする状態になる可能性があること p8

・学習指導要領改訂に向けての提言 p16~
・かつては家族の中で、働く世代の人たちは子どもを扶養し、そして年老いた親を扶養していたが、そうした家族の中での扶養を社会全体での支え合いに広げたものが社会保障である p17
・社会保険が「防貧」機能を有しているのに対して、公的扶助が「救貧」機能を有している p18
・社会保障制度の改革も進められているが、将来の「社会のあり方」や「社会保障の役割」について一人ひとりが考えていく必要がある p18
・社会保障教育の推進のためには、教材を作成するだけではなく、教師が授業で活用しやすくなるような工夫も必要 p19

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 これまでのワークシートは私もどこかで社会保障のことをお話しする機会があれば使ってみたいと思えるものでした。
 p9に掲載されている教師・生徒の感想はぜひ多くの人に読んでもらいたいです。


 なぜ私がしつこいくらいに公的年金保険をはじめとした社会保障について取り上げてばかりいるのか。
 それは、この国で生活しお金のことを考えるうえで何においても根幹となる部分だからです。

 学べば学ぶほどに社会保障のことを知らずして家計のこと、資産運用のこと、生命保険のこと、住宅購入のこと、相続のこと、他もすべて考えられるわけがないとさえ思ってしまいます。

 すべての土台である公的な仕組みを適切に知り、次に自分や家族の働き方や現状の資産状況を確認し、最後に現状からの見直しや新規の検討の段階へ進むんです。土台や現状を把握しないままに、解決策や最適が出てくるわけがありません。


 結論はシンプルでも、過程はシンプルではありません。シンプルな結論に至るまでが大変です。
 私を含めた普通の個人・普通の家庭において長期に渡って有効が約束されている裏技はありませんし、特定の専門家が長期に渡って助けてくれないと依頼者・相談者が困ってしまう結論も稀です。家族を含む身近な人に説明の難しい金融商品を使うことが最適になるケースはほとんどありません。

 まずは公的な仕組みを押さえましょう。
 こんな私ですけれど、皆さま今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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 これまでの記録はこちら。

・第1回 【基礎】社会保障の理念やあり方を考える
 ワークシートは高校生向けで教員向けの指導者向け活用マニュアルもあり、「所得の再分配機能」の給付と負担の考え方を知ることができます。高校生でこんなふうに学べる機会があるなら最高です。

・第2回 【基礎】身近な社会保障を学んでいく
 配付版p3「ライフサイクルでみた社会保障の給付と負担のイメージ」とp5「高校生として必ずおさえておきたい“公的年金のメリット”」この2つの資料は最高でした。

・第3回 【基礎】年金教材『10個の「10分間講座」』
 タイトルに「高校生が最低限、今のうちから知っておくべき」と入っていますが、大人こそ学ぶ必要があるでしょう。

・第4回 【発展】社会保障って何?
 「公助・共助・自助」「救貧・防貧」「社会保障制度は所得の再分配機能」超重要キーワードの登場する内容です。これを高校生で学べる機会があるなら素晴らしすぎます。

・第5回 【発展】政府の役割と社会保障
 公的年金保険の積立方式論破から所得再分配・給付の権利性・ミーンズテスト・スティグマまで登場し、公的年金保険の世代間不公平という的外れなあおりについての正しい理解まで解説がありました。

・第6回 【発展】公的医療保険って何だろう?
 設例があったうえでの計10個の質問。社会保障(今回でいえば公的医療保険)の仕組みを学ぶ機会のなかった大部分の大人・社会人こそ、しっかり読んで考えてもらいたい内容です。

・第7回 【発展】公的年金
 「Output is central(生産物こそ重要)」や「適用拡大」という用語までは登場していませんが、考え方は出てきます。多くの高校生がここまで学ぶことができるようになるなら未来は明るいです。


 繰り返します。”ちょっと気になる社会保障 V3”(リンク先は増補版の感想記事)、この本は義務教育の教科書に採用されてほしいと思えるほどの内容ですが、間違いなく難易度が高めです。難しいと感じられる場合には今回の7つのワークシートが良いです。それほどにすばらしい内容でした。

 私は義務教育におけるまっとうな社会保障教育が強く必要だというスタンスです。
 長文をお読みくださり、ありがとうございました。



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