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”最高のがん治療”読みました


 ”世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった 最高のがん治療”(2020年4月1日 第1刷発行)を読みました。

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 著者は津川 友介(つがわ ゆうすけ)医師、勝俣 範之(かつまた のりゆき)医師、大須賀 悟(おおすか さとる)医師、3名による共著です。3名とも実名で情報発信しておられ、お名前につけたリンク先はそれぞれのツイッターです。この本が出版される前から3名ともフォローしています。

 津川医師は「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」、勝俣医師は「医療否定本の嘘」「「抗がん剤は効かない」の罪」、それぞれの本の感想をブログで書かせていただいていますし、大須賀医師はつい先日「あなたのがん知識の正確さを調べるクイズ(12問)」を取り上げました。
 それはそれは信頼性が高すぎて、この本は読まずとも超お勧めなのに違いありませんが、そこはやはりしっかり書いておかねばということで記事にしました。


 いつも通り、アウトプットとしていくつかポイントを引用させていただいての所感を書くスタイルです。

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■はじめに
■おわりに

・世の中には、がんについての情報がたくさんあります。その中には、効果が期待できる正しい情報と、効果がまったく期待できない間違った情報が混在しています p6-7
・正しい情報を発信してトンデモ医療情報が広がるのを防げば、被害に遭てしまう患者さんを救えるかもしれません p228
・インターネットで検索しても出てくる情報は怪しいもののほうが多く、信用できるサイトは本当に数えるほどしかありません p229


 読み進めるにあたって前段の確認はとても大事です。いつも書きますが、「はじめに」のあとに「おわりに」を読み、それから本文に入る流れをお勧めします。本の目的を明確に意識したうえで読むのが大事です。


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■第1章 「最高のがん治療」はどのように決められるのか

・保険が適用される治療法こそ、最高の治療法である p20~
・標準治療は「スーパーエリート」の治療法 p32~


 この認識が本当に超重要です。「標準治療」は現時点における「最善治療」なんです。
 英語表記時ではGold standard therapy、Best treatmentだそうです。このstandardが標準になってしまったのでしょうね…もったいないです。


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■第2章 「最高のがん治療」では何をするのか

・抗がん剤がまったく効かないがんはない p60~
・「緩和ケア」は最後の手段ではなく、第4の治療法 p75~
・標準治療以外は「まだ効くかどうかわからない治療法」 p82~
・インターネットや本などで「がんが消える」などと派手に宣伝している自由診療が多いですが、がんに有効であるという科学的根拠を証明したものはありません。もしも科学的根拠があるならば、標準治療として保険適用になっているはずです p94


 勝俣先生による2020/6/13の投稿です。

 私も持っている最新2019年10月15日が第8版の「がん診療レジデントマニュアル」。
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 この本は専門書ですから4400円もしますけれど、p19の重要な一覧が今回の本のp61に掲載されています。

 1997年5月の初版にはD群「効果の期待は少ない」には6種類掲載されており、私の持っている情報で2013年10月の第6版でもまだ同じ区分で1つ残っています。これが最新の第8版ではゼロです。
 2013年と比べてA群「治癒が期待できる」は同じままですが、B群は「延命が期待できる」から「症状緩和や延命の効果が十分に期待できる」へ、C群も「症状緩和が期待できる」から「延命効果・症状緩和が期待できる」へ良い方向で変わっています。
 治療は進化してるんです。6年前と比較してもこれです。10年や20年前と比較なんてできないほどの進歩でしょう。標準治療を疑ってかかるのは言葉を選ばずに書けば時代錯誤です。


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■第3章 食事やサプリでがんは治るのか

・糖質制限にがん治療のメリットはない p113~


 良かれと思って科学的根拠のないことを言ってくる親族・友人・知人…悩ましいですよね。その人たちは基本的に悪意を持ってないんです。「良かれと思って」なんです。なので、みんながこういった本で最低限の知識を持っていれば、こういった悩ましいことは起こらないでしょう。

 なお、稀に「科学的根拠」が通じない人がいます。科学を信じられない人です。国は信じられない、情報は隠されているなどの陰謀論者です。その人たちのよりどころは怪しげな企業や団体だったり、少し影響力のある人の推奨だったり、知り合いの紹介です。そういった方々はこういった本を読んでも理解できません。残念ながら距離を置くしかないです。


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■第4章 どうしてがんができるのか

・他人からいわれなき非難を受ける方もいます。家族や知人に責められることがあるそうです。これは本当にやめてもらいたいことです p150


 がんになることは誰のせいでもありません。誰も悪くありません。(受け売りです)
 本当に難しいことだと思いますけれど、今と向き合いましょう。これからを考えましょう。


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■第5章 「トンデモ医療」はどうやって見分けるのか

・拡散されている情報は正しいように見える p157~
・信頼できる専門家の2つの特徴 p166~
 1.標準治療を推奨している
 2.ほかの医師と治療判断が変わらない
・トンデモポイント3「免疫力アップ」という言葉にだまされるな p179~


 「信頼できる専門家の2つの特徴」は、お金の相談でも同じことが言えると感じました。
 1.社会保障(社会保険)を基本ととらえる
 2.あなただけの特別なプラン(自称裏技)を推奨しない
 皆さま、よろしくお願いいたします。

 がん相談支援センターの紹介もありました(p169)ので、リンクをはっておきます。がんのことで悩んだとき、医師や看護師に相談しにくい、ハードルが高い、診察が時間的に先になってしまう、そんなとき迷わず足を運んでもらいたいのが「がん相談支援センター」だと思っています。


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■第6章 どうやってがんを見つけるのか

・がんが疑われる4つの症状 p184
・図表6-3 検診では見つからないがんがある--進行速度によるがんの分類 p193
・「急速がん」は検診で見つけられないが、抗がん剤がよく効く p194~


 「急速がん」として紹介されている「胚細胞性腫瘍」の1つが精巣腫瘍(精巣がん)です。その精巣腫瘍の患者会さんで私がアドバイザーを務めています。
 <参照ブログカテゴリー> 精巣腫瘍患者友の会ピアサポート


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■第7章 がんを防ぐために普段の生活で何ができるのか

・お酒は少量なら体によい? 悪い? p216~


 ここの説明、めちゃめちゃ腑に落ちました。私はお酒が人並みに好きです。普段は少量しか飲みませんが、少量でもがんのリスクは上がるそうです。でも、少量であればリスクの下がる疾病が科学的に報告があるようで、私はその疾病のほうが嫌なのでこれからも少量のお酒を飲み続けます(笑)


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 この本は一般書です。一般書なのに科学的根拠を明らかにするため注釈・参考文献・参考リンクの紹介に最後18ページも使われています。英語の医学論文を手に取ろうと思う一般の人は私を含めていないと思います。でも、この本は専門家の思い付きで書かれている内容ではないということなんです。根拠があるんです。

 そして、その根拠を医療者でない一般向けに読みやすく紹介されています。がんのことを広く知ってみたいという人には超お勧めですし、自分自身ががんになってしまった、家族ががんになってしまった、友人がなど、この本を読むことでがんに対する理解が進みます。
 がんに対する理解が進めば、がんと闘っている人・がんと一緒に生きている人・がんとこれから向き合うことになる人、支えている人と普通に会話できます。腫れ物に触るようにではなく、普通に会話できることってたいせつなんです。当たり前ですけれど、相談をお受けするにあたっても本当に大事な大前提の知識です。

 

 長文をお読みくださり、ありがとうございました。


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